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 大きな体をしたドラゴンの足元が光った。

 魔方陣が中央から外側に向かって描かれる。

「みんなはなれて」

 ドラゴンから離れながら男は周囲の人物に命じた。

 皆その言葉を信用してドラゴンから離れていく。

 魔方陣が大きくなった時、一際強い光が魔方陣から放たれた。

 次の瞬間、魔方陣の上は炎の海に包まれていく。

「あれなに!?」

 岩陰からから女が訊ねた。

「あれは龍の体力がある程度減ったら一度だけ発動される範囲魔法だよ」

 ドラゴンから離れるよう指示した男が回復薬を飲みながら答える。

「あれに当たったら即死らしい」

 男は女の近くへと寄った。

「けど大丈夫、――は、…………――。……――……?」

 男の発した言葉は言葉とならずに文字化けしはじめる。

「ど、…………――……――………………。――……――――、」

 女が発した言葉も文字化けしはじめた。

「お――――、…………――……――…………――――、……」

「や…………――――、…………――……――…………――――」

「ロ――。――、……――、………………――、……――。」

 画面が荒れる。今までのドラゴン狩りの様子を画面越しに眺めていた女はどういうことかとブラウザを開いた。

 マウスのクリック音と機械の動作音だけが部屋を満たす。

「どうして……?」

 女は信じられないといった様子で画面をただただ見つめる。

『突然ですが、MMORPG「ドラフファニストンス」はサービスを終了することとなりました。誠に勝手ながら、』

「嘘、嘘でしょ、ねえ‼」

 残念なことにゲームを開き直しても暗い背景の前に明るい文字で、終了の旨が書いてあるのみ。

 電話が着信を告げる。女は驚きながら電話をとった。

「もしもし……」

『もしもし? ねえ、ドラファニサービス終了って本当?』

 ドラファニとはドラフファニストンスの略称だ。

 女は相手に見えていないと分かりながらも首を縦に振るだけ。

『…………そっちも入れなくなったんだね』

「もうギルドの人達に会えないのかな……」

『うーん、どうだろうね……私はそっちのギルドの人達は知らないからなあ』

「だよね……うん、ごめん。ちょっと気分転換に新しいオンラインゲームでも始めるね……」

『いやそれはやめときなさいな。今日はもう寝たら? まだ九時でちょっと早いかもしれないけどさ』

「……そうする」

『ん、じゃ、おやすみ』

「ありがとう、おやすみ」

 電話を切り、女は明かりを消してその場に座り込んだ。




 新‼ ドラフファニストンス・ナイ‼

 五年前突如サービス終了したドラフファニストンス(以下、ドラファニ)が戻って参りました!

 ドラフファニストンス・ナイ(以下、ドラナイ)はドラファニからの機能を引き継ぎながらも新要素を追加!

 新要素その1! 自由にドラナイの世界で生活ができるように! マイホーム機能、農業スキル、漁業スキル、家庭スキルの追加! 第二の生活がここでおくれる!?

 新要素その2! もう一人じゃない! ペット機能の追加! 個性豊かなペットと楽しく冒険を!

 新要素その3! ドラファニの世界はもう飽きた!? 新マップ追加! ドラナイでの旅の舞台はこっちだ!

 新要素その4! 攻撃に幅を! 各既存スキルに新スキルを追加! 組み合わせて効率よく狩り進め!

 更に! ドラファニの時に使っていたアカウントで入ったらフレンドとゲーム内金貨ゲーツを引き継げる!




 新田良子(にいだりょうこ)はパソコンに表示されている文字列を目を輝かせて見ていた。

「こ、これって……!」

「そう、ドラファニが再開するの!」

 新田が千田悠(ちたゆう)の方を向くと、千田は笑顔で新田を見返す。

「あなたの会いたがっていたギルドの人達にまた会えるのよ!」

 だが、新田はその言葉に固まった。

「……? どうしたの」

「あ、えーと、その、IDもパスワードも忘れた上にメールアドレスも変更してしまいましてですね……」

 目をそらしながら新田は炭酸飲料を口に含む。千田も同じように紅茶を飲もうとする。

「前のアカウントで入れないの」

 新田は千田によって顔を紅茶まみれにされた。

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