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異世界最強種〜神龍より生まれし存在〜  作者: 黒神金龍
ドラッへ〜冥護を受けし街〜
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14 オークに死の挨拶

どうも黒犬です。

今回はスラスラと書けたので五千字弱の内容になってます。

この小説用のTwitterアカウントを作りましたので後書きから確認してみて下さい。

 俺たちは森に向かう為に現在草原を走っている。理由は、オークとオーガの集団に出会したパーティーの救出だ。

 街から近い森にいるとはいえ、連絡の為にメンバーを一人割いてしまっている。


 パーティーは基本四人一組なので一人でも抜ければバランスは崩れる。その状態で集団を相手には出来ないので逃げるしかない。

 こっちの世界に来てからまだまともな魔物を見たことがない俺に予測は難しいが、パーティーが全滅してないことを祈るしかない。


 モンド(おっさん)が前を走りながら、後方まで声を届けるという奇妙な技を使う。

 多分風の魔法だろうが、前を向いたまま声を荒らげることなく伝えられるのは便利だな。


「これからの作戦を伝える!

 ランクDパーティー三組は全て救助後のパーティーを守るように動け!疲弊している仲間に戦わすのは酷だ。それに集団の数が分かってないからな。


 他は俺と集団の足止めだ!応援が来るか全員が逃げ切るまでの時間稼ぎをする。

 無理に戦う必要はない。囲まれないようジリジリと後退しながら、少しでも数を減らせれれば御の字だな」


 俺はモンドの器がどれ程のものか試してみたくなり、問いかける。

 単純に興味本意なだけだが……。


「少し質問いいか?」

「どうした?」

「一つ、救助までは何の問題もないんだが、作戦としては後退が前提か?

 二つ、俺のパーティーメンバー半分を撤退組に入れることは許可出来るか?

 三つ、倒した分は本人の物になるのか?」


「随分と好戦的だが、そうだな……。

 先ず一つ目についてはこちらの戦力や相手の数にもよるが、集団に対して少数の場合は撤退が基本だというだけだ。

 二つ目はギリギリ許容範囲内だな。但し、こちら側に三人残せよ。


 三つ目は当然……と言いたいところだが、応援が来るまでに集団を倒せれば考えてやる。

 応援が来た時点で全員に山分けだな。強制的に冒険者を動かしてるから、報酬でも出さないと割に合わないからな」

「なるほど、理解した」


 まさか殆どを許可してくれるとは……これは楽しくなりそうだ。

 因みに別けるメンバーはこうだ。俺とクラグとサンダー、アクアとブレイズという感じだ。俺の勘でしかないが、森が近づくにつれて本能が、血が騒ぐのだ。


………

……


 何分ぐらいだろうか……。感覚的に十五分は走ってたと思うが、漸く草原に存在する森に辿りつけた。

 周りの、それも人間の速度に合わせて走っていた所為で物凄くもどかしかった。契約の儀を行なった事が原因なのかは分からないが、人化したまま竜の力が少し引き出せそうだったので焦った。


 それを知ってか知らずか、何度もブレイズやアクアから文句が飛んできて宥めるのが大変だった。


 森に足を踏み入れようとしていると、ルビナスが前に進み出てきた。


「私は盗賊シーフをしているルビナスです。顔を見知っている方もいるかと思いますが、今回の作戦では戦闘要員でなく索敵要員として動きます。

 出来るだけ戦闘を避け救出を優先します。ですので、私の指示には従ってもらいます。よろしくお願いします。」


 と丁寧な挨拶をした。

 全員が無言で頷いたのを確認すると、先頭を歩き森に入って行く。


 森の入り口は膝まである雑草と杉に似た木が疎らに生えているだけだったが、奥に進むほど木の密度も雑草も増えていった。

 見通しは最悪で邪魔な草木を切って進んでいるのだが、いつ奇襲を受けてもなんら不思議ではない状況だ。


 陣形は街に向かう時とほぼ変わらず、ルビナス、子竜、


 注意しながら進むこと約五分ぐらいの地点で、血の匂いが微かに漂いはじめた。

 他の者は気づかず、子竜たちだけが反応しているのでまだ距離はあると感じられる。


 それから数分後に漸く人間の嗅覚でも感じることが出来るほどに匂いが濃くなったようだ。俺にとってはかなり臭うが、ブレイズたちからすると獲物に近づいていることに喜び興奮していて目の色が変わってきている。

 

