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最大の難関は魔物ではなく、SSS級の詰問

カイトパパのチート級制裁『蒼穹の制裁』を、ジークベルト公爵の魔法が防いだ劇的な前回。

優月の次の試練は、魔物との戦闘ではなく、「どうやってチート能力を隠し通すか」という究極の頭脳戦です。

まずは目の前のジークベルト様からの容赦ない二重尋問。そして、家に帰れば愛が重すぎる溺愛家族が待ち構えています。

果たして優月の『演技力』は、SSS級の尋問を乗り切れるのか?そして、なぜか急に一人称が変わったイケメン公爵の狙いとは……!?嘘と涙で平穏を守る戦いが始まります!

拝啓 お父さん、お母さん。

優月です。ヤバいかもしれません。隣国の公爵様に私のチート級能力を見られたかもしれません。詰みです。どう言い訳しよう?!


「ジークベルト様、助けていただきありがとうございます」


「フローラ嬢が無事で良かったが、何故この沼地に?それにあの氷の槍は一対…」


どう説明すればいい?どういえばこの公爵は納得する?正直に答えたら、まず私が火属性の魔法を打ちました→それがカイトパパの探知魔法に引っ掛かって氷の槍の魔法が発動→ジークベルト様がそれを防御魔法で助けてくれた


うん、詰みだな。ならどう答える?


「その、沼地にいたのは…夜に気分転換として散歩をしていたら、いつの間にか道に迷ってしまったみたいで...気付いたらここに」


言い訳が苦しい!言い訳が下手になってる!

こんなんじゃ、ジークベルト様は納得しないよ?!


「…フローラ嬢は方向音痴なのか?」


「え、そ、そうなのですわ!私、方向音痴ですの…!」


あぶなーい!何とか回避したよ!


「方向音痴なら、あり得るか…だがあの氷の槍は何だ?水属性の魔法の中でも最強クラスだったが…」


カイトパパの探知魔法のバカ!なんで反応しちゃうの!ジークベルト様が最強クラスだとか何とか言ってるじゃない!


「それは…」


「……氷の槍の件は一旦置いておこう。ところでフローラ嬢、その手に持っている物は何かな?」


「…手に持っている物?」


私はその言葉でふと右手を見る。

はっ!マナ・フロッグの(コア)!アイテムボックスに入れ忘れてたやつ!!


「私の見間違いでなければ、それはこの沼地に生息しているマナ・フロッグの(コア)だと思うのだが…どうしてそれを魔法が使えない無属性の君が?」


「え、えっと…」


「マナ・フロッグの(コア)は簡単には取れないはずだ。低級魔物といえどその(コア)のドロップは取る方法を知らなければ並大抵では出来ない。初心者の冒険者は特に知らないし、上級者の冒険者も知る者は少ない。ましてや伯爵令嬢の君が知っているとは思えないが」


正論パンチくらって、私のライフは0なんですけど。なんで取る方法を知ってたかって?騎士団の双子の兄たちから聞いてたからだよ。その(コア)を見せてきたことがあったんだよ!


「それはサコヴィナ王国、騎士団の隊長を務めている兄から聞いていたのですわ」


「確か…サージェント伯爵家は優秀な騎士を排出していて代々この国の王家に騎士として仕えてきた由緒ある家計だったか?」


「左様でございます」


「なるほどな…そうであれば知っていて妥当か」


「ジークベルト様はなぜこの沼地に?」


「あぁ…俺は、フローラ嬢と同じ理由だ」


「私と...?」


「フローラ嬢と同じく、気分転換で散歩をしていたら魔力の高い反応を感じてな。その場へ向かうべく走り出していたら、大きな火球が一瞬見えたと思ったが、今度は氷の槍が空を埋め尽くしていたところに君が居たんだ」


「それで、助けてくださったのですか?」


「当たり前だろ?俺の興味深い女性(ひと)を何者かに傷つけられては困るからな」


ん?ちょっと待って。公爵、俺って言った?

あれ?前は一人称私じゃなかったっけ?え?え?!


「……?!」


「フローラ嬢、突然驚いた顔をしてどうした?」


「いえ、その…(一人称変わってません?!)」


「……あぁ。もしかして気になるのか?俺のことが。…今は王族も貴族も居ない。運良くフローラ嬢と二人きりだ。砕けた口調にもなるさ」


そういうギャップに弱いから止めてもらっていいですか?!イケメンが敬語からタメ口に変わるのって弱いんだよ!私は!一人称も私から俺とか、ギャップ萌えも良いところだよ!!


「そ、そうですか…」


「フローラ嬢、顔が赤くなってないか?……少しでも俺のこと意識してくれた?」


「えっ...?!」


「それとも、こんな俺は嫌か…?」


「そ、そういうわけでは…」


「良かった…。フローラ嬢に嫌われたくないからな。むしろそういう反応見れて役得だな」


なんだそのふにゃって笑う感じは!作り笑顔じゃないジークベルト様の微笑み、イケメンだから破壊力ヤバいって!!


