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異世界最強種〜神龍より生まれし存在〜  作者: 黒神金龍
ドラッへ〜冥護を受けし街〜
18/56

18 増えた仲間と初めての街ドラッヘ

どうも、お盆のバイトで精根尽きていた黒犬です。

今回は四千字強あります。

※自分の計画性の無さにより街の場所を変更しています。


「ようこそドラッヘへ!な〜んてな。連れて来て早々、緊急性があったとはいえ問題ごとに関わらせて悪かったな」

「いや、あれぐらいなら問題にすらならない。俺たちにとっては良い運動だったさ。だよな?」


 俺がそう言って後ろを振り返ると不満そうに顔を顰めている三人の子竜達と一人だけ未だピンクの世界を歩いているアクア、その後ろにこれまた不満顔の背の高い黒髪美人と黒髪に白髪交じりの立ち居振る舞いが綺麗な老人が付いてきている。


 新しくメンバーに加わった美人と老人がオークとオーガであり、俺が神に強請って使っている人化スキルで見た目を変化させたのだ。見た目は完全に俺個人の趣味である。


 アクアにおんぶされた後の話はこんな感じだ。


 倦怠感が消えず、罰もあってされるがままの俺をアクアは少し早めの足取りで皆んなの場所へと戻ったのだが、その途中で水の球に包まれている二匹に反応があった。

 気絶から回復し自分の身体にあるはずの傷や疲労感が無いのに戸惑っていたものの、約束を果たさせる為にやったと言ったら疑う事なく信じてくれた。


 どうやら自分たちが人間に関わろうとしている一介の魔物にやられたのが相当なショックだったらしい。

 オリジナルという特別な存在であり、武力にも自信があったのに大した大技を使われる事もなく戦闘終了だからな。

 まあ、気持ちは分からんでもない。俺も事情を知らなかったら同じぐらい凹むと思うし。


「さて、少しは落ち着いたか?本題に入りたいんだが」


 二匹は負けたことを若干引き摺っているようではあったが、かぶりを振ると話を進める為に頷きを返してくる。


 そこからはまあ、大雑把ではあるが人間に話す用の事情を説明してある程度理解させた所で改めて賭けのことを確認する。


「っと。まあ、ここまでは普通だわな。んで、確認なんだがお前たちは俺に付いてくる気があるか?」

「そうですな。私は賭けに負けましたから、戦士として約束を違える気はありませんが……オークは別ですから」

「……俺は、……私はオーガに付いて行くと決めています。オーガが約束を守り、貴方に従うなら私も連れて行ってくれませんか」


 ん?なんで口調が変わったんだ?こっちも何か理由がありそうだな。


「よし、来るのは確定と。なら話しても大丈夫そうかな。あと俺のことは貴方じゃなくて、フェリオスって呼んでくれ」


 そして俺は、自分をおんぶしてニコニコしたままのアクアを指して紹介する。そう。かなり恥ずかしいが俺はおんぶされたままである。


 俺は自分のことと仲間のことを含め全てを吐露する。ブレイズたちからは多少の文句は言われるかもしれないが、リーダーは俺だし信頼してくれてるから何とかなると思う。


 そして案の定、吐露が進むにつれて二匹の表情は様々に変化する。

 最初は乾いた笑いから顔が引き攣り始め、目を見開いたかと思えば素っ頓狂な声を上げたり、終いには顎が外れるんじゃないかという程に口を開け驚愕の表情をしていた。


 話したのは、

・スキルで人に紛れ利用し、住みやすい環境を整えること

・美味い食い物を食べる為に人間に利用されること

・自分達の種族は龍種であること

・そして自分の眷属に最古の龍種(エンシェント)がいること

 などだ。


「ま、こんなこと言われても簡単には信じられないだろうが、街に着いて少ししたら巣に用事があるし一緒に連れてってやるよ」

「……それは…全て本当のことなのですね?」


 オーガは既に俺の言葉を信じ、念の為といった感じで聞いてきている。


「仲間に嘘は吐きたくはないからな。あ、そうだ。序でみたいになるけど契約しとく?」


 二匹はキョトンとするが、おずおずとしてオークが質問をする。


