魔法使いと少女の話(7)
魔法使い日奈和頼太のできることは、二つの道具から科学的にできることである。
まずいつも持っている杖。ここから炎を出すわけだが、逆に考えると、これが火炎放射器なら火炎放射の魔法は簡単に説明がつく。しかしこの杖に火炎放射器などついていれば流石に見て分かる。
ところが見つからない。なぜなら火炎放射器のパイプ、そしてその発射部分は葉の中にあるのだから。
時間停止、及び拘束魔法もひとつの道具で説明がつく。ミステリ小説を読んでいる人なら知っている、やってはならないトリックというものがあるのだが、その中に針と糸を使ったトリックというものがある。
それは使いやすいから、という理由だが、日奈和の魔法のもうひとつの正体は「防火性の鉄製ワイヤーに油をつけたもの」である。拘束の時周りを回るのは当然相手に巻きつける必要があるからであり、その後の火力が増していたのは油のついたワイヤーを巻きつけたからという至極簡単なことである。
ちなみに流の爆発から身を守るとき、彼は多量のワイヤーを体に巻き受けていた。当然油の塗っていないものである。そうでもしなければ流石に小さな爆発でも防げはしなかったろう。
バリケードの件に関してもまずワイヤーでバリケードを作り、そこに火を放つ、そうすればそこにできるのはワイヤー網でできたバリケードに火をつけたものである。ならば弾丸は亜音速など関係なく網目状のワイヤーに粉々にされる。その一瞬後炎で溶けるのだ。流石に粉状になってしまえば炎には耐え切れない。そして溶けた鉛がワイヤーに張り付き鉛のバリケードが完成するのだ。
以上説明である。これを一瞬で把握したボス、そして流はかなり優れていると言える。
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