「何故、私と婚約したいのですか?ジークベルト様ならもっと他にふさわしいご令嬢が居るのでは…」


「………フローラ嬢、初めて会った時に俺は君に一目惚れをしたんだ。あの会場にいる誰よりも魅力的だった。この国の第一王子殿下が面前で婚約の話を君に持ちかけた時は馬鹿だとは思ったが君はその話を上手く躱した」


あ、ジークベルト様も第一王子のこと馬と鹿って思ったのね。私だけじゃなかったんだ。


「そして能力判定の結果…。静観して見ていたけど、俺の興味が惹かれたのはフローラ嬢、貴女だけだった。あとは君も知っている通り、俺も君に婚約を持ちかけた」


「……つまり、ジークベルト様は私以外考えられないということですか?」


「ご名答。フローラ嬢は話の理解が早くて助かるよ」


まさかとは思うけど、ジークベルト様は私を溺愛したりしないよね?溺愛は家族でもうお腹いっぱいだから!もし溺愛してきたら逃げるからね?!


「………」


「夜も遅い。家まで送っていくよ、フローラ嬢」


「え、でも…」


「夜道に女性一人は危ないし、心配だから送らせてくれないか?」


「………お、お願いします」


イケメンに耐性ないんだって!ジークベルト様、顔面偏差値高いんだから覗き込んだりしないで!耐えられないからァ!!


ジークベルト様が家の前まで送ってくれたよ。

でもね、ここからが問題です。少しだけ楽しんで来るつもりが意外と長かったようで、家の中に入った瞬間、カイトパパと双子の兄の3人が腕組んでてレーヴィお兄さんが


「フローラ、今までどこに行ってたのかな?」


だって。ヤバい。魔物より難関かもしれない。


私の選択肢は→素直に謝る・言い訳をする・上目遣いをする・逃げるの4択。逃げることは論外。この3人から逃げるのは不可能に近い。じゃあ残りの3択から決めよう。言い訳をするのは下手こくから止めておこう。残り2択になった。…ここは上目遣いをしながらの謝るでいこう!


「ごめんなさい、お父様。アシェルお兄様にレーヴィお兄様も…」


必殺!フローラの上目遣い!シスコンと娘バカの3人には効果は抜群のはずだ!


「「……………」」


ほら、3人とも目を片手で抑えて天を仰いでるよ。


「フローラ、次からは気を付けるようにね」


よっしゃ!無事、乗り切れた!


「気を付けますわ、お父様」


「ところでフローラ。俺の結界からバレずに出ていけたのはどうしてかな?」


乗り切れてなかった…


「えっと…お父様の結界?」


「普段、常日頃からこのサージェント家に展開している高密度の水魔力による結界のことだよ。フローラを外部の脅威から守るための絶対防御であり監視網の役目もしていて、侵入者やフローラが居なくなった時にすぐに分かる優れものだ」


なにそのチート級の防御魔法は!!やっぱりカイトパパは規格外だ!!


「……」


そんな防御魔法を潜り抜けた私の魔法の方が優秀なのでは?いや、今はそんなこと考えてる暇ないって!カイトパパ、笑顔だけど目が笑ってないから!


「そういえば…アリアが俺に用事があって話していた時だったかな?少し違和感があって、フローラを探しに部屋にいくと居なくてね…。我が娘よ、魔法が使えないのにどう消えたんだ?」


「…………」


「…黙っていては分からないよ?」


「……………っ」


「っ!ごめん!フローラ、泣かせるつもりはなかったんだ!もう聞かないから泣かないでくれ!」


「父上、フローラを泣かせないでください。かわいそうではありませんか」


「そうですよ、父上。フローラ、俺の胸においで」


そう言ってレーヴィお兄さんが優しく抱きしめてくれる。その隣からもアシェルお兄さんが優しく私を抱きしめる。


泣いたと言っても嘘泣きなんですけどね。

私の最終手段。この3人はフローラの泣き顔に弱いと見てたんだよ。下手に言い訳をするより、ここは黙秘して泣くフリをすれば乗り切れると考えました。私の勝ちだね!いぇい!


「お父様、本当にもう聞いたりしないですか?」


「しない!約束する!フローラに嫌われたくないから!!」


「お兄様方も…?」


「「もちろん、フローラが嫌なことならしないよ」」


涙目は効果は抜群だ!

これで私の平穏は守られた。

ふぅ...アリアママ以外にはまだ言わない方がいいよね。こんなに3人から溺愛されてるんだもん。魔法が使えるってバレると別の意味でヤバいから


……私の平穏、本当に守られたのかな?新たな脅威が増えたような気がしなくもないのは気のせい?


そういえば、フローラのスキルで従魔契約あったけど使えないんかな…シャドウ・リヴァイアサンで試してみるか?


次回!フローラ、従魔契約してみますわ!試しはシャドウ・リヴァイアサン?!


従魔契約ってどうやるの?!私、やり方知らないんですけど!ステータス画面に説明書いておいて!!

読んでくださりありがとうございます!

今回の優月の最大の功績は、『嘘泣き』という演技で家族からのSSS級の尋問を乗り切ったことですね!溺愛を逆手に取った最終手段、見事な勝利でした!

しかし、平穏を脅かす要因は増えました。

ジークベルト様: 敬語と一人称が変わり、「俺の興味深い女性」として優月を意識し始めた様子……これ、新たな溺愛フラグが立っていませんか?!

カイトパパ: 結界突破を疑問視しており、優月のチート能力の謎はまだ解決していません。

そして、優月の好奇心(オタク本能)は止まらない!次回はステータス画面で確認した「従魔契約」という新しいチートに手を出します。しかもターゲットはシャドウ・リヴァイアサン?!

次回は、優月の新たな実験と、「従魔契約」の具体的な方法(そしてその驚きの結果)を描きますので、お楽しみに!引き続き、優月の平穏への戦いを見守っていただけると嬉しいです!

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