第十四話 エルフの贈り物
第十四話 エルフの贈り物
エルフの里に滞在して、数日が経った。
といっても、大したことをしているわけじゃない。
朝は軽く体を動かして、
昼は森の中を散歩して、
夜は静かに休む。
それだけ。
それなのに、妙に居心地がいい。
(……静かだな)
木の上に作られた通路を歩きながら、俺は周囲を見渡す。
枝と枝を繋ぐ橋。
幹をくり抜いた住居。
葉の隙間から差し込む柔らかな光。
どこを見ても、森と一体になっている。
人工物のはずなのに、不思議と自然の中に溶け込んでいた。
「そっちは行き止まりです」
後ろから声がかかる。
振り返ると、弓を背負ったエルフの青年が立っていた。
最初に弓を向けてきた、あの男だ。
「おう、悪い。まだ道覚えてなくてな」
「構いません。案内します」
淡々とした口調だが、以前ほどの警戒はない。
名前は――たしか、リバル。
「助かる、リバル」
「……リヴァルです」
「? ああ、リバルな」
「……はい」
なんか少し困った顔をされた気がするが、まあいいだろう。
*
案内された先は、里の中心にある少し大きめの建物だった。
中に入ると、何人かのエルフがこちらを見て軽く頭を下げる。
(……やっぱり、妙に丁寧だな)
俺の腰の白い木刀をちらちら見てるのが気になる。
里長も中にいた。
「ちょうど良いところに来てくれました」
穏やかな声でそう言って、こちらに視線を向ける。
「滞在の礼も兼ねて、いくつか用意しました」
「礼?」
滞在の礼ってなんだ?
普通俺が礼しなきゃじゃね?
疑問符を浮かべる俺に差し出されたのは、畳まれた服だった。
「森での生活が長かったようですから。今の装いでは、少し不便でしょう」
それは、確かに。
エルフから借りた簡素な服を着てはいるが、まだサイズも合っていないし、動きにくいところもある。
「いいのか? 金とか――」
「不要です」
里長は静かに首を振った。
「客人に不自由をさせたままにするのは、我らの流儀ではありません」
周囲のエルフも静かに頷いている。
(……やっぱり、なんか優しすぎないか?)
まあ、もらえるものはありがたい。
「じゃあ、遠慮なく」
受け取って、軽く頭を下げる。
*
着替えのため、別の部屋に通された。
用意されていたのは、上下セットの装備だった。
上は動きやすそうな軽い素材の服。
下はパンツスタイルで、足の動きを邪魔しない作りになっている。
(……軽いな)
袖を通してみる。
驚くほど体に馴染む。
生地も柔らかくて、動いても突っ張らない。
(これ、めちゃくちゃ楽だな)
少し肩を回す。
腰をひねる。
どこにも引っかかりがない。
机の上には、ベルトも置いてあった。
少し幅が広く、見た目よりもしっかりしている。
(これ、腰に巻くやつか)
何気なく手に取ると、妙に重みがある。
だが、装着してみると――
不思議と軽い。
腰に聖剣――木刀を下げてみる。
(あっ!やべっ……あれ?)
つい腰に下げてしまったが、この木刀は、あの世界樹と同じ重さがある。
ベルトなんか千切れて当たり前、下手すりゃ服もあの毛皮の二の舞に……と一瞬焦ったのだが。
(平気だな……あと、なんか軽い?)
完全に消えたわけじゃない。
だが、明らかに負担が減っている。
(……なんか、すげぇなこれ)
特に説明は受けていないが、まあいい。
動きやすいなら、それで十分だ。
*
着替え終わって外に出ると、リヴァルが待っていた。
「どうです? おかしくはありませんか?」
あ、仮面付けてなかった。
自分の喋り方で気付いたわ。
まあ、いっか。
仮面付けてない状態で変じゃないかも気になるしな。
リヴァルは一瞬だけ目を見開き、すぐに視線を逸らした。
「……似合っています」
「そうですか?それなら良かったですわ」
仮面を付け直す。
なんか妙に見られてる気がして落ち着かない。
「下着も、用意されています」
ぽつりと、リヴァルが言った。
「……下着?」
言われて初めて気付く。
たしかに、袋の中にそれっぽい布が入っていた。
「柔らかい素材を使っています。動きの妨げにならないようにと」
少しだけ言いづらそうにしている。
「へぇ……ありがたいですわ」
正直、そこまでこだわりはない。
普通に着れれば十分だ。
*
装備を整え、里の中を歩く。
体が軽い。
動きやすい。
前の毛皮とは、比べものにならない。
(……文明ってすげぇな)
しみじみ思う。
「しばらくは、ここに?」
リヴァルが隣を歩きながら聞いてきた。
「んー……もう少しだけ世話になる」
正直、帰る理由も特にない。
森はすぐそこだし、行き来すればいい。
「そうですか」
それだけ言って、少しだけ肩の力が抜けたように見えた。
(……気のいい奴だな)
最初は弓向けてきたくせに。
まあ、あれは俺が怪しかったしな。
森の匂い。
木のざわめき。
静かな空気。
しばらくは、ここにいてもいいかもしれない。
そんなふうに、なんとなく思った。
*
名 前:白川 凪
年 齢:19
性 別:女性(転生後)
種 族:デミヒューマン[階位I]
装 備:世界樹の聖剣(木刀)
:エルフの軽装一式
:精霊織りのベルト
:上質な下着
能力値:[体力]2890
:[魔力]7012
:[力]3521
:[防御]5088
:[素早さ]2234
:[器用さ]312
:[賢さ]734
魔 法:重力魔法Lv.6〈S〉
武 技:なし
加 護:創造神の加護〈S〉
ギフト:淑女・・・口調・動作が淑女らしくなる。
:豊胸・・・バストサイズUP。
:不変(限定)・・・①容姿が変わらない。②容姿が維持できない状態になった場合、肉体を調整して元の状態に戻す。
※素早さ→重力魔法での飛行による上昇大




