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そのご 中流階級の没落 そして豊さ

「そして、お父様、このままではやはり国が滅びますよ」


「な、なんだってー?!

 それは本当なのかキバ〇シ!」


 その言葉に(わたくし)は苦笑して答えます。


「だれがキ〇ヤシですか。

 それはともかく歴史は繰り返すといいますが、現状のヤパン王国は明らかに亡国の兆しをみせています。

 そしてそれは過去に3回あり現代で4度目です」


「ヤパンの人口減少が過去三回に加えて現代で4度目だとして、なぜ起きたのかね?」


「まず最初の人口減少は縄文時代後期・晩期ですわね。

 この時はまず4200年ほど前に大きな寒冷化があり、さらに3000年前にも寒冷化が起きました。

 それによって26万人いた人口が、8万人にまで減ったとみられています。

 これは植物の植生変化によりクリやクルミ、ドングリの確保が難しくなったり、干潟が失われて貝の採取が難しくなったことが原因だといわれています。

 なおこの時に大陸でも北方から 4200年前に大きな気候変動があり、それで長江流域の文明が崩壊したと考えられています。

 その一部は船に乗りヤパンへやってきて陸稲の栽培を始めました。

 そして3000年前には水田での水稲稲作や鉄器の制作の技術を持ち込んだとみられますわね。

 畔などを作って水田で水稲を植える稲作の技術が日本に定着したのは、今から2800年前ごろのはずですわね。

 実のところ約7,300年前の鬼界カルデラの大噴火のさいも九州、四国、本州瀬戸内海沿い、および紀伊半島でが火山灰の堆積が20cm以上ありましたので、人口減少は起きたとは思われますが、後ほどには大きな減少はなかったようです」


「それはなぜだね?」


「九州から紀伊半島にかけては干潟などが少なくそもそも大きな人口を養えなかったためといわれています。

  逆に寒冷化が進んだ時に西日本では海岸線が徐々に後退し陸地化した場所には沖積平野が形成され、も多く出現し、水田稲作の絶好の耕地となったため西日本では水稲の水耕栽培が盛んになったと考えられているようですわね」


「なるほどな、しかし、この場合の人口減少は寒冷化によるものでどうしようもなかっただろうな」


「そうですわね。

 次は平安時代の中期から末期にかけてです・

 平安時代中期から私的な土地所有として荘園がどんどん増加し、灌漑施設などの大規模土木工事を国が行わなくなった結果、農地がふえなくなっていきます。

 さらに平安時代中期以降は蝦夷討伐のような大規模な軍事行動もなくなり、治安維持を行っていた軍団も解散されていきます。

 そこに温暖化が起こり、特に西日本では旱魃が頻繁に起こり、水田の水の確保が十分できなくなり飢饉が頻発するようになっていきます。

 さらに907年に唐が滅び、そのまま遣唐使も消滅すると大陸からの進んだ農耕技術なども入ってこなくなります。

 そういったこともあり未来に希望が無くなったことが末法思想として仏教が一般大衆に広まっていくことになり、人口増加が停滞そして減少に至ります。

 その後、宋との交易がおこなわれるようになると新たな農耕技術や干ばつに強い品種のコメなども入ってくることにより人口は増加にむかいまして、それは江戸時代中期まで続いていきます。

 しかし、江戸時代は外国との交易が極端に制限されたためやはり先進的な技術が入ってこなくなり、水田を広げたり生産量を増やすことができなくなります。

 また、そもそも日本全体として言えば米は過剰生産な状態であるためコメの価格がどんどん下がって貨幣の価値が上がることになるのですが、石高制をとっていた武士階級にとってこれは致命的なことでした」


 私がそういうとお父様は首を傾げました。


「うむむ、どういうことかね?」


「武士の給料は米で支払われますが生活のさいの支払いに使うのは主に銅銭です。

 そして米と銅銭を交換する際に年を追うごとに交換できる銅銭が減っていくということになります」


「それでは当然武士は貧乏になっていくな」


「ええ、そういうことです。

 そのため子供を増やさないために江戸時代は晩婚化が進みました。

 具体的にいえば男は25~28歳、女は18~24歳程度だったといわれてます。

 丁稚奉公から始めた商人の男性であれば早くて30前半、遅ければ40台ということもあったようですが、そもそも番頭より下は結婚できませんでした。

 女性では3年ほどではありますがまずそれで1人か2人、子どもの数を減らすことができましたし、授乳期間を長くすると、次の子どもを妊娠しにくくなることをも知られていましたので、子供が5歳くらいになるまでの長期間の授乳を行っていました」


