異世界転生の方法教えます※覚悟が決まっていないなら閉じてください
おい、お前。
オマエだよ、君、あなた。
そう、自分だよ!
今小説家になろうを開いてる、暇人のお前。
こんな時間に、『こんな素人が書いた小説』を読んで、いや眺めてるだけで読んだつもりになってる。
やるべきことがあるのに、「少しだけ」と言い訳して、ここにいる。
理解した気になって、限られた時間をきれいに使い切ったつもりになっている、そう、そこのお前。
生意気な口の利き方だって?
当たり前だろ。
俺は今、そことは違う世界で無双してる。
富も地位も自由もあって、欲しいものを手に入れやりたいことも全てやり。
素敵な友達にも恵まれ、魅力的な異性にはもちろんモテてモテて仕方がない。
同性にモテる奴は異性にもモテる。
例外は、まずない。
これは自慢じゃない。
余裕しかないから、この場で暇つぶしの文章を書いている。
嘘だと思うか?
それとも「はいはい、テンプレね」か?
これは物語の設定じゃなく、こちら側の俺の現実だ。
信じるかどうかは重要じゃない。
お前はなんなんだ?
空想の転生小説に憧れ、対する現実に辟易し、「いつかきっと」なんて夢見るままの知能指数で逃避し続ける悲劇の主人公だろ?
――だから、こんな小説タイトルが気になった。
いいぜ、いつだって俺の世界に連れていってやるよ。
今の現実を捨てる覚悟があるなら、だけどな。
満たされた俺が出来る気まぐれのボランティアだよ。
何、そんなのすぐに決められないって?
今までのように、決して時間を無駄にするなよ。
特別な才能も用意する。
才能を磨いたものが、スキル、技能ってもんだ。
お前はそのスキルでもって無双したらいいさ。
どんな才能かはここでは説明しきれない。
お前だけの才能は、自分で探り当ててくれ。
そんなの無責任だって?
いいか、自分の人生の責任は自分で持て。
いい加減他人のせいにするな。
言っておく。
誰にでも才能はある。
だが、気づかないまま終える奴の方が、多い。
見つけなかった奴には、最初から無かったのと同じことだ。
才能は、生まれつきじゃない。
最後まで残った奴だけが、最初から持っていたことになる。
磨かれなかった才能は、無かったことになる。
続ける才能?
関係ない。
やめなかった事実だけが残る。
事情がある?
あるに決まっている。
事情がなかった人生なんて、一度も存在しない。
今日を捨てる奴に、成功を語る資格はない。
さて。
もういい加減、本題に入ろう。
ここから先は、覚悟が決まった者だけ読め。
いざ、異世界へ転生する方法を教える。
簡単だ。
スクロールするごとに、お前は“こちら側”へ近づく。
途中でやめてもいい。
ブラウザを閉じてもいい。
ブックマークして、また同じ日常に戻ってもいい。
それも選択だ。
進むか、閉じるか。
それだけだ。
スクロールする前に、一つだけ考えろ。
本当に、捨てられるか。
今、現在のままここに居るか。
それとも、転生の道を歩むのか。
覚悟があるのなら、転生へのカウントダウンを進めよう。
10
まだ迷ってるな。
その迷いが、お前の今までの人生だ。
9
どうせ転生しても、何も変わらない?
変えなかったのは、いつもお前自身だ。
8
環境のせい。
才能のせい。
運のせい。
便利な言葉だよな。
7
誰かに救われる物語が好きか?
残念だが、今回は違う。
6
変わらなくて済む理由を、集めてきた。
環境のせいにしてきた。才能がないと言ってきた。
準備が整う日を待ってきた。
待っている間に、今日が終わった。
5
昨日と同じ朝が来る。
それに、慣れた。
4
ここで閉じれば、昨日と同じ明日が続く。
3
慣れたものを、手放すのは怖い。
それはそうだ。
お前の人生、俺は正直知ったことではない。
2
でも。
考え抜いたのであれば、ここで決意したのであれば、俺は認める。
1
それでも、行く。
転生。
……何も変わっていない?
そう見えるだろう。
景色は同じだ。
世界も、昨日の続きだ。
現実には、剣も魔法も必要ない。
違うのは一つだけ。
戻る理由を、捨てた。
覚悟を決めたから、ここが新しい世界だ。
異世界転生の方法なんて簡単なもんだ。
今日と明日は明確に違うはず。
覚悟ってのは、何かを始めることじゃない。
できなかった理由を、二度と口にしないと決めることだ。
大事なことは、すべて書いておいた。
わからなかったなら、最初から、もう一度でも、何度でも読み返せ。
今度は――転生した側として。
ここまで読んで、何も感じなかったなら。
それもまた、お前の才能だ。




