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最強魔法師の隠遁計画  作者: イズシロ
第7章 「絶滅級」
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不可視の牽制

 落下により下から噴き上がる風にイリイスのフードが捲れ、素顔が露わになる。肩甲骨まであろうかという髪は項を曝け出し舞っている。一見して金糸のような細いブロンドは毛先に向かって真紅に染まっていた。琥珀色の瞳は猛禽類を思わせる鋭さがあるものの、肌はまさに子供ような透明さを持っている。彼女を知らない者が見ればただの勝気な子供だと勘違いするだろう。身長も150cmに届くかというほどの小柄な体躯である。

 老化を一切感じさせない瑞々しい身体。

 間違ってもババア呼ばわりされる容姿ではない。甚だ遺憾なのだ。

 無論成長の余地がないことは本人も理解してのことだ。彼此かれこれ100年はこのままなのだから。


 着地までの落下時間を待ち遠しそうにハザンは外套を脱ぎ棄て、暴力的なまでの魔力の奔流を撒き散らす。そして腰に下げている剣の柄を握り、抜く。

 しかし、それは柄だけの存在であってそこから先……刀身は無かった。


「まずは毒持ちの召喚獣だな!」

「お前が責任を持って私に近づけるなよ」

「誰がくれてやるか。憂さ晴らしにはちょうどいい獲物だ」


 着地と同時に片手の筋肉が異様に膨れ上がり下から振り上げられた柄には空間を淀ませた長大な刀身があった。それが地面を裂きながら遥か遠方まで亀裂を生むと大蛇を真っ二つに割る。

 だが、身体が液体のためかすぐにくっつき猛然と向かってる……再生すると同時に割った地面の下から火柱が噴き上がった。


「クギャァァァアアアア!!」


 全身を業火に包まれ奇怪な悲鳴を上げた大蛇が身体を蒸発させ、その隙に巨体を電撃へと変えた獅子が瞬く間に切迫して鉤爪を振り下ろす。


「ハッ! ぬりぃな」


 肩を引き裂くはずの鉤爪は皮膚に触れずに停滞していた。というよりも見ない壁に阻まれるように拮抗していた。

 それが【嵐の鎧(ストーム・アーマー)】だとイリイスは知るが、召喚獣もまた上位の魔法だ。完全に電撃を防ぐことはできなかったのだろうと思ったが、ハザンの顔には余裕の笑み――いや、楽しむような笑みが窺える。

 それは戦いを楽しむような彼の趣向によるものだとイリイスは見ていた。この男のことだから適度なスパイス程度のつもりなのだろう。


 纏った高密度の暴風が更に肥大化し、電撃の鉤爪を削る。

 堪らず身体を電撃に変え後退する獅子。


「――――!!」


 だが、直後ハザンの頬を細い氷の礫が掠めた。魔法を解いていたために頬が切れ、薄皮を裂いた程度だったが薄らと血が滲む。

 すぐさま振り向いてきたハザン。この方面の系統はこの場には彼女しかいないからだが。

 イリイスは前方上空を指差した。


「お前が遊ぶからだ」


 振り返ったハザンの視界には無数多種の魔法が飛来していた。

 歯を噛み締めて、ビキッとこめかみの血管が浮き上がる。


「うっぜぇぇぇええええ!」


 咆哮のごとく吐かれた憤怒は大気を震わせる衝撃破を生み、全ての魔法を弾き飛ばす。

 空気を振動させた衝撃は魔法式の構成そのものに干渉する。

 【構成破壊の衝撃ルーツ・アクターブレイク】最上位級の中でも禁忌とさえ目される魔法だ。ハザンの手持ちの中で最強の魔法でもあった。

 その衝撃に巻き込まれた雷獣も魔力の残滓へと霧散する。


「ったく、無差別な魔法だ」


 イリイスは自分に纏っていた防護壁が消失したのを確認して、一人溢した。

 独り言であってもそれはハザンの耳に届く声量だった、にも関わらず彼は一点を見据えている。


「ぶち殺す!」

「おい、これ以上はいい。帰るぞ」


 殺気だったハザンからは魔力が収まる気配がない。


「ダメだ! 俺一人でも奴らを潰す!」


 その一言を発した直後、ハザンは背中から暴風に押されたような魔力を感じ取り、ゆっくりと振り返る。

 

