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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

雑多な小噺

倫理感

「おかーさん、どうしてひとをころしちゃいけないの?」

 世間一般から見て、私は倫理観が欠如しているらしい。小学校低学年の頃に、冒頭の質問をしたことがある。

 生命なんてただの現象に過ぎない。死というのは、その現象の終わりを示すに過ぎない。少なくとも、私はそうとしか感じられない。

 所謂サイコパスだろうか。私はそういうのに分類されるのかもしれない。

 だからだろうか。小学校から中学校まで、私は道徳という教科が嫌いだった。皆と著しく違うから。そして高校になっても、中学までに貼られ続けたレッテルというのは消えないわけで。と言うか高校に入ってからそういうレッテルがよく効いてくるわけで。


「あいつ、人殺ししたことあるらしいぞ」

「何なら人肉喰ったこともあるとか」


 ティーンエイジャーというのは噂話が好きな生き物だ。噂話というのは語り継がれる度に何かしらが変わっていく。何時の間にか私はカニバリストになっていたらしい。

 …ま、正直どーでもいい。「あいつは人間じゃない」なんてことも時々囁かれているけど、正直、自分でも自分が人間である確証が無い。時々自分でも思うんだよね、自分はヒトモドキで、偶々その辺に転がってたのを両親が拾ったんじゃないか、って。






「ただいま〜」


 ある日、学校から帰ると。

 居間には、赤い紅い液体の上に横たわる母親と妹が居た。

 普通の人間であればパニックに陥るのかもしれないが、私は特にそういうのは無かった。状況を冷静に分析し終え、110番通報し、警察が到着した頃には、ちょうど包丁を持って突撃してきた父親を偶然返り討ちにしていた。

 割と致命傷になりかねない部位に怪我をしていたこととか諸々考慮されて、正当防衛と判断された。私の心には、ぽっかり穴が空いていた。なんだ、私はまだ人間なんだな。よかった。






 世の中って、ほんと上手く出来てるな、って思う。

 異端者を生きづらくすることで異常を排除し、多数の正常のあらゆる物事を保障する。世界は、そうやって回っている。

 でもやっぱり、それだと犠牲はつきもので。

 異端者のことを世界は守ってくれないから。


 自分の身は自分で守る。それが無理なら自分を殺せ。


 結局、これに尽きるんだなって。

生きづらい少女の、山もオチも無い思考。

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