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そして僕は旅に出た。  作者: 高天原
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風のたどり着く場所 噂5

もう少しで今回のお話は終了します。

宜しくお願いいたします。

そうと決まればやる事はただ一つ、一人でも多く一秒でも早く真実を広めなければ。一目散にシバケンの家に向かい、大至急ヒロとカズに連絡を取ってもらった。やはりE組の彼は精神的な病になり入院したとの事だった。他の仲間達にもこの事件の真相を話した。あの二人は嵌められていて今生命の危機にある事、噂は全て嘘で真実を広めることで二人を救えるかもしれない事。そしてこの噂には犯人がいる事。時間はあまりない、絶対に助けられる保証もないこと、それでもみんなの力が必要な事を伝えた。


「カッコいいんじゃね?命を救って大どんでん返しなんて。」


シバケンはタバコを咥えながらハイタッチしてきた。

そう俺達は良いか悪いかで行動しない。カッコ良いかカッコ悪いかが全てだ。


翌日ヒロやカズにも話し、出来る限りの真実を広めるよう一人でも多くの友人に話してもらうよう伝えた。その話にヒロは少し考え協力はもちろんするが、犯人捜しはしないと言った。あわや殺人ともとれる行為だが、本当に殺すまで考えていたのかが疑問のようだ。本当はただのイタズラだったが、本人にも抑えきれないほどに膨らんでしまい、悪意が独り歩きした結果なのではないかと考えていた。俺達もその話を聞き、俺達が仕返しして誰が得をするんだろう。あの二人が助かれば、それでいいはずだ。犯人を見つけてどうするつもりなのか?学校から追い出すのか。自殺にでも追いやったとしたら、俺達は犯人と同じになってしまうのではないか。


「ヒロもたまには良いこと言うな。」


「でしょ?今のカッコよくない?」


「調子乗りすぎでしょ。」


真実を広めるのは早急に、犯人捜しは無しの方向で、結果犯人が出てきても俺達は一切手を出さない。この取り決めで一同納得し各自友人達に伝えに行ったが、ヒロは動かずにいた。


「まさか友達って俺達だけってことないよな。」


「お前馬鹿にしてるだろ。俺には考えがあるの。まあ皆頑張りなさい。」


何か思惑があるのかヒロは休み時間も動く事はなかった。ただ時折気色悪くニヤニヤしていた。

昼休みいつものように皆で弁当を広げると、ヒロは購買に昼飯を買いに行っており、ヒロの席だけ空いていた。


「なあヒロだけあの話誰にもしてないと思うんだけど。」


シバケンが訝し気に皆に聞いてきた。皆もそれを不思議に思っていたのかヒロの行動が分からなかった。その時校内放送のチャイムが流れてきた。


「えー。お昼休みのひとときいかがお過ごしでしょうか?」


ヒロの声だ。いきなりの放送で何が始まるのか、教室内は皆スピーカーに注目していた。


「本日はとても大切なお知らせがあります。ある噂に関する事です。皆も一度は聞いたことがあると思いますが、誰と誰が付き合っているとか、他愛もない噂話です。そんなごく当たり前の噂話が今、二人の生徒を苦しめています。学校にも来れません。なぜならこの噂話が元になり現在二人は入院しています。病気になり今も一人で戦っています。誰が苦しめているのではありません。みんなが二人を苦しめているのです。

皆さん想像してください。自分が言われていることを。勝手に誰かと付き合わされ、毎日一緒にいるとか、妊娠したとか、親に会いに行ったとか。全て嘘なんです。それを毎日聞かされてみてください。一人は一回しか言ったことがないかもしれません。でも全校生徒が一回言うだけで何百回もの嘘を聞かされるんです。だから嘘をつくのではなく、真実を話してください。二人は付き合ってません。こんな話つまらないかもしれません。それならこの放送の話をしてください。あの噂は嘘だったと放送した奴がいたって。それも真実です。全員がこの放送を聞いてくれてればいいですが、聞いていない人の為に伝えて下さい。嘘をつかなくていいんです。本当の事だから。皆さんお願いします。」


放送は終わった。少しの静寂の後一斉に笑いが起こった。

馬鹿にしてる奴、呆れてる奴、それでも一度はあの噂を口にしたことがある者は責任の一端があるのか、やっぱり嘘だったんだと口々に話しているのが聞こえてくる。俺達はその光景を見ながらみんなでハイタッチをした。


昼休みも終わる頃ヒロはバツの悪そうにみんな聞こえた?と言って戻ってきた。放送室ジャックで先生に捕まり、今まで職員室で正座させられていたそうだ。ヒロの犠牲で俺達は大どんでん返しに成功した。


あの放送室ジャック以降しばらくはあの噂に関する話題で持ちきりになっていたが、ほとぼりが冷めるとすっかり聞かなくなり、むしろヒロが注目を集め、次の放送ジャックはいつやるかなどすっかりスター気分になったほかは、以前と変わらぬ風景が戻ってきていた。村上先生も現場復帰を果たし、あの事件があったクラスも当時の詳細を他の先生から説明され、全員が村上先生に謝罪し誤解は解けたようであった。

ただあの黒板の文字が浮き出てきたことや吸い込まれていったなど、まだ解明できていないこともあるが、それでも一応の決着はついた。

帰り道日向の姿があった。さすがにお手上げと言っていたように、今回は日向の出番はなかったが、色々不透明な部分も多く確認したいこともあったので、後を追って行くと、


「もし暇だったら君も一緒にくる?」


いきなりだ。まだ一言も話しかけていない。それどころか振り向いてもいないのに。


「何で俺だってわかるんだよ。お前エスパーか?」


「私に気付いて声を掛けてくるなんて、君くらいのものだもの。」


「で、どこに行くつもりなんだ?」


「岩田山。」


岩田山とは街外れにあるさほど高くもない山で、これといって何があるわけでもない本当にただの小さい山だ。


「そんなところに何しに行くんだ?」


「今回の事件で言葉の力が悪用されてしまったから、一度それをリセットしに行くの。」


「リセットってそんな事できるのか。」


「使い方を知った本人からお願いされたのよ。」


「本人て、犯人を見つけたのか?」


「むこうから私の家に来たのよ。」


「お前の家って?何やってるんだっけ?」


「一応、土地神を祀ってるんだけど、知っている人ももうかなり少ないみたい。大体父親はスーパーで働いてるし。」


「へぇー、で何でお前がそのリセットの仕方知ってんだ?」


「これも一応よ。代々受け継がれて来たんだから、覚えさせられるのよ。」


「報復はしたのか?あの時同等の報いをって。」


「あんな姿見せられたら、報復なんてする気もなくなるほどよ。」


「そんなにひどかったのか。」


「見た目はそうでもないけど、内側がね。むしろああなってしまってずっと誰かに助けてほしかったのはあの子なんだろうな。」


「反省してなかったらどうするつもりだったんだ?」


「人の道を外れたやり方なんだから、もちろん人の力以外を使って教えてあげたわよ。」


その先は聞かないでおこうと思った。

まあ時間もあるし他に聞きたいこともあるので、道すがら疑問に思っていたことを聞いてみようと、岩田山ままで同行することにした。

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