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過去が追いかけてくるし、時は待ってくれないし

作者: 八百坂藍

目が覚めて。

私はすぐに目を閉じて、深くため息を吐いた。

最悪な気分だった。泣きたいとすら思った。

あるいは、素直に泣けば踏ん切りがつきやすいのかも、とも。

叶わなかった夢を見た。

現実では絶対に起こり得ない。

それが叶った夢から、覚めた。

全く、なんでこんな夢を見るのだか。

気にしない様に、努めて私は起き上がる。

うん、まだショックはあっても全然身体は自由だった。

身支度をして、いつも通り朝食を摂り、出社して、帰宅する。

私はやりたい仕事に就けている。

職場関係は良好で、一人暮らしの生活にももう慣れた。

彼女こそいないが、親元から離れたばかりで自由を謳歌してる身だ、無理に身持ちを固めるような歳ではない。

でも、偶然なのだろうか、そういう運命だったのだろうか。

突然上司から

「今幸せか?」

という質問が来た。

「普通に幸せですよ」

と返した時、嘘を吐いた、気がした。



家に帰って、鍵を即刻閉め、ベッドに倒れ込む。

核心をつかれたのか?

何故こんなに…

いや、深呼吸、深呼吸。

叶わなかったことを今更いってもしょうがない。

理想を求めすぎるのはいけない。

独りよがりほど迷惑なことはないのだ。

「私は、今幸せだ。」

間違いなくその独白は、自分への言い聞かせだった。




次の日私は休みだった。

特に予定も入っていない日だ。昨日メンタルに深刻なダメージもあったのだ、今日はゆっくり寝て起きようかと思っていたのに連絡が来た。

会社の先輩からゲームのお誘いだ。

10分後の。

まぁまぁまぁ、とはいえ、先輩とのゲームはとても楽しい、断る都合も理由もない。朝は先輩達とゲームに興じた。



ゲームが終わり、昼飯を食べる。

一人暮らしなのでね、超手抜きで納豆ご飯だ。

納豆を混ぜていると、また連絡が。

友達から夜ゲームをする連絡だった。

丁度夜は空いてる、うんうん、都合が良い。快諾した。

今度は着信音。

…嫌な予感がする。

案の定他の友人からまぁ昼遊ぶ予定まで来たので、その日は1日ゲーム三昧になったのだった。

断れなかったのかって?昼にかかってきた友人はよくごねるやつだったんだよ。しょうがないだろ。


結局終わった頃には日付が変わっていた。目がしばしばする。というか予定のなかった日なのに気付けば全部他の人の予定に時間を割いてしまった。碌に休んでないぞ。全く。

だが、不思議と心地は良かった。

こうやって遊んでくれる人たちがいるだけ幸せ者か。

「私は今幸せだ。」

そう呟いて、私は充足感とともに眠りについた。

夢を見ないほどの熟睡だったとさ。

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