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作戦会議

ご無沙汰しております。

無事私用が終わったため、連載を再開します。

連載再開にあたり、第一部最終節を書き直しました。

そのため、書き直した部分から掲載を始めます。

内容も大幅に変わっていますので、ご一読いただければ幸いです。

それでは、宜しくお願い申し上げます。

「現状を鑑み、ソイニー達が到着するまでに攻撃を仕掛けた方が良いかと。東京で決戦となると姫様の無事が保証できません」

「しかし、皇級魔導士2人、帝級魔導士2人相手に通常武器で敵うと思っているんですか?」

「呉から向かっている第一艦隊をぶつければ良いのでは?」

「第一艦隊は、対魔導士用ミサイルを搭載しているが、それでも防がれてしまう。それならば、航空機によるガトリング攻撃の方が有効かと」


 王宮司令室の作戦将校達が議論を交わす。

 だが、誰も有効手段を打ち出すことができない。

 議論は平行線を辿る。

 すると、急にドアが開き、通信員が入ってくる。


「姫様、第一艦隊が偶発的にソイニー様達と戦闘になり、消滅しました。」

「なんですって」


 皆が到着を待ち遠しく思っていた、東京の救援に向かっていた第一艦隊が消滅‥‥‥。

 そうなると、東京での米帝との戦いも厳しくなってしまう。

 本来ならば、東京にソイニー様が到着するまでにケリをつけたいところだけど、そんな兵力はここに残されていない。

 おそらく、ユーリ様に頑張っていただいたとしても、皇級魔導士2人とソイニー様を同時に相手することなんて不可能だ。


「え!? 本当ですか?」


 なにやら通信員にさらなる情報が入ったようだ。


「どうしたのですか?」


 姫様は通信員に聞く。


「はい、米帝の軍隊が一斉に撤退し始めたみたいです」

「ということは、米帝は、東京がこれから過酷な戦場となると想定しているわけですね」

「おそらくは」


 姫様はゆっくりと立ち上がる。そして語る。


「賽は投げられました。たとえ、魔導士達を天界魔導士に向かわせたとしても、各個撃破されてしまうでしょ。ならば、東京で迎え撃った方が勝率も上がるでしょう。至急各地に散った魔導士をかき集めてください。ここ東京で、天界魔導士達と戦います」


 姫様はついに覚悟し、皆に決意を伝え指示を飛ばす。

 その意思の硬さは周りの作戦将校にも伝わり、誰1人反対する者はいなかった。

 これから東京決戦が始まる‥‥‥、皆が心の底で覚悟を決める。


 この戦い、負ければ日本は滅び、日本人は皆、養魂にされてしまう。


 姫様の決意を受け、東京決戦に向け、天界司令室が慌ただしくなる。

 今動ける全ての日本王国魔導士をかき集めるため、各々が指令を出し続ける。

 そして、近隣住民への東京からの緊急退去命令も出る。

 そして、最終決戦地は、王宮東御苑となった。


 チームニベリウムも、引き続き姫様の警護を担当することになる。

 

 しかしここで問題が発生した。

 一部の司令官が、万が一のため姫様を東京外へと流した方がいいと言い出したのだ。


「姫様、姫様さえ生き残ればまた、日本は再建されます。お願いですから、東京からお逃げください」


 そう申しつけてきた者達は全員真剣に明日の日本の運命を考えていた。

 何が最善策なのか考え、姫様だけでも生き延びさせた方がいいと判断した。

 そして、その判断に口を挟む者もいない。

 皆内心、姫様を前線に立たせたくないと思っている。

 姫様が死ねば、日本は終わる。

 だから、本当は姫様だけでも逃げてほしかった。


 姫様も、皆の考えは十分理解していた。

 しかし、ここで逃げれば、日本は誇りを失う。さらに、逃げたとしても、世界や天界が敵なのである。逃げ切れるだろうなんて甘い考えは姫様の中に微塵もない。


「ありがとう。あなた達の気持ちは、とても嬉しいわ。だけども、私は逃げません。私は日本王国の姫です。日本王国民を守る責務があります。恐怖に震える王国民を見捨てることなど、できません。それに、皆分かっているでしょう。もはや我々は逃げ切れません」