「なるほど、しかしそれは食料を得られる限界があったから行われたことであろう」


「ええ、そうですわ。

 特定の土地の広さと農業技術によって収穫できる量は決まっていますから、当然養える人間の数には限界があります。

 そして現代のヤパンの人口減少の理由ですが、まず養える人間の数の限界に突き当たっているといえましょう。

 これは極端に進む少子超高齢社会も後押ししていますし、工業機械、コンピューター、産業用ロボット、AIの普及などのより人手が不要になっているということもあります」


「学校教育の問題で第二次産業の割合が減少しているというのはそういう理由もあるわけだな」


 私はお父様のことにうなずきます。


「ええ、その通りですわ。

 それと中流階級の没落も問題です。

 現在のヤパンはかつて言われたような一億総中流ではなくなり、若年年齢の減少を諸外国からの社会増でや海外の工場での現地就労者で補おうとしていますがこれは危険なことです。

 ローマ帝国は最強の市民の兵隊によりその版図を拡張しましたが、その結果軍事を傭兵に頼らざるを得ずそしてその結果476年に西ローマ帝国は滅びますが、その滅ぼしたオドアケルが西ローマ帝国の傭兵隊長だったのですね。

 翻ってヤパンのことを顧みればコリアン国にフラッシュメモリーの技術を伝えて、メモリー分野見事追い抜かれた事実があります

 自国ではなく安いからと他国に頼れば結果として自国民がやる気を失うだけなのですが、会社経営者は数字だけよくなれば良いとしか考えないようで」


「困ったものだな」


「競争優位性の源泉をアウトソースすることは自国の破滅を招くのですよ。

 さらにローマ帝国において末期では結婚したことのある女性は全体の55%しかいなかったそうですが、それは、この当時は出産リスクが高く、母体の出産時死亡率は10%以上あったこともありますが、紀元前一世紀末のローマが、貧しくそれゆえに将来に希望が持てなかったのではありません。

 むしろ、裕福で贅沢に溺れ、子を産み育てるよりも楽しいこと快適なことが多かったのです。

 当時は男性も女性も独身を通したとて、不都合は全くなかったですし、家事は奴隷頭が指示を出して、奴隷たちがすべてしてくれました。

 現代では奴隷はいませんがその代わりに便利な家電製品が必要な家事に関してほとんどはやってくれます。

 そして現在のヤパンは男はソシャゲに夢中になっていますからね」


「前も言ったが、そもそもゲームのキャラクターよりも魅力がないと思われる女の努力が足りないんじゃないのかね?」


「あのですね、お父様?

 今お父様は間違いなく世界中の女性を敵に回しましたわよ?

 そういった発言をする前に女性とのコミュニケーションを楽しめない男性に問題があるのですわ」


「いやいや、そりゃ無茶なことだ。

 男は基本コミュ障だぞ」


「そういったことにある原因の一つが学校教育だと私は申し上げたいですわ。

 ヤパンの学校にもプロムパーティを取り入れるべきではないでしょうか?」


「そんなことをしたらイケメン以外にはぞ国にしかならないが?」


 私は風とため息をついて言います。


「お父様?

 世の中の女が容姿的なイケメンにしか惹かれないわけではないのですよ?

 ですが、イケメンじゃなくても、努力しなくてもかわいい女の子が一人くらい好きになってくれるはずだというほど甘くはありませんわ。

受け身で自分から何もしようとしないのに他人が勝手に好いてくれるなんて言うのはなろう系恋愛だけの中の話ですわよ?

 幸せになりたいとか好かれたいとかぼんやり思って何の努力もせずに待ってるだけでは案山子と変わりませんわ」


「ぐ、手厳しいな」


「別にイケメンの金持ちでなくけも、一緒にいて楽しい時間を過ごせるように配慮さえしてくれれば、それで十分なのだと気が付いてほしいものですわね。

 結局のところお母様もお父様のことがお好きなのですから」


「ははは、そう見えるか?」


「はい」


 私がコクリとうなずいた所で突如として、ドアがけ破られました。


「夫婦でデートの時間だゴラァ!!」


 ぶちぬかれたドアの後ろから現れたのはお母さまでした。


「あら、お母様」


 そしてお父様はお母さまのお姿を見て狼狽しています。


「な?!

 い、いつから?!」


「結局のところお母様もお父様のことがお好きなのですから……ってところだゴラァ!!」


 お母さまはその丸太のような腕でお父様の首根っこをつかむとずるずると廊下へと引きずっていきました。


「これからうまぴょいの時間だゴラァ!!」


 やはり夫婦仲がよいのは大変良いことですね(白目)。


 ・・・


 というわけで、まあ人口減少根本的な問題は現在の日本が平和で豊かであるが、様々なコストがかかりすぎることかなーとも思ったりします。

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