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相性
一方。美咲は吸血鬼三人を相手に、目にも止まらぬ高速戦を繰り広げていた。
吸血鬼どうしが戦うとき、防御は行われず、霧散によって攻撃はやり過ごされる。よって、いかに速く霧散を発動できるか、そしていかに相手の意表を突くかが勝敗を分けるのが普通だ。
常人の目から見れば、それはきっと黒煙の嵐が吹き荒れているように見えるだろう。
美咲のスピードについていけず、一人の吸血鬼が首筋を割かれる。鮮血が舞い、血を大量に失った男は動きを止めた。
美咲の圧倒的優勢。これは、やはり相対する敵の相性が有利に働いた結果だった。
東郷のただ一人の生き残り。それは彼女の強かさ、そして能力の優秀さの証でもある。霧散の発動から実体化、その速度は他の追随を許さない。
しかし、敵も馬鹿ではない。一度間をとって、こちらの攻撃を見極める方針に切り替えたらしい。
「そんな甘くないかぁ…」
残るは二人。まだ先は流そうだった。




