ショートコント「通な客」
A:ツッコミ B:ボケ
二人「ど~も~」
A「いやー知ってますか?最近通ぶりたい若者が増えてきてるみたいなんですよ」
B「そうなんですか?まあ、高級志向とか流行ってるみたいですもんね」
B「なので通ぶる若者やります」
A「まって?」
B「なんですか?」
A「流れ可笑しくない?今の僕が通ぶりたい若者をやってあなたが突っ込む流れですよね」
B「そこを裏切るのが通なんですよ」
A「初めて聞きましたけど。せっかくネタ考えてきたのに出端を挫かないでくださいよ」
B「しょうがないですねぇ、順番ですよ?」
A「僕がわがまま言ったみたいになってます?早くまわしてくださいね」
B「わかりました。では私がカフェの客をやるのであなたは店員さんをお願いします。入店するところからいきますよ」
A「いいですよ。どうぞ」
B「……なにしてるんですか?」
A「え?なにがですか?」
B「なんでそんなまるでカウンターでお客を待つ店員みたいな姿勢取ってるんですか?真面目にやってくださいよ」
A「あれ?僕が店員ですよね?真面目にお客様を待ってるんですが……」
B「誰が真面目にやれって言ったんですか?」
A「嘘でしょ……。数秒前に真面目にやれって言った人の台詞じゃない……」
B「通ぶりたい客が普通の店員がいる店に行くわけないじゃないですか。そこは店員も通なんですよ」
A「初めに言っておいてほしいですけど……。じゃあどうすればいいんですか?」
B「まずは服装からですね。制服はボディペイントにしましょう」
A「まずはから挫けそうです。そこはほら……そうしている体でよくないですか?」
B「まあ私より通な店員だったら困りますしね。許しますよ」
A「許されました。ありがとうございます。じゃあボディペイントで制服を着ている体でいきますね」
B「あとはそうですね、スプリンクラーで水浴びながら接客してくれれば充分ですよ」
A「充分のハードルが高くないですか?」
B「水も滴る良い男を作るためですよ」
A「ボディペイント落ちちゃう……」
B「油性ではじいてください。では私が客として入店しますね。がちゃっ、どんがらがらがらがしゃん」
A「扉どうなったんですか?いらっしゃいませー」
B「私は県警に所属するポリス型アンドロイドだ。平和を守るため捜査に協力して貰う」
A「最初から客じゃない……。通な客とは……」
B「名をインフェルノディザスターMk-Ⅱという。俺のことはツーと呼べ」
A「ツーだった!しかもどう考えても平和を守る名前してない」
B「実はこの近辺で凶悪な犯罪ロボットが潜んでいるという情報が入ってな。聞き込みをさせて貰うぞ」
A「は、はぁ。協力するのは良いですけど僕は何も知りませんよ」
B「そんな恰好をして何も知らない訳がないだろ。どろどろのボディペイントだぞ」
A「あなたがさせたんですよね?仮にどろどろのボディペイントの店員がカフェのカウンターに立っててもロボットとは関係ないんじゃ……」
B「そのボディペイントは自分が生身の人間であることを証明するためだろう。それにこの派手に水をまき散らしてるスプリンクラー。これはロボットが近付かないようにするためだ。その証拠にほら、レジが壊れている」
A「ああ!店のレジが!防水にしてなかったばっかりに!」
B「つまりあなたはロボット犯罪に詳しい且つロボットに嫌悪感を抱いている人間だ。そんなあなただからこそ凶悪なロボットの情報を何か知っているに違いない」
A「ボディペイントやスプリンクラーが伏線だっただと……?いや、これは通な店員になるためにやってることですし……」
B「なに?通なカフェ店員になるためにボディペイントをしながらスプリンクラーの真下で水を浴びていただと?ただの変態ではないか!」
A「至極真っ当なこと言われているのにすごく釈然としない。このロボット殴りたい」
B「そうか……私は騙されていたようだ……。まさか私がこんな変態にしてやられるとは」
A「勝手に僕を変態にしないでください」
B「それに……私にはもう時間がない。スプリンクラーの水によって私の思考回路はショート寸前だ」
A「スプリンクラーの影響もろに受けてるじゃないですか!あと思考回路じゃなくで普通に電気回路ですよね」
B「無念……。かくなる上は、自爆してこの町諸共隠れている凶悪なロボットを吹き飛ばしてくれよう!」
A「お巡りさん助けて!ここに凶悪な犯罪ロボットがいます!」
B「10……9……8……7……」
A「なんかカウントダウンし始めた!」
B「6……5……4……」
A「ど、どうするんですかこれ!」
B「3……2……」
A「時間がない!」
B「2……2……2……」
A「あれ?カウントが止まった?」
B「2……2……2……」
A「……まさか、それが通な客ですか?」
B「はい、そうです」
A「どんなオチだよ!!もういいわ!」
おわり