表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/42

第23話 「誘いと決断」

 十月のある放課後。

 新潟中央女子学園ハム部の部室に、一通の封筒が届いた。差出人は「新潟県高校女子無線クラブ連合会」。

 部室にいた彩鼓、真宵、澄佳、華、そして顔を出していたみなみは、不思議そうに封筒を囲んだ。


「……女子無線クラブ連合会?」

 真宵が首をかしげる。

「なんか、県内の女子校無線部が集まってる組織らしいよ」澄佳が説明を加える。

「毎年、秋に交流会を設立するって話は聞いたことがあるけど……」


 彩鼓は手紙を開いて読み上げた。

「『このたび、貴校ハム部の皆さまを、11月に開催予定の交流会に正式にお誘い申し上げます』……だって」



---


◆嫌な予感


 しかし、彩鼓の顔はすぐに曇った。

「……やっぱり、そうか」

「え、どうしたの?」華が首をかしげる。


「この交流会、発起人は江南実業高校の無線部長。亀田紗友里」

 その名を聞いた瞬間、澄佳も「ああ……」とため息をついた。


「亀田紗友里って、あの『亀田ムセン』の……?」みなみが恐る恐る尋ねる。

「そう。実家同士で昔からライバル関係なの。亀田ムセンはうちの白根電波工房を目の敵にしてる。紗友里本人もプライド高くてね、絶対マウント取ってくるわ」彩鼓は机を軽く叩いた。

「そんなのに付き合うぐらいなら、部室で普通に運用してる方がずっと有意義」



---


◆それぞれの意見


「でも、他校の無線部と交流できるって面白そうじゃない?」

 華は純粋な好奇心からそう口にする。

「色んな局と交信するみたいに、学校間でも繋がれたら……」


「気持ちは分かるけど、部長の言うことも一理あるわ」みなみが頷いた。

「ただでさえ芸能活動やらイベントやらで忙しい時期だし、トラブルの種に首を突っ込む必要はないと思う」


「うーん……」真宵は頭を掻きながら口を開いた。

「わたしはマウント取られるのマジだるい。でも華の言う通り、横の繋がりも大事だよな。ただ……それで彩鼓がイヤな思いすんのは部活的にマイナスだろ」


 みなみは黙ってみんなのやりとりを聞いていたが、やがて小さな声で言った。

「私は……彩鼓先輩と一緒に無線やってる時間の方が大事です。せっかく居場所ができたのに、ギスギスした集まりに行って壊したくない」



---


◆総意としての結論


 部室にしばし沈黙が流れた。

 やがて、彩鼓がふっと笑う。

「……ありがとう。みんなの意見を聞けて、ちょっと安心した」


 華は少し名残惜しそうに、「そうだね……」と呟いたが、すぐに顔を上げた。

「うん! 私も、やっぱりみんなで楽しく無線やってたい」


 こうして部員たちの総意は固まった。

 「参加見送り」の旨を丁寧に書いた返信を作成し、澄佳が封を閉じる。


「決まりだな」真宵が言う。

「亀田紗友里? 知らんがな。こっちはこっちで楽しくやろーぜ」



---


◆部室の笑顔


 その日の部室には、特別な解放感が漂っていた。

「じゃ、今日もオペレーター交代でCQ探してみようか」

「うん!」華がリグに向かい、マイクを握る。


 無線機から流れるノイズの中で、彼女たちの笑い声が響いた。

 外の組織や因縁よりも、今ここで一緒に過ごす時間の方が大事。

 その気持ちを、部員全員が確かに共有していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