第六話 世界が認めたSランク
人類最大国家――アルヴェリア王国。
その王都の中心に位置する、冒険者ギルド会館。
最上階、円卓の間。
そこに集うのは、十一人。
冒険者ギルド最高位――Sランク。
武技ギルド、六名。
魔法ギルド、五名。
彼らは「強い」から選ばれたのではない。
世界そのものに、頂点と認められた者たちだ。
武技を極めし六名の右手の甲には、武技の頂点を象徴する六芒星の魔法陣が。
魔法を極めし五名の左手の甲には、魔法の頂点を象徴する五芒星の魔法陣が。
それぞれ異なる色を放ち、確かな存在感を主張している。
彼らが一堂に会した理由は、一年前に起きた“神託”。
教会に属する聖女へと、創造神が告げた言葉。
――『新たな魔法属性が生まれた』
その神託と共に、魔法ギルドに属する五人のSランクの五芒星は、六芒星へと変化した。
世界が、新たな何かを受け入れた証。
だが、その正体は――未だ不明。
*
「……一年だぞ。一年」
最初に沈黙を破ったのは、武技ギルドの男だった。
「影も形もねぇってのは、どういうことだ」
ガルド・レオンハルト
武技ギルドSランク【力】
三十八歳・男性
豪放磊落。純粋な腕力では人類最強。
「世界が認めた? 笑わせる。相手が見えなきゃ話にならん」
すぐ隣で、足を組んだ女が肩をすくめる。
リュシア・フェルノート
武技ギルドSランク【素早さ】
二十五歳・女性
短気で直情的。誰よりも速い。
「新属性が何よ。放っておけばいいじゃない」
低く、落ち着いた声が割って入る。
オルフェン・グラディウス
武技ギルドSランク【防御】
四十五歳・男性
寡黙で実直。不動の盾。
「放置はできん。Sランクの役目を忘れるな」
眼鏡をかけた男が、淡々と続ける。
ミカエル・ロウ
武技ギルドSランク【賢さ】
三十二歳・男性
理知的で冷静。戦場の参謀。
「問題は“どういう存在として生まれたか”だ。人か、魔か……それとも」
小柄な少女が、無邪気に手を挙げた。
ティナ・ルーメル
武技ギルドSランク【器用さ】
十六歳・女性
天真爛漫。技術分野の天才。
「本人が気付いてないとか、ありそうじゃない?」
「あるか!手ぇ見りゃ一目で分かんだろぉが!」
ガルドが即座に突っ込む。
最後に、深く息を吐いた男。
バルク・ヘインズ
武技ギルドSランク【体力】
五十歳・男性
豪胆で包容力がある。不屈の持久力。
「……気付いてようがなかろうが、見つけねばならん」
*
今度は、魔法ギルド側が口を開く。
「少なくとも、既存の五属性では説明できん」
エルド・ヴァルグリム
魔法ギルドSランク【火】
四十歳・男性
激情家。圧倒的火力。
「火でも、水でも、風でもない……不気味だな」
静かな女の声。
セレナ・アクアリス
魔法ギルドSランク【水】
二十八歳・女性
穏健派。柔軟な思考。
「でも、世界は確実に反応しています」
窓際の青年が、空を見ながら呟く。
フィル・エアロ
魔法ギルドSランク【風】
二十三歳・男性
軽薄だが鋭い感性。
「風の流れが、少しおかしいんだよね。最近」
岩のような男が腕を組む。
ドーガ・ストーンハート
魔法ギルドSランク【土】
五十二歳・男性
頑固一徹。大地の化身。
「変化は、必ず代償を伴う」
そして――
円卓の最奥。
全員の視線が、自然とそこに集まった。
アウレリア・ルクス
魔法ギルドSランク【光】
三十歳・女性
冷静沈着。Sランクのまとめ役。
「……結論を言いましょう」
静かな声が、場を支配する。
「Sランクが存在する理由は、一つ」
魔王。
人類が未だ、一度も討ち果たせていない存在。
「新たな属性は、魔王討伐の切り札になる可能性がある」
彼女は、全員を見渡した。
「だからこそ――探します」
沈黙。
誰も反論しなかった。
誰も知らない。
その“新たな属性”の持ち主が、
今この瞬間も――
森で、木刀を振り回していることを。
*
■魔法
生まれ持った適性に強く左右される力。
火・水・土・風・光といった属性が存在し、
魔法ギルドにはそれぞれの属性を極めた者たちがいる。
魔法は主に、
・遠距離攻撃
・広範囲攻撃
・支援
に優れている。
魔力の総量と制御能力が、そのまま強さに直結する世界である。
なお、ごく稀に既存の属性に属さない力を持つ者も存在するとされるが、
その詳細はほとんど知られていない。
⸻
■武技
剣、槍、拳など、肉体を用いた戦闘技術の総称。
こちらは、
・力
・素早さ
・防御
・体力
・器用さ
・賢さ
といった基礎能力の積み重ねによって強くなる。
魔法のような派手さはないが、
近距離戦では圧倒的な破壊力を持つ。
長年の鍛錬と実戦経験がすべてを決める、極めて現実的な力でもある。
https://49975.mitemin.net/i1100125/