「「……」」


 姫様の正論に皆黙る。


「いいですか! 我々の命は王国民のためにあります。今が我々の責務を果たす時。さあ、準備を進めてください!」



 こうして、僕らは王宮東御苑に指揮系統を移し、姫様も前線に赴く。

 次第に、緊急招集令を受けた魔導士達が集まってくる。

 今回は軍役が課せられている中級魔導士以外に初級魔導士まで招集された。


 先のシルベニスタ大戦から約15年。

 この15年間、日本は大きな戦争を経験していない。

 そのため、戦争を経験するのが初めての魔導士達もいる。

 皆の顔には不安の色が伺える。

 だが、日本王国魔導士は招集に応じ、次々と集合する。

 自分の命と大切な者を秤にかけ。

 自らの誇りを守るため、愛する者を守るため、それぞれが己の信念に基づき結集する。


 多くの魔導士が集まった時、姫様が壇上に登る。


「日本王国魔導士諸君、よくぞ結集してくれました。間も無く天界魔導士がここ東京に攻めてきます。正直、勝てるか分かりません。しかし、我々は倒れるわけにはいかないのです。我々の後ろには、たみがいます。我々に命を委ねた民達が。その民達を守ることが魔導士諸君の責務であり、私の責務でもあります。私は所望します。あなた達魔導士の命をこの国に捧げることを。そして、この国の未来の活路を開くことを。それ以外に、この国が生き残る方法はありません。大丈夫です。あなた達は、誇り高き日本王国の魔導士。先の大戦シルベニスタ大戦でも我ら日本王国が勝利を納めました。今回も、我々の力を結集すれば、天界魔導士を打ち破ることだって可能なはずです。王国の興廃この一戦にあり、今こそ各員一層奮励努力する時です!」


「「おーーーーーーー」」


 姫様の叫びに呼応し、不安に駆られていた魔導士達が一斉に叫び出す。

 自分の不安をかき消すように。

 自分を鼓舞するように。


 姫様が、士気を高めた時だった。


 ————ブワン


 という音とともに、上空に直径1 kmの光球が現界する。


「あれは!」


 姫様が身を乗り出しながら叫ぶとユーリ・シルベニスタが淡々と告げる。


「あの大きさの光球を出せるのは皇級攻撃魔導士のロイスですね。ついにきましたか。私が行きます」


 光球は突然現界し、そして落下してくる。

 すると、ユーリ・シルベニスタが前に歩き出し、次の瞬間、地面がえぐれるほど光球に向かって強く跳躍する。


「『無限暗黒ブラックホール』」


 シルベニスタが剣を抜き、光球を一刀両断する。

 すると、光球の切断面が黒点が生じ、光球がその黒点に向けて吸収され始める。

 そして、あの巨大な光球は全て小さな黒点に飲み込まれて消えてしまった。


 これが、英雄ユーリ・シルベニスタの技の一つ。

 大概の物質を飲み込んでしまう『無限暗黒』を現界させることができる。


 ユーリの一撃に、日本王国魔導士たちは歓喜する。


「やはり、ユーリ様は最強だ!」


 そういった言葉が宙を舞う。

 姫様も、一瞬肝を冷やしたが、ユーリの働きのおかげで胸を下ろす。


「おいおいおい、無詠唱で魔導を現界させる奴がいると思ったら、下界に1人しかいない皇級攻撃魔導士の1人がお出ましかよ。ユーリ・シルベニスタ」


 光球の眩い光で見えていなかった天界魔導士ロイスの姿が上空に見えるようになる。その後ろにはソイニー師匠やアーシャ、ナタリーも見える。


「天界皇級攻撃魔導士ロイス・ハミルトン。久しいな。シルベニスタ大戦以来か?」

「ユーリ、お前は歳をとったみたいだな。下界人は時間の進みが早いからすぐに老いぼれるな。みすぼらしくて同情するよ」

「同情などいらん。ロイス、お前はここで斬る」

「わはは、笑わせるな。この圧倒的な戦力差でお前に何ができるんだ。今のお前には、俺を止めるのが精一杯だろう」

「確かに、ロイス。お前の言う通り、皇級魔導士3人相手に、するのは馬鹿げたことかもしれない。しかし、俺は必ずお前達を止める。後ろに守らなければならない人がいる。ならば、私は倒れるわけにはいかないし、決して倒れない!」

「天界魔導士も舐められたものだ。ユーリ‥‥‥お前ほどの魔導士が、道を誤るとは嘆かわしい。ならば、我らから日本を我らから守ってみせよ。ユーリ・シルベニスタよ」





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