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そして僕は旅に出た。  作者: 高天原
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覚醒 覚醒

不定期掲載ですいません。

「どうやら抵抗しても無駄なようね。」


「そのようじゃな。出会った瞬間こうなる定めなのじゃ。」


そう言うと日向と少女は重なり、風が巻き起こり暗闇が二人を包みこんだ。中では嵐が起きてるかのように、轟音がとどろき稲光が走っている。そうして宙に舞い上がると空の雲を吸い込み、地上の砂埃を巻き上げ、一本の柱のように竜巻を作り出した。飲み込まれないように必死に建物にしがみついていると、その竜巻の中を巨大な稲妻が走った。それと同時に竜巻は消え去り、中から光の玉に包まれ、着物を着た日向が現れた。日向がもう一人の少女に飲み込まれてしまったと思い、思わず飛んでいき叫んでいた。


「日向!」


すると日向は俺の方を向き頷くと、


「ちょっと待ってて。」


姿は着物を着ているが、その声は日向だった。そうして城に舞い降りると団長の元へ行き、森下のところへ案内するよう頼んでいた。その様子を見ていた大蛇は、


「『國姫』だろうが誰だろうが構わん。喰い殺してくれる。」


口を大きく開き噛みつかんと飛び掛かってきた。しかし日向のひと睨みで硬直したように動けなくなってしまった。


「まあ待て、今日は気分の良い日じゃ。そちの相手は別におる。みずのえみずのと参れ。」


呼ばれた者達は空間を切り裂いたように、日向の両側より姿を現し跪いた。


「お呼びいただき光栄でございます。」


「お前たちも息災であるようじゃな。ひとつ遊んでやってはくれぬか?」


「仰せのままに。」


日向はそう言って振り返ると、団長に再び森下の案内役を頼んだ。

大蛇はその光景に激昂し、さらに力を爆発させ黒鉄の龍に変身した。


「貴様ら全員喰らって我が力にしてくれる。」


その驚異的なパワーを見て壬・癸の二人は顎に手を当てて感心していた。黒鉄の龍は口から火炎を吐き出し、日向たちに向かって襲い掛かってきたが、壬・癸の二人が水の壁を張り炎から日向達を守った。日向は振りむきもせず、まるで当たり前の事のように気にもせず、そのまま団長を先導させ森下の場所へと向かっていった。残された壬・癸の二人はまるで緊張から解放されたように、肩を回しじゃんけんを始めだした。何が起こっているのか理解できずにいると、壬が一人で前に出てきた。


「しょうがない。俺が相手になるよ。」


ため息交じりにやる気のない仕草を見せると、後ろで癸が笑いながら相手するよう応援していた。そんなやりとりをしている間に黒鉄の龍は尾で渾身の一撃を放った。鱗の一枚一枚がまるで磨き上げられた刃のように鋭く、一撃のもとにやられてしまったかに見えたが、いつの間にか黒鉄の龍の背後に回っていた。その後も龍は攻撃を繰り出すがことごとく空を切るだけであった。