「だからガキのお守は疲れる。今回は私が取って来た依頼だ。お前個人の意見は聞かんぞ。赤子のように駄々をこねるんなら私が相手をする」

「チッ…………はぁ……分かった、分かったよ――だが!」


 ギリッと柄を握り締め、魔法が飛んできた方向に力の限り振るう。風の刃を纏った巨大な斬撃が真横に飛び、焼け野原を抜けて木々が林立する中に切り裂きながら走った。

 それをイリイスは噴火直前のような思いで耐えていた。


(こいつとはもう二度と組まん)


 決心し、次に何かしようものなら噴火は避けられないだろうと諦める。


「さっさと離れるぞ。向こうもこちらの出方を窺っているようだからな、こちらが手を出さなければ今は衝突を避けられる。何もしなければ、だがな!」


 脳筋馬鹿のせいですでに遅い可能性もあるが。


 ハザンが興を削がれたとでも言いたげに鼻から息を吐き出し、背を向けて、落ちている外套を拾い上げた。


「――――――!!!」

「ほう……」


 術者のハザンは当然気付いただろう。手に持った外套を強く握りしめて、弾かれたように斬撃を放った先に顔を向けている。

 イリイスも何があったのか、何をしたのかの説明はできなかったが、間違いなくハザンが放ったであろう斬撃がある場所で霧散したのだ。いや、消失のほうが正しいのかもしれない。


 背の高い木が軒並み傾き出す。

 このままだと直線距離で見通しが良くなるだろう。イリイスもハザン同様に好奇心を刺激されたが、この機を逃せば本当に戦闘になりかねない。


「いくぞっ」

「…………っち、くそ!」


 逡巡ののち決断したのだろう。外套を羽織ったのがその証拠である。

 イリイスは倒れた部下の跡を一瞥し、一度だけ目を伏せた。名前も知らない相手であり、顔も覚えていなかったが、彼らは依頼に際して彼女の手となり足となってくれたのだから、これくらいはしてもいいかと思ってのことだった。

 ハザンはすでに忘れたように気に掛けない。彼にとっては強い者以外は覚える価値のないものと断じているのだろう。

 二人が焼け野原を脱したのは一瞬だった。


(私も裏で呆けていたわけではないが、俗世は随分様変わりしたようだ) 


 時代の流れに取り残されないように――特に魔法の発展――機微に情報を仕入れ磨いてきたが。


(100年生きてもまだまだ世界は狭くも広いということか)


 被り直していたフードの奥で自然と作られる不気味な笑み。


「アルファか、おもしれぇじゃねぇか。構成員の名簿でも作らせるか」

「依頼の時は自重しとくんだな。依頼主の機嫌を損ねたら立ち回りづらくなる…………あれほどの手練だ、シングルも混ざってるんだろうよ」


 自分で言ってふいに沈黙する。それは膨大な知識を掘り起こすための間だった――間と言うには短すぎたが、それも当然だろう。

 クラマという犯罪者組織の天敵、対等に相手が務まる魔法師を警戒するのは当然のことだ。特にシングル魔法師はクラマの幹部でなければ太刀打ちできないほどなのだから。


 ハザンは併走する赤い少女の様子をチラと見て。


「そういやぁ、イリイスは世事にも詳しいよな」


 今回は情報を少しでも聞けるとあって茶化すような言葉は吐かない。


「……ああ、そうだったな…………確か今のアルファはレティ・クルトゥンカと……現1位のアルス・レーギンという魔法師がいたな」


 イリイスでも名前までしか知らなかった。それもアルスという魔法師が表舞台に姿を現さなかったからだ。アルファでも直に見たものはそう多くはない。

 犯罪者ではそこまでの情報しか得られなかったが、それも仕方のないことだろう。依頼し、金は払っても自国や他国の情報を敵、犯罪者に漏らすほど馬鹿ではない。今になってこの立場が口惜しくもあった。