「その内容はどうなるのですか?」

「んー……。眷属契約しかないけど、互いの秘密を話さないって内容なら簡単に出来ると思うんだがどうだ?」


 オーガは少し目を閉じて思考していたが、意を決したように答える。


「そう……ですね。そちらが全て話してくれたのなら私たちも話すべきでしょうし、こちらも誠意を示しましょう」


 オーガの話は実に興味深いものだった。オーガとオークは元々この森には住んでいなかったらしいが、戦力を集めるために直感でここを選んだらしい。

 前の森では家族を殺されたオーガが父から受け継いだ力と憎しみでオリジナルへと覚醒し、制御出来ずに暴れていたところをオークの家族に助けられたらしい。


 そして、そのオークの家族というのが驚きの構成だったのだ。父は迷宮踏破者の魔の狼(ウェアウルフ)の族長であり、母はオークの集落一の魔術師だったそうでそのハイブリッドが今目の前にいるオークらしい。見た目はやはり母体の影響力が大きく出たらしい。

 俺の言ったハイブリッドという意味はその出鱈目さにある。父からは戦闘勘や戦闘センスといった戦士の才能全てを、母からは魔術師としての才能と魔力量を完璧に受け継いだことで産まれた時からオリジナルだったそうだ。他の姉弟はそこまで強力な力は秘めていなかったそうだが、それでも普通ではあり得ない強さを持っていたそうだ。


 オークの家族に助けられたオーガは、同じオリジナルとしてオークの訓練や指南の手伝いなどをしていた……が、その半年後にオーガの家族を殺した冒険者に場所を特定され再度襲われた。

 その冒険者は片目に大きな傷があり、左腕も無く右手の小指も欠けていた。そして無事な方の目でオーガを見ると全身の毛が総立ちする程の気持ち悪い笑みを浮かべたらしい。

 そして直感から逃げることを提案し実行しようとしたが、冒険者の男は一人ではなく五人組のパーティーで集落を囲んでいたのだ。オーガはトラウマから逃げることに専念し一人を倒すとそこから何とか脱出できたがそれに反応出来たのはオリジナルで身体能力に優れる姉だけだった。

 日頃からオークの家族に頼まれていたのもあり、その時は全力でオークの姉を守ったが、一日経って集落に戻ってみればほぼ全員が死んでいた。


 残っていたのは片目の冒険者を倒し、満身創痍な状態で木に背を預け焦点の合わない目をしたウェアウルフの父だけだった。オークの母や姉弟の居場所を聞いても答えず、ニヤリと笑って……。


「オーガ、娘を任せたぞ」


 と、だけ言って眠るように静かに息をひきとった。

 オークとオーガは三日三晩自分たちだけが生き残っていることを後悔し続け、涙した。

 そして、復讐を決めたらしい。そこからは行動が早く、四日かけてこの森に来て戦力を増やし続けていたということだ。


「なるほどな。それで都合よく現れた冒険者を初めに街に乗り込もうとしてたと、間違いないか?」


 二人は頷くが、オーガが冒険者を誘導するよう仕組んだとも言葉を付け足した。


 その後は互いの秘密を話さないことと、主従関係を結びこれに関する制約といった細々としたことを決めていった。契約をする際に聞こえていた声の正体があの光る球体だったことは吃驚したが、契約を終えると二人と二匹の間をゆらゆらと飛びまるで俺たちを歓迎しているようだった。


 一頻り飛び回った後は俺の前まで来て一瞬光ったかと思うと、中心に向かって収束していくかのように消えていった。契約後に声が聞こえることはなかったが、あっちこっち飛ぶ姿が可愛くて次に会ったら何かしてやろうと自然とそう思った。


 そこでやっと冒険者たちを置き去りにして行ったことを思い出し、慌てて人化スキルを使い二匹を二人に変えてから集団へと近づき、オークとオーガが二、三言呟くとゆっくりと円を広げるようにしながら包囲していたオークとオーガの集団は消えていった。


 冒険者に小言を永遠と聞かされ続けるのでは?と思うほどに街に着くまで一方的に話しかけてきた。オークとオーガの人化は集団に捕まってた所を助けたと冒険者には言ってあるが、怪しすぎるので一応モンド(おっさん)に目で訴えておいた。