「力があることは認めるが、そのデカさだと早さについてこれないだろう。」


要は一撃必殺の攻撃も当たらなければ意味がないと言っているのだ。


「ふん。お前こそ我に触れもしないではないか。どのみち我にはお目の攻撃など効かぬがな。」


「確かにお前は硬くて丈夫そうだな。どれちょっと本気を出そうか。」


剣を抜くと一瞬の内に背後に回り込み、尾をめがけて剣を振り下ろした。高い金属音が響いたが、鱗に傷ひとつ入らなかった。


「硬ってー、手がしびれる。どんだけ丈夫なんだよ。」


「ガハハッ、お前の攻撃など微塵も効かぬわ。」


すると剣を収め今度は素手で手刀を作ると、手の周りに薄い膜のようなものができ鱗めがけて手刀を振り下ろした。すると鱗が一枚剥がれ落ち、それを拾い癸に見せていた。


「何だと?貴様一体何をした。」


「ちょっと本気出すって言っただろ。それよりそんなバカでかいままだと丸裸にするぞ。お前ももっと本気出せよ。俺だけ本気出してると恥ずかしいだろ。」


「貴様!許さんぞ。」


身体を丸め鉄の塊のようになると、みるみる小さくなっていき、1メートルほどの大きさになると、鉄の塊にひびが入り、ムカデの姿へと変身していった。


「この姿を見た者は生きて帰さん。」


先程までの周りを破壊するためだけの暴力から、対人用の戦闘スタイルに変化させていた。というのも先ほどまでは壬に触れることもできなかったのが、明らかにスピードが上がり、衝突による火花が散っていた。しかし俺ではそのスピードに目がついていけず、火花で衝突した形跡を辿っているだけだった。


「どうした手も足もでんではないか。先ほどまでの威勢はどうした?」


それに答えることもなく壬は逃げることで精一杯のように思えたが、癸はそれでも動く気配はなかった。それどころか戦っている二人から距離を取り始めたのだ。敵の本当の姿にまさか逃げようとしているのではと疑ったが、次の瞬間その意図が理解できた。二人の周りに徐々に霧が立ち込め視界を塞いでいった。それでも戦っている事は衝突音で理解できた。何度目かの衝突で火花が散った瞬間大爆発が起きた。いわゆる水蒸気爆発を誘導したのだ。その爆発の中で壬は自らの体の周りに水の球体をまとい、爆発の衝撃を逃れていた。一方ムカデは爆発の中心にいたため、その爆発の衝撃とその後空気が一瞬で奪われたことによる真空状態になり、頭から地面に落ちていった。すかさず壬はムカデを同じく水の球体の中に閉じ込めてしまった。


「いやー小さくなってくれて手間が省けた。」


その球体の中でムカデは意識を取り戻すと、外に出ようと突進してくるが水の球体はびくともせず、縁日で取った金魚のように水の中を泳いでいるように見えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


日向は団長の後をついて森下がいる場所を目指していた。団長は突然起きたこの事態に理解が追い付かず、


「貴様らはいったい何者なのだ?」


「あなたたちの味方よ。て言っても理解できないわよね。この世界はもう森下さんの夢ではないの。夢の中から幽世かくりよという魔界みたいなところね、そこに繋がってしまったわけ。従事長というのはそこの魔物のようなもの。そして私もそこの住人なわけだけど、最初にいた私は現世うつしよという現実世界から来たの。このまま森下さんはこの夢の中に居続けると、二度と現実世界には帰れなくなる。だから森下さんを連れ戻すために来たのよ。」


「この世界の住人で、もう一人は現実世界から来たとはどういうことなのだ?」


「訳あって詳しくは説明できないけど、私は子供の頃に二人に分かれたのよ。できれば二度と自分に会いたくなかったんだけどね。」


「そちは相変わらず往生際が悪いのう。こうして久しく一緒になれたのだ、このような事どうでもよい。はよう上の世界に参ろうではないか。」


急に入れ替わる日向を見て、団長は一つの体に二つの人格が入っていることに目を丸くしたが、先程の話からそれが真実であることに納得していた。


「なるほど。先ほどのそなたと話をさせてくれぬか。」


「ごめんなさいね。森下さんは必ず助けるから。」


「いや話は分かった。そなたが主を救わんとしている事も理解できた。しかしこの世界が幽世という世界ならば、どのようにして主を連れ出してくれるのだ?」


「もう一人上の世界から来ているのよ。案内役はその彼に任せるは。でもこの世界もあまり時間がないみたい。森下さんの夢を真似て作ったんだろうけど、もう景色が消えてきている。このまま森下さんがここに居れば、もう二度と現実世界に戻ることはできなくなってしまう。」


その話を聞き団長はも森下が今も眠ったままになっていることを告げたが、一刻を争う事態なので、少し手荒な真似をするが心配しないよう諭した。

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