『おい……。お前ら抑えろって』


 だが全員が声を揃えて言う。


『こんなの我慢出来るわけない(でしょ)だろ』


 なぜここまで興奮しているのかというと、龍の巣にはまともな魔物がいないのである。

 小型の魔物は見かけるのだが、縄張りを持つような大きさの魔物になるとブラッドたちに消されるので居ても草食系の温和なものだけである。


 まあ、これは俺たち龍からの視点であり魔物目線ではないので表現するとこんな感じだ。


 普段から考えれば恐ろしい程の魔力濃度、かつ野生の勘や本能といったものが全力で危険を回避しろと訴えてくる。そんな場所に近づくのは、知能のない雑魚の魔物ぐらいだ。


 因みに自分の持つ魔力量を超える魔力濃度の高い場所にいた場合、乗り物酔いを激しくしたような感覚になる。

 ブラッドたちに囲まれ逃げ場がない状態で無理矢理濃度を濃くする訓練で、俺も初めてそれを経験した時は胃の中が空っぽになっても一日中何度も吐いたほどだ。二度とあんな経験はしたくない。


『今感情を表に出したら獲物に逃げられるぞ?それでも良いのか?』

『うぐ……』

『それは……ダメね…』


 なんて言いながらも俺の理性が吹き飛びそうなので、早いところパーティーを見つけたいものだ。


………

……


 少し遠くに開けた場所を見つけるとそこでこちらに背を向け、六体のオークたちからの攻撃を必死に受け流したり防御している三人組を発見した。


 オークの見た目はラノベでよく描かれる「脂肪」の塊みたいな巨体ではなく、脂肪に見える「筋肉」の塊といえる巨体だった。


 中央にいる者が全体のバランスを見て指示しているお陰で、未だに大きな怪我などが見られない。

 その者がまた指示を出す。


「クット!少し前に出過ぎだ、防御したらタイミングを合わせて強化魔法を掛けてやる。

 ミリア!今の話は聞こえたな?準備は頼んだぞ」


 クットと呼ばれた男はランスを器用に動かし前方と左右から振り下ろされる木の棍棒(削った丸太)を全て受け流している。

 ミリアは女でありながら近接格闘を武器にしているようで、オークの手首を狙ったり膝を蹴ったりして行動を阻害している。


「分かった!」

「そんなに大声出さなくても聞こえてるわよ!ダン、貴方のその大声は何とかならないの?」

「はっはっは、ここから生きて帰れたら考えてやるよ!」


 と、冗談を飛ばしている男がパーティーのリーダーらしい。戦斧を振り回し、自分への攻撃を躱しながら絶妙なタイミングで支援攻撃を入れている。


 そしてミリアの蹴りがオークの手首にクリーンヒットして棍棒を落とし、それに合わせるようにしてダンとクットも前方のオークの武器を叩き落とす。


「二人とも少し頼んだわよ」

「任せろ!」

「間違って失敗しくじるなよ」


 モンドが右手を軽く上げて突入の準備を促してくる。


「躊躇うな。そして一瞬の隙も見逃すな」


 俺は人化のリミットをバレない程度に解除するとともにブレイズたちにも伝える。


『いいか?よく聞け。あの六体を倒すまではリミットを解除するから一撃で殺せ。血を出すと面倒になるから考えろよ?』


 全員が肯定する。


『了解』

『俺は右の二体を処理するから、他は頼んだぞ』


 全員から不満そうな感情が伝わってくる。


『良いな?』

『分かったって』


 視線を戻すとミリアが後ろに下がったのは魔法を使うためで、呪文を呟いている。

 そして、ダンとクットはそれを邪魔されないように六体の攻撃を先ほどより鋭い動きで捌ききっている。


 モンドがミリアの詠唱終了のタイミングを計っているようで声をかけてくる。


「そろそろ突入するぞ」

「わかった」


 ミリアの詠唱が終わると彼女を中心にして霧のようなものが発生し始める。それは段々と濃くなっていき、オークを包むようにして動きだす。

 霧が発生し始めた時点でダンとクットは少しずつだが後退しており、攻撃を受け流したり躱したりという行動を減らして攻撃を当てに行くようになっていた。


 オークは結構頑丈なようで浅い傷が増えていっても倒れることはなく、元気に拳や棍棒を振り回し続けている。だが、少しづつ動きが鈍くなっており効果はあるようだった。


 霧がオークを完全に包みこむと同時にモンドとダンが指示を出す。


「後退するぞ!」


 右手を振り下しながら。


「突撃!」


 指示が伝わり全員が駆け出したのを確認してから、俺も指示を出す。


『殲滅!』


 俺たちは走り出すのを遅らしたのにも拘らず、一秒足らずで先頭を走るモンドを追い抜かす。

 更に数秒後には、こちらに向かって走っているダンたちの横を走り抜ける。


「なっ!?」


 誰かがそんな声を出した時にはもう霧の中である。

 俺は予定通りに右にいるであろう二体の場所に向かって行く。


 突っ込んでから分かったが、魔法で発生させた霧は込められた魔力を消費し切るまで消えないタイプで幻術まで付与エンチャントされていた。

 魔力を垂れ流して無理矢理薄い膜を作った。が、作る前に一瞬体の一部が腐るイメージが流れてきた。

 壊死していくのを早送りで見ているような感じだった。


 霧の中で数メートル先のオークを視界に捉え、俺はつい笑みを浮かべてしまう。


「さてと、狩りますか」


 俺は幻術を見せられて混乱し暴れているオークに近づき、ジャンプ回し蹴りを繰り出す。威力が落ちないように一定の強さで頬を蹴ってから、空中で身体を捻り更に力を加える。……が、首が一回転しかしなかったので思っていた以上に頑丈だと理解出来た。