 だが、同時に戦闘にならずによかったと安堵が込み上げてくる。


(あの化け物は奴らに譲るか……こっちは金の交渉だ)


 戦闘馬鹿に相応しい笑みを浮かべているハザンを無視してイリイスは思考を切り替えた。

 


 ♢ ♢ ♢



 アルスとレティによる魔法の同時発動、空置型誘爆爆轟(デトネーション)の衝撃波が木々を揺らし、それに付けられた様々な葉が抗えない波に呑まれて舞う。横倒しに圧し折れる木も少なくない。

 青臭さが風に乗り吹き荒れた。

 真っ赤に染まった遠方を見て満足そうなレティとは対照的にアルスは顔を顰めている。


「やっぱり系統特化には後れを取るな」


 レティは火系統だが、主に爆発などを得意としている。その突出した系統者には系統外のアルスでは同じ魔法でも劣るということだ。


「いやいや、寧ろプライドがズタズタっすよ。ほとんど遜色ないじゃないっすか。どこまで強くなるつもりなんすか」

「お前が言うな、広範囲に不毛の地ができあがったぞ」


 強くなるという称賛は素直に受け入れるべきなのだろうが、アルスはこの魔法ではレティを越えられないと確信を持った。


「まあいい。それよりも……次!」


 アルスのもう一つの視野には倒せていないという裏づけとして、魔力が円形になっているのだ。無論そんなことをせずとも、これほど巨大な球体なら見通しさえ良ければ目視できるはずだ。


「待ってました隊長!」

「こっちも準備は整ってますよ」


 サジークの隣には彼の身長を優に超える巨躯の雷獅子が顕現しており、整っていると言ったムジェルの少し離れた位置に宙に浮いている大蛇、毒蛇(ヒドラ)が控えている。

 アルスの合図を受け、手を突き出した。


 雷獅子は器用に木々をかわし、飛び越え、身体を電気に変えて瞬く間に遠ざかる。毒蛇ヒドラは宙を波打つように走る。障碍物を一切感じさせず宙を泳ぐが、それは凄まじい速度だった。

 両方とも召喚魔法としては上位級魔法に属するが、雷獅子も毒蛇ヒドラも災害級の凶悪な召喚獣だ。それを使えるということに素直に驚く。


「ダメ押しのもう一波だ…………放て!」


 残りの隊員の魔法が空高くに向けられ、撃ち放たれた。相克を警戒して威力的には大したことはないが、物量で押し潰せば問題はないだろう。

 雨のように降らせた魔法。


 しかし、すぐに雄叫びのような咆哮が空気を震わせた。


「どうしたっすか!?」

「魔法が消されたな……」


 アルスは同じ効用をもたらす魔法をいくつか脳内で引き出す。

 そして該当する魔法名に頭痛を覚えた。

 いくつか引っ張り出した魔法の中で衝撃を伴い魔法を無効化するものへ絞る。

 

(クラマか、予想以上に面倒な連中だな。禁忌……いや使用を禁じられている魔法まで使うか)


 禁忌というよりも団体戦を想定する魔法師の戦闘では、仲間の魔法すら無効化してしまうため、意味のない魔法と言えた。だが、これが対人に用いられるとなる厄介極まりないだろう。

