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親友へ

作者: 詩辺詩織

 ○○月××日△曜日


 俺はおまえが好きだったよ。

 友達として、一番の親友として。

 昔から、おまえは俺のために頑張ってくれたな。

 幼稚園の頃、人見知りの激しかった俺に始めて声をかけてくれたおまえは、ろくにサッカーもした事のなかった俺にサッカーのゴールキーパーをさせて、自分一人だけ楽しそうにサッカーボールを俺に蹴り付けていたな。

 小学校に上がっても、おまえは幼稚園の時と変わらず一緒に遊んでくれたな。俺のために根気よく友達を作るのに協力してくれたしな、そのおかげで人見知り克服できた。本当に感謝してるよ。


 中学に上がってから、俺はよくクラスメイトに苛められるようになった。今まで一緒に居てくれたおまえは他のクラスで助けを求める事もできなかった。

 辛かったよ、まだ殴られたり、悪口言われてる方がよかったのかもしれない。クラスメイトの半分が俺の事をシカトしていた。気付けば、カバンに入っていたはずの弁当がベランダに散乱していた。テニス部で使ってたテニスラケットも何度か折られていた事もあった。

 だけどな、俺はおまえが居たから中学校3年間、ずっと通い続けれたんだよ。

 おまえが「また明日な。」って、毎日のように言ってくれたから頑張れたんだよ。

 

 高校受験が近づいて、一時期目立たなくなった苛めがまた酷くなった。

 ストレス発散のために苛めてたんだろう。

 俺は耐えたよ。おまえにも、親にも、先生にも、他の友達にも言わないで。気づいてた奴は居たみたいだけど、何で止めてくれなかったんだ?とは思ってないよ。きっと、止めに入ればそいつも苛めのターゲットにされかねないと思ったから。だから、別に俺一人だけこうやって辛い目にあってればいいんだって思ってた。


 だけど、そんな俺をおまえはぶん殴ったな。

 「何で相談しなかったんだ!」って。

 「友達じゃないのか!」って。

 「俺じゃ、頼りにならないのか!」って。

 そんな事あるはずないだろ。

 正義感の強いおまえを巻き込んだら、絶対に苛められるのはおまえだってわかってたから、相談だってしなかったんだ。

 

 おまえに苛めがばれてから、ぴったりと苛めがやんだ。

 今まで苛めてきてた奴が謝ってきて、急に仲良くなった。

 不思議になった俺はおまえに何度か聞いたよな?

 「おまえ、あいつらになんか言ったのか?」って

 「俺の身代わりになったつもりじゃないだろうな?」って。

 だけど、おまえはいつもみたいに笑って、何も無いようにすごしてたな。

 俺、何も気づけなかったな。

 おまえが苛められてたこと。

 おまえは気づいてくれてたのに、俺は気づけなかった。

 

 ごめんな。


 許してくれとは言わないから。


 天国にいるおまえに俺の声が届くまで、俺はおまえに謝り続けるからな。





 昨日、友達だった、いや、親友だった彰人が死んだ。

 自殺だったらしい。

 だけど、遺書らしい物も残っておらず、どうして死んだかは不明だった。

 手首を切って自殺したらしい、グレーだった絨毯が真っ赤に染まっていたらしい、手首を切ってないほうの手には携帯が握られていたらしい、俺宛のメールを打ち込んでいたらしい。

 「明日、お好み焼き食いに行こうぜ。」

 そういう文面だったらしい、

 死んだら食いにいけないだろう、

 どこまで馬鹿になったんだよ、

 どうして死のうとなんて思ったんだよ、

 辛かったら相談してくれてよかったじゃんかよ、

 友達じゃなかったのかよ、

 俺じゃ、頼りにならなかったのかよ、

 おまえ、一人で格好つけるなよ、

 約束・・・したじゃんかよ、あの時さ。

 「二人の間では、嘘をつく事を禁じる。」ってさ。

 忘れた何て言わせないからな、おまえが勝手に俺に押し付けてきたんだからな。おまえが忘れたって言うなら、俺は天国までおまえを追いかけてぶん殴ってやるからな。







 今日、おまえの好きなお好み焼き屋に行ってきたよ。

 おまえの好きな、特性お好み焼きを奮発して無意味に5枚も食ってきた。

 美味かったよ。

 すげぇしょっぱかったけどな。

 涙が出てきてな。

 隣におまえが居ないのが寂しくてな。

 悲しくて、

 寂しくて、

 虚しくて、

 憎くて、

 お好み焼き好きなくせに、ひっくり返すのが下手なおまえを見てるのが好きだったのに、もう会えないなんて本当に信じられないよ。


 


 思わず寝息も立てないで眠ってるおまえの顔に特性お好み焼きを乗せようかと思ったよ。

 そうしたら生き返るんじゃないかってな、

 約束を思い出して飛び起きるんじゃないかと思ってな、

 

 あんなメール打っといて、何で自殺なんかしたんだよ。

 まだ15年しか生きてないのによ。

 






 おまえはまで生きてなきゃ駄目だろ。

 自分のために、

 俺のためじゃない、

 自分の時間のために、

 もっと、

 もっと、

 生きてて欲しかったよ。





 変われるなら、俺が死んでやったのに。




 俺の最高の親友。





 

 次に会う時は、俺を一人なんかにするなよ。

 べっとりくっ付けとは言わない、

 ただ普通の親友として、

 二人で笑い合えるようにさ、

 

 次ぎ会う時は、

 二人で酒でも飲みながら、笑い合おうぜ。

読んでいただきありがとうございます。またしても小説とは言えない文面で投稿してしまいました。この手紙、少々文面は違いますが本当に3年前自殺した友人へ送った物です。

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