 一回転しかしなかった事に残念な気持ちを抱いたが、それはそれとして考え二体目に集中することにした。

 俺は体勢を整えながら受け身を取りすぐ隣にいた二体目に狙いを定め、右足で両膝裏を蹴り膝かっくんをして強制的に重心を後ろに傾ける。

 すぐに足を引き戻して左手で肩を掴み、背中から地面に叩きつける……前にオークの首目掛けて下から膝蹴り、上から肘鉄を食らわす。


 同時に首を挟む形で当てた所、非常に愉快な音が鳴った。膝蹴りを当てた背骨からは「ゴキッ」という折れ砕けたような音が、肘鉄が当たった場所からは「ミシミシ」とめり込み軋むような感覚が伝わってくる。


 オークからすれば膝裏に衝撃と痛みを感じた次の時にはいつの間にか空を見上げ、首に痛みが走るも気管支や声帯を潰されている所為で声を上げることなく絶命する。

 少し後ろに下がるとオークの巨体が音を立てて地面に倒れる。


 少しすると霧が薄くなり徐々に消えていった。

 霧の中から出てきたのは立っている者が五名と死体が六体だった。


 俺は服についた土埃を払いながらブレイズたちの方を見る。問題なく倒せているようだが一応確認しておく。


「終わったか?」

『楽勝』


 案の定返ってきた言葉は当然の結果を形にしたものだった。

 だがこれだけの数で集団とは呼べないだろうから、これはほんの一部の分隊みたいなものだろう。分隊を作るほどオークの頭が回るのかは分からないが、用心するに越したことはない。


 それにまだこれが集団だったとしてもオーガが残っている。それを考えるだけでまたワクワクしてくる。



 オークをあっさり倒した俺たちを見て、救出隊と救出対象は少しの間放心状態で棒立ちしていた。


「で?これからどうするんだ。作戦続行か?」


 という俺の声で漸く我に返ったようで、モンドが呆れた顔で話し始める。


「お前らなぁ……。何の為にチーム組んでると思ってんだ」

「集団相手に安全を期する為だろ?」


 モンドはため息と頭を掻きながら。


「理解してんじゃねぇか。なのに何故行動に出てんだ」

「いや、これくらいの数は何ともないだろ?」


 モンドは腕組みしながら首を傾げている。


 あ、……そうだ忘れてた。俺たち竜からすれば大した事なくても人間からすれば非常識なんだった。

 興奮し過ぎて感情だけで行動してしまった……。


「なんか俺たちの考え方に齟齬があるように感じるんだが」

「あー……。訓練の弊害かな?」


 俺は苦笑しながら安易にそう答える。


「ほう。どんな訓練だ」

「すまん。一般に聞かせられる内容じゃないと思う。

 今の俺たちが非常識と取られてるなら尚更だな」

「そうか、なら帰還後に聞かせてもらおうか」

「その方がいいだろうな」


 何とか乗り切ったが帰ったらどう説明しようかな……。流石に、龍と訓練してましたなんて暴露は出来ないよなぁ。


「作戦は続行だが、その前に聞いておこうか」


 先ほどまで戦っていた者たちに、襲われた時の状況を聞き整理するようだ。



 聞いて整理した話はこうだ。


 先ずこのパーティーは連絡の男が言っていたようにオークを探して朝からこの森に入り、オークを見つけられず普段は入らない中心部分に向かい事件は起きた。

 パーティーが見た光景はまさに異常としか言えない状態だった。なんせオークとオーガが争いもせずに人間には理解できない言葉で喋っていたからだ。


 普通はオークにとってオーガは天敵と言っても過言ではないほどに戦力差が開いており、オーガにとってはオークは餌にしかならない。ましてや理性を持ち本能だけで動かない特異個体が二体も同じ場所に存在し、会話のようなものをしているのだから驚きだろう。


 その後の展開を知る為に潜伏していたらしいが、バレてしまい特異個体の指揮を受け両個体の軍が攻撃してきたという内容だ。


 中々に興味深い話で戦闘意欲も少し収まりを見せてきた。

 話が理解出来ているということに興味が惹かれた為だ。


 そして作戦続行のため班を二つに別けようかという時に森の奥から「バキバキッ」という木が無理やりへし折られたかのような音が聞こえ、同時に魔物の不気味な声が響くのだった……。

今回も読んでくれてありがとうごさいます。


前書きで言っていたものはこちらです↓


Twitter 黒犬@narou_Kuroinu


気軽に話しかけて下さい。こちらも気軽に対応しますのでw

今回は露骨にログイン数イベントを狙うためにあえてこの時間に投稿しています。

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