 そのため、大全から抹消された魔法だ。

 アルスも以前に大全に載せられた全ての魔法が記録されているデータベースに目を通すことを許可された際、目にした程度の残滓に近い記憶だが。

 唖然としている隊員たちの顔を見渡すがそれも仕方のないことだろう。彼らは何があったのか理解できていないはずだ。


「どういうことっすか? 敵さんはあれに対抗できたというのはわかるんすけど」

「魔法を破壊する魔法と言えばいいのか。とにかく犯罪者に相応しい魔法だということだ」


 そこでどうするかだ。

 アルスもレティも今の魔法で多少なりとも魔力を減らしてしまった。今クラマと事を構えるのは必然的に討伐を放棄するのと同義だろう。


「最初のデトネーションを防いだこともそうっすけど、シングルに匹敵というのはデマじゃないってことっすか。でも……同格の相手と戦う機会なんてそうあるもんじゃないっすからねぇ」


 こいつも中々に戦闘好きだなと眇めてレティを見る。アルスは呆れながらも当初の目的を再確認させた。


「言っておくが、今はやらんぞ。尻に噛みつかれたら仕方ないが。今は悪食の討伐を優先させる。じゃなきゃいよいよもって死人が量産だ」

「わかってるっすよ」


 冗談だと空笑いするが、揺ら揺らと瞳に疼く炎が灯っているのをアルスは確認済みだ。


「やりたきゃ総督にでも進言してみるんだな」


 「たぶんダメだろうけどな」と付け加える。さすがに勝ち戦でもない相手に自国のシングルを向かわせるのはないだろうと思う。それこそ今回のように他国と共闘でもしない限りは。

 他愛もないやり取りをしていると、アルスは圧迫するような感覚が遠くで迫ってくるのを感じた。


「――――!」


 一瞬遅れてレティもほぼ同時に気づく――魔力の塊が飛来していることに。

 離れた場所で葉がざわめき、後に隊員たちも肌で感じたように身構えた。だが、それは何か来る程度の認識だ。


 アルスは手で行動を開始しようとした隊員に制止を掛ける。


(使った魔力分の補充はできるか)


「俺がやる」


 前にでたアルスは待ち受けた。AWRは腰に戻しているが、これは必要ないからだ。

 全員が訝しんだ視線を送る。だが、そこには安心という感情が籠っていた。レティも一歩下がり成り行きを見守っている。


(どの道、魔物のレートを考えればこいつらにもばれるだろうからな)


 だから早いか遅いかの違いしかない。異能を今使うのは単純に魔力の補充である。吸収し過ぎると制御に意識を割かなければならないが、失った分程度ならば余裕だろう。


 手を翳し、そこに真横に向けられた巨大な風の斬撃が荒れ狂うように木の幹を寸断して現れるが――――触れた瞬間、手に吸い込まれるように凶悪な斬撃は消えせた。後に残ったのは肌を撫でるような優しい風だけだった。

 アルスは満足そうに体内に蓄積された魔力を感じる。


(馬鹿みたいに魔力を込めやがって、まっ、そのおかげで予想以上に補給できたが)


 悪態を吐くのも予想以上の魔力に僅かに腕を引いたからだ。威力を殺すように腕が吸収しながら小さく円を描いた。


「――――!! なっ、なんすか今の?!」

「企業秘密だ……だが、今ので魔力は補給できた」

「それって吸収する魔法ってことっすか!」


 確かに吸収はするが根本は違う。魔力を喰うのだから。

 しかし、それを気前よく教えることはできないため、勘違いしてくれるのは大いに歓迎だ。

 アルスはもう一つの視野で知覚する。二つの反応が遠ざかって行くのを。


「今ので最後のようだな、本来の任務に戻るぞ」


 何もなかったように鷹揚と歩みを進める。向かう先にはリンネが腰砕けして地面にへたり込んでいるからだ。その顔は畏縮したように吃驚している。目は閉じられたままなので視力は回復には至っていないのだろう。

 傍まで近寄ると腰を折って「今、感じたことは秘密にしてくださいね。荒事は好きじゃありませんので」と口の前に指を1本立てた。見えていないのだが――輪郭として知覚しているだろう。

