事後
蓮の首筋に極小の穴が穿たれ、そこに美咲の唇が押し当てられる。彼女が口の中で蓮の血液を舐めとるように舌を動かした直後、彼の体に異変が生じた。全身の血管を伝うように、快感が迸る。高熱を出したときのように、意識がぼけはじめた。顔の筋肉が緩み、意志に反してだらしなく口が開く。
(あ…もう駄目かも)
きっと自分は、ものすごく幸せな表情をしているのだろう、と頭の片隅で思った。そして、束の間にも思える幸福な時間が終わり、美咲の体が蓮から離れた。
「……」
「……」
二人はお互いの顔を直視できず、黙って俯いていた。ゆっくりと体を起こそうとして、蓮は固まる。というか、固まっていた。彼の局部が。
「べ、別に変な想像とかしてないからね⁉︎」
「そんなに必死にならなくても大丈夫よ。皆そうなるんだから」
「…大分、元気になったみたいだな」
「お陰様でね。…まぁ、あなたのほどでは無いけど」
美咲の視線が蓮の下半身に注がれる。
「おいやめろ」
美咲の身に何事もなく済んだとわかると、蓮は急激に力が抜けてしまった。そのままバタリと倒れ混んでしまう。
「あ、ねむ…」
「きゃあ⁉︎ちょっと、私の上からどきなさい!」
強く揺さぶっても、目を覚ます気配がない。安らかな寝息を立てる蓮を見て、美咲はしょうがないやつめ、と心の中で呟く。今はまだ、寝かしておいてやることにした。
翌朝。結局蓮はあれから目を覚ますことはなかった。彼に膝枕をした状態で寝落ちしてしまった美咲は、目覚めと同時に自分の状況に絶望した。
(どうしよう…柳川君家に帰すの忘れてた…)
「とりあえず起こさなきゃだよね…えいっ」
蓮の首に美咲の鋭い爪が刺さる。
「っでぇええええ‼︎」
その後、流れ出る血を美咲が吸う事で、蓮は昨夜に匹敵する血量を失うことになった。




