プロローグ
レヴィレードオンライン。
国内で開発された初の大型VRMMOで、ロケテストに応募したプレイヤーは50万人を超えるという注目作だ。
10の初期ジョブから20の上位ジョブに派生し、スキルとステータスによる幅広いキャラメイクが可能。
勿論、多種多様な装備と組み合わせる事で、無限とも言える自由度の高さが売りである。
一人の幸運な少年が、ロケテストに参加していた。
彼は初めて遊ぶVRMMOに夢中になり、一日中やり込んだ。
ロケテ初の転職を果たし、上位ジョブである騎士に転職クラスチェンジした。
少年は最強の装備を求め、世界中を走り回った。
その間もロケテスト組により様々な情報がネット中を飛び回っており、Wikiサイトが作られ、プレイヤー間の共通認になりつつあった。
その頃にはゲームでもトッププレイヤーに名を連ねていた少年は、そこでの書き込みを見て疑問を抱いた。
「ポーション使えなくね?」
「思った!回復しないし重いし、ヒールでいいよな」
「しかも高いし、ゴミだな」
Wikiサイトにはポーションが全くもって使えないゴミアイテムであると書かれていたが、少年はそれを見て首を傾げる。
「確かにヒールは便利だが、待機時間ディレイが長すぎる。その点ポーションは連打が効く。VITを上げれば回復量もまぁ悪くない程度にはなる。最終的にはこれがないと、ボス級の攻撃には耐えられないと思うんだがな」
少年が手にした槍の下には、ボスエネミーが転がっていた。
ポーションを連打しながら倒したのである。
ソロプレイヤーである少年には、ヒールという選択肢がなかった。
消滅していくボスエネミーが落とした銃を拾いアイテムストレージに入れると、少年は奥へと進む。
「とはいえ使いにくいのも確かだよな。もうちょっと改善が必要だとは俺も思うんだが……あぁそういえば、ポーションを作るジョブがあるんだっけ」
少年はネットにログインすると、レヴィレードオンラインの公式ページを開く。
初期ジョブがずらりと並ぶ中、少年は右端にいたジョブをじっと見る。
少年の目には大きな鞄を背負い、フラスコをぶら下げた男のイラストが写っていた。
「錬金術師か……よし、正式サービス始まったらやってみるかね!」
そして一月後、ロケテストは終わりレヴィレードオンライン正式サービスが始まった……