 まあ、そんなことがあって街に入る為の門をモンドの顔パスで通り、門をくぐり街に入るとモンドによる軽い挨拶を言われたわけだ。


「それにしても、腹が減ったな……」

「なら何か食ってくか?」

「俺らは金なんて持ってないぞ」

「そこはまあ、協力の礼として払ってやるよ」


 門の入り口付近には固定型屋台みたいなのが左右に並び少し先の所まで続いていて、屋台からは店主が客を呼び込む為に自分の商品の特徴などを叫んでいる。

 あちらこちらから食欲をそそるいい匂いが漂い、門から検問を終えた冒険者や旅人にどんどん商品を売っていっている。


 俺はその中に気になる物を見つけ、そちらへと歩いていく。


「おっ、どうした兄ちゃん。俺のタマゴ焼きが気になるなら一口食べるか?」

「気になるのは確かだが、売り物だろ?」

「試食ぐらい別に問題ないさ。それにな、俺は買ってくれそうな奴にしかサービスはしてねぇよ」


 偏ったサービスだな……と思いつつも一つくれと頼むと「おう!」とニカッと笑いタマゴ焼きを木製の串に刺し、皿に載せて渡してくれる。

 食べてみると味や美味しさは違えども日本の玉子焼きとそうは変わらなかった。驚いて店主を見ると腕組みしながら満足そうな笑みを浮かべており、少しドヤ顔で感想を聞いてくる。


「どうだ、美味いだろ?このタマゴ焼きはなこの街の屋台では俺以外は作ってないからな」

「確かに美味かったが、どうしておっちゃんだけなんだ?」

「それはな、この使ってる卵にあるのさ。料理で作るとなれば手順は簡単だからある程度知識のあるやつなら簡単に作れちまうがな、問題はそこじゃないんだよ」

「となると……管理か?」

「そっ、正解だ兄ちゃん。詳しいことは言えないがこの卵は管理が極端に難しいんだよ。だから長年この卵を扱ってきて、定期的に屋台料理として出せるのが俺以外にいねぇのよ」


 などと話をしているとモンドが来て、おっちゃんに九人前頼んだかと思うと俺の首根っこを掴み引き摺って街の中央へと歩いていく。俺を含めた子竜組とオーク達、モンドとルビナスの分だ。

 俺はまた今度という意味を込めておっちゃんに笑顔で手を振る。


 モンドが多少イラッとした表情で話してくる。


「おいおい、まだなにも終わらせてないのに道草食ってんじゃねぇ」

「終わらせることなんてあったか?」

「お前らの現状と龍の巣であったことを話してくれるんだろ?忘れたとは言わせねぇぞ」

「あー……そんなことも言った気がするなぁ」

「もういい。少しの間そのままでいろ」


 俺を未だに引き摺りながら歩くモンドは笑顔の奥に怒りを隠しているようだが、ズンズンと大股になっていることと俺への扱いが雑になっているのが明らかなのでかなり分かりやすい。

 俺は言われた通りに引き摺られ続けることにして、身体の角度や位置を調節しみすぼらしい靴に魔力の鎧を纏わせすり減らさないようにする。


 急に俺を掴んでいた手が軽くなったのが気になったのかこちらを振り向くが、完全に身を任せてタマゴ焼きを食べている俺を見て足を早めるだけだった……。



 街の中央と思われる広場の場所までくると、入ってきた門の直線上の位置に一際大きな屋敷が見えた。

 そして左右には通ってきた道と同じ大きさ――馬車が楽にすれ違える程――の道が延びており、右側には武器屋や鍛冶屋が並んでいる。逆に左側は服屋になっていて奥に行くほど建物が大きく綺麗になっているのが見える。


「さっ、ちゃっちゃと用事済ませるぞ」


 そう言ってモンドは、盾に三本の剣が下向きにクロスしている看板のある建物に入っていった。

第二回目のお気に入りの方はこちら!


『ありふれた職業で異世界最強』の白米良(しらこめりょう)先生です!


今年になってからニコニコ漫画で知り、絵とストーリーを読んで面白そうだなと思い、読み始めたのがきっかけです。

今では滅茶苦茶ハマってます。度合いに表すと最近の「ドラクエの駄々っ子CM」ありますよね?投稿期間を待ってる間はずっとあんな感じです。欲しいが、読みたいに変わった感じですね。


それと、最近の出来事としては「ノーゲーム・ノーライフゼロ」の二回目を観に行って涙したことですかね。二回目は映画特典目当てですが、「控えめに言って最高」でしたねw


次は早めに投稿したいと思ってます。

書ければですが…w

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