 アルスの異能の魔力、一瞬とはいえ魔力の動きを感知することはリンネの土壌だ。シングルだろうと正確に把握することは困難だろうが、彼女は別だ。

 魔力の動きを感知していたのなら今の一瞬で何があったのかの予想は立っているはずだ。それは少なくとも勘違いしたような吸収と一言では表せない力……異能だと。


「わ、わかりました」

「不測の事態に時間を取られたが、クラマは引いた。予定通り討伐にもど……」


 最後まで言い終わる寸前に背後から何かが覆い被さるように押され、足を踏み出し留まる。次いで背中からは柔らかい感触が伝わり、それは押し込んだたために形を歪めていることだろう。だが、確かな反発も感じる。

 アルスは勝手に予想し始める思考を止めた。


「アッハハ! やっぱりアル君は凄いっすね。まさしく1位に相応しいっす、とんでもないっす!」

「おい!」

「こんなに強いのにまだ隠し玉があるなんて、私の眼に狂いは無かったすね~」


 琴線に触れたのか、喜々として背後から抱きつくレティ。

 アルスからは見えないが蠱惑的な眼差しで。


「本当にお姉さんも狙っちゃうっすかね」

「おい。後にしろ! まだ任務中だぞ」

「堅い堅いっす。 カチカチは逆効果っすよ。喜ぶべきところは喜ぶをモットーにしてるんすから」

「初耳だぞ」


 救援を求めるようなアルスの視線に呆れたような隊員の顔が揃って左右を往復する。


「大目に見てやってくださいアルス様、なんせバナリスではずっと張り詰めていたので」

「うんうん、事あるごとにアルス様に泣きつこうか本気で迷ってましたし」


 ムジェルが苦笑いながらも懇願してくるのに対してサジークは人の悪い笑みで顎を擦る。


 頬を擦り付けるように顔を後頭部に近づけていたレティがピクッと上下の動作を停止した。


「――――!! あんたたちそれを、、ここで言うっすか! バナリスに戻ったら最前線に放りだすっすからね」


 ゆっくりとレティの顔が無用な口出しをした二人へと向く。そこには魔力の迸りに似たプレッシャーが見える。冗談だと流すことができない二人――特にムジェルは自分を指差して確認したが、容赦ない首肯が返ってきてガクリと項垂れる。

 「不満っすか?」の一言に二人は口をへの字に引き結んで、音を立てて姿勢を正した。

 そんな隊員へと同情の視線が仲間から向けられるが、それは飛び火しない安全圏からだ。


「まっ! 一応協力は取り付けてるんすけどね」


 「ね~」と同意を求めるようにアルスに投げ掛けてくるが、努めてだんまりを決め込む。

 見れば隊員たちも喜ぶべきなのにどうしてか素直に喜べないでいた。込み上げてくるはずの歓喜に蓋をされたような感覚だったのだ。 


 噛み合わないような顔を見渡すと。

 

「さすがにこれ以上は部下に示しが付かないっすかね、っと」


 今更だろう、とアルスは思ったが声には出さない。

 回していた腕を解き、降りたレティはそれでも笑みを崩さずに左手の薬指に嵌めてある指輪型のAWRをこれ見よがしに外す。

 なんとも演技っぽさの残る動きだ。その証拠に少しも頬に紅が差した様子も見て取れなかったのだから、アルスからすればまだやるのかという呆れだ。


 付き合う必要を感じなかったので、重みから解放されると方針を決める前の確認を取った。


「リンネさん、目のほうはどうですか?」

「え、は、はいっ! まだ時間がかかりそうです」


 未だ脳内では推測のためにフル回転しているのかもしれないが、放っておくしかあるまい。

 時間的にももたもたしている暇はないため、速度を上げて目的地へと向かうことにする。

 半分は来ているのでしばらくすれば鉱床が見えてくるはずだ。

 無論地図が正確ならばだが。



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