数字 秘密
暗闇の中で一人の女性が数字を伝えている。
「30」
一方で暗闇の外、光の中にいる男性は、その数字を聞き取って確認していた。
「30、了解」
両者のやり取りは、規則正しく交互に行われていく。
「47」
「47了解」
「14」
「14了解」
「23」
「23了解」
十数分続いたそれは、やがて途切れる。
闇の中にいた女性が、光の中へやってきた。
そしてその女性は、待っていた男性へ話しかけた。
「生存者はいませんでした」
「大変だっただろう。お疲れ様」
彼らは、事故現場の調査をしている所だった。
とある洞窟の中で、死体が発見された。
その知らせを聞いて、たまたますぐにかけつける事ができたのがこの二人だけだったのだ。
どこから聞きつけたのか、洞窟の周りには人だかりができている。
「レスキューの制服を着てるから目立つのね」
「集まってきても、何もできないから邪魔なんだけどな」
「しっ、聞かれたら批判ものよ。心配して様子を見ている人達にきつい言動したって」
「言わせておけばいいんだ。シートは持ってきたか? 外野の連中に見えないように、ご遺体を運び出すぞ」
「その作業がなかったら、もっと早く陽の光の下に運び出せるんだけど」
「同意だけど、これ以上は隊員規則5(必要以上の私語は慎む事)だ」
「了解」