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そして僕は旅に出た。  作者: 高天原
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目覚め 2

きまり悪そうにみんなのところに戻ってくると、自分の事を気に入ってくれたと自己解釈し、自分にだけ笑顔で挨拶してきたと自慢していた。完全にゆるみ切った顔にその場にいた全員が、それはないと手を振った。それでもヒロに届くことはなく、明日から毎日通うと決意していた。

名前は何て言うのか、年齢はいくつだろう、彼氏はいるのかなど、帰り道はずっとそんな話ばかり誰に言うわけでもなく、うわごとのように繰り返していた。女子達も苦笑しながら、手の付けられないテンションに少し距離を取り始め、別の帰り道という理由で分かれることとなった。ヒロ以外は皆申し訳なさそうに手を振って見送った。受験のストレスから解放するには現実逃避も必要だろうと、皆大目に見ていたが確かにウザい。とてもウザい。

その時のテンションだけかと思いきや、翌日から本気でパン屋に通う事となった。そのパン屋は「ルシード」という名前で、朝8時開店夜19時閉店。午前10時と午後2時に各1時間ほど仕込み休憩があるそうだ。開店とお昼と午後4時からは一番忙しい時間帯で、狙い目は休憩後の11時と午後3時、あと閉店間際だそうだが、その時間はどのみち授業中なので、閉店間際まで待つという意気込みを見せていた。問題はお金だったが、ヒロの家は父親とヒロの二人暮らしで、いつも購買でお昼を買っており、そのお金で夜パンを買い次の日のお昼に食べるようにすれば、毎日通えると常連化計画を密かに企てていた。いつも一緒に帰っているカズと俺はあまり遅い時間までは付き合えないと、いつも通りシバケンの家で遊んでからは帰ることにした。

カズとの帰り道、ヒロが本気で毎日通って本当に付き合ったらとか、のめり込み過ぎてパン屋で働くことになるかもなど、笑い飛ばしていたが、現実に毎日パンだけは無理だし、毎日帰りが遅くなるのも限界があるだろうから、今の内だけだろうと様子を見ることにした。俺は少しくらい遅くなっても、電車ではないので行けるときはヒロに付き合ってみることにした。

高校生活最後にして最大の事件。ヒロが誰かを好きになるなんて三年間一緒にいて初めての事だった。応援したい気持ちもあるが、進学を控えているこの時期とはタイミングが悪いとしか言いようがなかった。しかも相手は社会人。常識を考えれば無理があると、周りは見守るしかできなかった。

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