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そして僕は旅に出た。  作者: 高天原
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風のたどり着く場所 噂

モヤモヤした気持ちのまま放課後になり、帰り支度をしているといつの間にか仲間たちが集まり、お決まりのように帰り道にシバケンの家に向かった。内心また朝のように日向との関係を聞かれるものと思い、何と言い訳しようか考えていたが、話題は村上先生が中心となり、最近丸くなったことや、今日の弱々しい雰囲気とイジメを連想させ、C組の担任の宮本先生と反りが合わないから、きっと宮本先生が仕組んだに違いないとか、女子生徒を盗撮してたのがバレたなど、勝手な想像というより妄想で盛り上がっていた。

すると馬鹿話から一転して、


「イジメられて変わったのか、変わってイジメられたのかはわからないけど、今の村上は前より良くなったな。」


悩むより今どうなのかを直球でいうところはさすがはヒロと感心する。


「俺もそう思う。イジメられる奴は村上のように変わらないと思う。もっと卑屈になるというか肩肘を張って弱みを見せないようにするとか。」


言ってはみたものの、霞がかった頼りない答えに、いっそのことあの事件の事を話そうかと迷ったが、真相を話したところで、村上先生の今の状況に答えが出るわけではない。むしろ真実が間違って伝わることの方がより状況を悪くさせる気がした。

帰り道あの事件の事を思い返していた。十三年前に亡くなった栗田という生徒が最後に話した、村上先生は彼女と同じような境遇の生徒を、一人でも多く救うという約束をしていた。そう先生はやっと前を向いて歩き始めたのだ。

あの事件を今になって裁く権利など誰にもない。いや裁かれるというのなら、既に十三年もの長い期間、苦しみを背負い続けた先生は既に罪を償っているだろう。

(今の村上は前より良くなった。)

ヒロの言う通りだ。生徒想いの先生に戻ったのだ。

俺は真実を知る者として何ができるだろう。

街の華やかさとは対照に色を失くした秋空に、ただ白い息が消えていった。

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