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そして僕は旅に出た。  作者: 高天原
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秋風

とりあえず1話目終了しました。引き続き2話目も続行していきます。よろしくお願いします。

一夜の集いも無事終了した。

終わってみれば幽霊騒動はもちろんの事、深夜の騒動もちょっとした思い出として、記憶の隅に残る程度となった。

このイベントも見事学校側の思惑通り、幽霊騒動も過去の事件を掘り起こすこともなく、健全な学校であることを生徒自らが証明することとなった。

朝の光の中、眠たそうに目を真っ赤に充血させ、友人達と布団を片付けていると、ヒロが布団の山に飛び込み、


「あー、結局一晩女子といたのに何もなしかー。」


三年も同じ学校に通っていて出会いがなかったのに、急に彼女が出来る方が不思議だ。


「お前等とばかりつるんでるから女子も声を掛けづらいだろうな。」


俺達は一斉にヒロに枕をぶつけて笑いまくった。


教室の清掃を終え少し軽くなったバッグを背負うと、教室が広く感じた。また一日卒業までの時間が短くなったことに寂しさを感じたが、


「さあシバケンの家に行って、一服してから帰るか。」


相変わらず空気を読まないヒロだった。



翌朝、寝坊し慌てて駅に向かったが仲間たちは既に学校に向かったようで一人歩いていると、前方に日向を見つけた。それまでは考えられなかったが、自然と日向に声を掛けていた。


「そーいえば聞き忘れていたんだけど。なんで今回の幽霊騒動が解決するってわかったんだ?」


「幽霊騒動の元となったのはC組の彼女なの。同じクラスだから分かったのよ。」


日向は目を合わせることもなく面倒臭そうに答えてきた。


「スポットで行った先、あれはいつだったんだ?」


「多分数日前じゃない。初雪が降った頃寒さがひどかったから。」


相変わらずぶっきらぼうな答えである。あの時の饒舌さが別人のように、今は一言二言しか返さない。日向とはこういう人間なのだろう。さすがにこの調子だと聞きづらい雰囲気になったが、少しの沈黙の後思い切って聞いてみた。


「あの時科学室に戻る時、誰かが後ろから階段を昇ってきたよな。その時お前に引っ張られて、あれって誰だったんだ?」


「あー。あれは私よ。」


「えっ?どういうこと?」


「タイムリープって知ってる?過去に戻ることをタイムリープって言うんだけど。本人同士が出会うと消滅するって言われてるんだよ。」


「なんでそれで自分だってわかるんだ?」


「戻る時にわかったんだ。ここにスポットがあってここから入ってきたんだってね。」


「その言い方だとお前はスポットが見えないのか?」


「ええ。見えないよ。どの辺にあるってのは感じるけど。はっきりとはわからない。だから君に先に行かせたの。君は見えるんでしょ?」


「本当に信じられないな。自らスポットに入るのもそうだし、自分自身の過去と出会うのも、そう村上を引っ張った時も、何回死にかけてんだよ。」


「生きていたいからやったことなんだけどね。」


生死の境を潜り抜けたことにも、それほどの危機感を感じさせない物言いだが、いつの間にか不機嫌さは消えていた。むしろあの非現実的な状況の方が生き生きとして感じる。


「あっ、失敗した新聞の切り抜き持ってきちゃってた。」


外套のポケットから取り出した先生の机から抜いた古びた新聞の切れ端を広げ眺めた。


「あーあの記事。」


するとためらいもなく細かく破り捨てると。


「過去に答えを求めても、今を生きる私達にはどーでもいいことだよね。」


乾いた風が新聞の切れ端を空へと舞いあげていく。秋晴れの澄み切った空に。


「そー言えば、風のたどり着く場所って知ってる?」


「風の?ってなんだそれ。」


少女のような笑顔を見せ、また高くなった空を見上げた。

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