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満ちる。  作者: 雨世界
6/9

 白湯は寒さで思わずぶるっと一度、体を小さく振るわせた。雨のせいもあると思うけど、(雪の予報が出てるくらいだから)今日はいつもよりもずっと寒かった。(雨が降り出す前はそこまででもなかったから、ちょっと油断してたかも)

 白湯は高等学校の制服の上に紺色の薄手のコートを着ている。首元には白いふかふかのマフラーを巻いていて、寒さには気を付けていたのだけど、こんな風に外に出かけるつもりはなかったので、それ以外にとくに厚着はしていなかった。

 白玉は高等学校の制服の上に焦茶色のダッフルコートを着ていた。首元にはカラフルな色合いの格子柄のマフラーを巻いている。(それがいつもの白玉の寒くなってからの格好だった)

 白湯は鞄の中に折りたたみ傘(フリルのついた可愛らしいゴシック調の真っ白な傘だ)をもっていたのだけど、白玉は傘を持っていないようだった。(それはいつものことで、白湯は白玉が傘をもっているところを今まで一度も見たことがなかった)白湯が折り畳み傘を出して、白玉と一緒に相合傘をしようと思っていると、白玉は雨の中を傘を持たずに歩き出したので、白湯もそのままちょっとだけあわてて白玉について雨の中を歩きはじめた。傘がなくても大丈夫なくらいの小ぶりの雨だったけど、雨の中を傘をささないで歩くことはあまり経験したことがなかったので、白湯はちょっとだけどきどきした。(外国ではあまり傘をささないことが多いって聞いたことがあるけど、白玉が傘をもたないのは、そのせいなのかもしれない)

 白玉は寄り道しないで真っ直ぐに美術館まで歩いていった。白湯ももちろん、『おいていかれないように』白玉にしっかりとついていった。(少しだけ後ろを歩いた。本当は横を歩きたかったけど、傘をさして歩いている人が多くて無理だった)

 美術館は空いていた。建物の前にもあまり人は多くいなかった。その美術館で開催されていたのは、新人画家さんの展示会で(新人画家さんと言ってもこうして展示会を開催できるのだから凄い人なのだと思うけど)白湯はその人のこともその人の絵も知らなかった。

「じゃあ、はいろうか?」となんだか少し興奮しているような子供っぽい顔をして白玉は白湯にいった。

「うん。美術館の中、あったかいといいね」と言いながら白湯は少し雨に濡れた前髪をいじりながら嬉しそうな顔で顔をちょっとだけ赤くしながら(寒いからだよ)笑った。(そんな白玉の珍しく顔が見られただけで、美術館にきてよかったと思った)

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