魔法使いと少女の話(2)
「要するに、俺は魔法使いだ」
「何も要せてないと思うけど」
お腹減ったー。という日奈和を喫茶店に連れてきて数分、なにも話は進んでいない。
「それで、実はな。俺の血を啜ると魔法使いの力を手に入れることができるんだ」
ガツガツと、いっそファミレス行けよというほどポテトを喰らう日奈和を少女は呆れたように見つめた。
「それがどう私に関係するのよ」
「決まっている、俺とお前は従兄弟だからだ」
そんなものはまるで全世界の一致と言わんばかりに日奈和は言う。
「いやな?従兄弟に俺の血は流れてないはずだけど繋がってはいるわけだよ。そこでもしかしたら従兄弟の血でも代用できるんじゃね?と考えたヤバい奴らがいるわけで、ズーッ」
ポテトの塩で喉が渇いたらしくコーラを一気飲みする。
「で、お前が狙われてるんだよ」
「ダウト」
少女は冷静にツッコミを入れた。
「魔法使いとか悪の組織とかいつまで信じてるのよ。今時流行らないよそういうの。もし本当とか言うなら」
ピキッ。
ガラスにヒビが入った。
「あ、やっべ」
ガサッ、と杖の葉の部分に何かが貫通する。
「おい、逃げるぞ!」
もう一度、何かが横を通り過ぎる。
弾丸。
「やつら!撃ってきやがった!」
「は?」
「ちっ、外したか」
「殺すなよ?血が出すぎるからな」
外の男たちの会話がここまで聞こえてきた。
「なにこれ?どうなってんの!?」
「うるせえ!くそっ、ええと逃げるためには」
ドアの方に逃げながら日奈和は思考した。
「これだ!ファイヤ!」
瞬間真っ黒な煙が辺りを包んだ。
「くそっ、煙も使えるのか!?」
「煙は炎から出るんだぜ?あばよ……ってどこに逃げよう」
「こっち来て!」