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魔法使いと少女の話(5)

「炎使える魔法使いに爆弾使いってのはいささか上位互換だろ。お前らせめてもう少しマシなの用意してこいよ」

 なにせ日奈和は爆発を相殺できるのだから、勝てないわけがない。そう思った。

「問題ないよ。僕は君の弱点を知ってる」

流が取り出したのは実にありきたりな爆弾であるところの手榴弾である。

「君は、防げないよねえ」

「何言ってんだ」

 流は説明もせず、ただ投げた。

「弱い、弱すぎるね。爆弾ならせめてダイナマイトを持ってこいよ。どうせ全部お前ごと焼き切ってやるけ……くそが」

 彼流が投げたのは見た目ただの手榴弾である。が、中身は違う。

「拡散弾。大きめの爆弾から小さな爆弾が飛び出て相手の全方位からの攻撃を可能にする実に一般的な爆弾だ。ところで君の杖は全方位に同時に炎を出せるのかな?」

 激しい爆発音。この爆弾は3つで家すら破壊する代物である。攻撃を防ぐことを不可能と感じた日奈和の行動は実に非生産的で許されざるものと言えた。

 すなわち、少女の救出である。

「直前で従兄弟をかばったようだけど、それには意味がなさすぎる。だって代わりに君がやられればどうせ後からその少女は捕まるんだから」

 組織が血を狙っているにもかかわらず血すら消滅させる爆弾使いを派遣したはこういう理由がある。

 つまり、日奈和を殺しても少女さえ残れば問題ないと。

「さて、魔法使いが消し炭になったところで……」

「誰が消し炭になるかよ」

 その直後、流の動きが止まった。

「あれ?なんで生きてんだ?」

「実に簡単だ。お前の拡散弾は全方位であるために一点一点の爆弾は小さく弱い。そして爆発の恐怖は熱風だ。直接当たらなければ危険度はかなり減る。だからローブで全身を覆えば防げないこともない」

 さて、と日奈和は嗤う。

「ちょぉぉぉぉっとばかし怒っちゃったなあ!しっかたない消し炭になるのはどっちか教えてやるよおおおおおお!」

子供らしくブチ切れた。

「へえ!なら簡単さ!要は君は爆弾の威力に救われたってわけだ!じゃあ!」

流はまた手榴弾を持ち出した。

ただし、その数実に二百個。

「今回は正真正銘普通の手榴弾だ。爆弾使いを舐めないで欲しいな。別に拡散弾なんて使わなくても全方位攻撃くらいテクニックで身につけてるさ!」

「うるさい」

 爆弾を全て投げたその両腕が、硬直した。

 実に二百の爆弾が日奈和に届く前にすべて空中で静止したのだ。

「二度食らうかボケ!時空間停止魔法!」

「時空間……?待て、なんでそんな」

 しかし日奈和は魔法の発動と同時に走っていた。

「全火力で消し炭にし返してやる」

 ぐるぐると日奈和は流の周りを回った。当然至近距離で動く日奈和を流が見逃すわけがない。だが、流はもう動けなかった。

「拘束魔法?いや待てこれは」

「おとなしく消えとけ」

「くそっそうかお前は!繋がったぞ。炎使いで爆弾を全て空中で止め、さらに拘束魔法。お前の正体は」

「ファイヤ」

 今までと比べものにならないレベルで、流は激しく燃え上がった。


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