山奥から街へなお話し
あれは…そう、俺が山奥のまた奥に住んで居たときの事
「お姉ちゃーん!ご飯まだー!」
「誰がお姉ちゃんだ!兄に向かって何て事言うんだ!全く」
「え?兄?!そんな人何処にもいないよ!」
「……おい」
「じ、冗談だよ!お兄ちゃん!それより早くご飯にしよ?私、学校に遅れちゃう!」
「むう…分かったよ。でも、いつもより早くないか?学校で何かあるなら俺も一緒に…」
「お兄ちゃん!…お兄ちゃんが、お客意外の人と居る事が出来ないのは知ってるから…無理しないで」
「無理なんかじゃあ…」
「そう?なら行く?今だってチワワみたいに震えてるのに?街まで行けると思そうだなの?無理でしょ!」
「え?いきなり扱いが辛辣に…ってチワワは余計だ!街ぐらい行ってやるさ!あぁ!行ってやるとも!」
「…じゃあ、ご飯食べてから行こっか!楽しみだなー!お姉ちゃんとデートだ!」
「おい!海華!学校が先だろうが!後、お姉ちゃん言うな!」
まぁ、そんなこんなで俺が街に行く事が決定したのだった。
「さぁ!出発だよお姉ちゃん!」
「また、こいつは…はぁ、お前わざと間違えてるんじゃあないか?って思う時が有るんだが?」
「んー?気のせいじゃない?それより阻害のローブはちゃんと羽織った?」
「ああ大丈夫だ、ありがとうな心配してくれてるんだろ?」
当たり前だよ!私にはもうお兄ちゃんしか家族は居ないんだから…」
俺達の両親は事故に遭って亡くなったと海華には伝えてある。祖父も居たが、とある事情で遠くに行ったとも言った。実際にはある人物の勝手なわがままで父と祖父は嵌められて死んだ。母はその人物に酷い目に会い殺された。その人物は祖父に成り代わり隠れ里で頭領をしていて、その時小さかった俺達は三年間のあいだその頭領の家で召し使いのように働いた…小さな妹にまで辛い想いをしないように俺は倍以上に働いていた。子どもの身に余る仕事とストレス、他の召し使いの話しによって知った両親や祖父の真実を受け俺の髪は白髪になっていた。そんな人には言えない事情が俺達には…いや、俺には有る。
「そうだな、お前を置いて勝手にどっかに行く事はないから安心しろよ」
不安そうな顔をしている妹の頭に手をやり撫でてやれば直ぐに笑顔になりお俺の腕を掴んで街に向かう為に山を降りた。