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くまさんとおおかみ

作者: 狂花

 あるところに、いっぴきのくまさんがいました。くまさんはいつもひとりぼっち。誰かといっしょに遊ぼうとしても、「うわあくまだ、食べられちゃうぞ!」とにげられてしまいます。なので、くまさんはいつもひとりですごしていました。

 いつものようにひとりぼっちで遊んでいると、ふとくまさんはおもいつきました。

「そうだ、でっかいひみつきちを作ってパーティーをすればみんな遊びにきてくれるかもしれない!」

 そうすれば、きっと友達ができるにちがいありません。くまさんはさっそく、木のえだでテーブルやイスをつくりはじめました。野原でつんだお花でかざりをつけて、くまさんが大好きなはちみつのジュースをこっぷにいれて配れば、すてきなすてきなひみつきちの完成です。

 くまさんはさっそく、自分の上を飛んでいたことりたちに声をかけました。

「今日はぼくのひみつきちでパーティーをするからことりさんたちもおいでよ!」

 ことりたちはぷいっとそっぽをむいて言いました。

「そんなうそ、通じないわよ。きっとわたしたちのことを焼いてたべちゃうつもりなんでしょう」

 ことりたちはぱたぱたとはばたいて行ってしまいましたが、次にくまさんは足元にいたかたつむりに声をかけました。

「今日はぼくのひみつきちでパーティーをするからかたつむりさんもおいでよ」

 かたつむりはきゃあ、と小さくひめいをあげるとカラのなかにかくれてしまいました。

「そんなうそ通じないよ! きっとぼくのことを踏んづけてぺちゃんこにするつもりなんだろう」

 かたつむりはそのままころころと道を転がってにげていってしまいました。くまさんはしょんぼりしてひみつきちへ戻りました。すると、ひみつきちの森のそばに一匹の大きなおおかみがいました。

「ああ、くまさんじゃないか。どうしたんだ、そんなにさびしそうな顔をして」

 くまさんはおおかみに今までのことをぜんぶ話しました。すると、おおかみはそんなことかという顔をしてこう言いました。

「なんだ、それならおれがパーティーに参加しようじゃないか。だって、おれはくまさんに食べられたりはしないからな。今まであまりしゃべったこともなかったけど、これを機会によろしく」

 くまさんに、初めての友達ができたしゅんかんでした。

 さっそく、くまさんとおおかみはひみつきちではちみつのジュースをのんだり、楽しく森の話をしたりしました。その日から、ひみつきちは二人のひみつのばしょになりました。

「そういえば、くまさんはおれのこと、なんでこわがらないんだ?」

「なんでって、おおかみさんはぼくのことを食べたりしないだろ?」

 おおかみさんは、それを聞くとすごく嬉しそうなかおをしました。

「そうか。実は、おれもお前と同じでともだちが一人もいなかったんだ。みんな、おれのことをこわがって近寄ってすらこなかったからな」

 なんだ、ふたりともおなじだったんじゃないか。ふたりは思いっきりわらいました。

 おしまいおしまい。


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