腐龍とドラゴン最強の暁の鱗竜
拝啓 お父さん、お母さん。
優月です。従魔たちからドラゴンの話を聞いているところです!今回は、腐龍とドラゴンの中でも最強な暁の鱗竜の話です!
「イグ!早く教えて!!」
「落ち着け、主君。順番に話すから…まずは腐龍から話すぞ」
「わくわくっ!」
「腐龍はその名の通り骨だけ、あるいは腐敗した肉体を持つドラゴンだ。闇属性のブレス、腐食の呪いを冒険者を襲う」
「イグ、腐食の呪いって何?」
「我が説明してやろう、主」
なんでレヴィがしゃしゃり出るの…しかも何気に得意気だし…
「レヴィ、教えて?」
「腐龍は邪神の闇の影響を受けてしまった、ドラゴンの成れの果ての姿だ。痛みを感じず、腐龍の核を壊さん限り倒せない。そして、厄介なのが腐食の呪いだ」
「だからその腐食の呪いのことを聞いてるのに…」
「そう焦るでない、主。腐食の呪いは邪神の闇の影響を受けた腐龍しか使えない技だ。死しても尚動き続けるドラゴンの怨念が結晶化したもので、それは万物を無に還すのではなく劣化させて壊してしまう効果がある」
「……劣化?」
「まず一つ目は、武具の劣化だ」
「一つ目?!」
「どんなに伝説級の武具でも腐食の呪いの前では、触れた瞬間に真っ赤な錆に覆われ崩れ落ちてしまう。腐龍の腐食の呪いで武具を使うことはやめておいたほうがいいだろうな」
「ひぇ…」
「二つ目は、肉体の壊死だ。ネクロシスとも言うが、回復魔法などを無効化してしまう。呪いを受けた部分は、痛覚を奪いながら徐々に機能を停止させてしまう。心臓に呪いを受けてしまえば、死は確定するということだ」
「……」
「そして最後の三つ目は、精神の腐朽。周囲に漂う死臭と魔力が生存者の戦意を奪い、絶望を植え付ける。……それを聞いてもお主は倒せるのか?」
「……多分だけど、大丈夫だよ。その腐食の呪いを受けなければ問題ないんでしょ?」
「なぜそう言い切れる?」
「自信はないけど、大丈夫な気がするんだよね。腐食の呪いを放ってくる前に、一瞬で終わらせればいいやと思ったし」
「………そう簡単にいく話ではないぞ?」
「えー?風属性魔法の疾風神速で加速すれば倒せるって」
「レヴィ、姫君ならやり遂げてしまうかもしれんぞ」
「そうだな…主なら難なく倒してしまいそうだ」
「あとはドラゴンの中でも最強の暁の鱗竜の話を聞かせてよ!そっちがメインディッシュなんだから!!」
「メインディッシュ…主君らしいな。暁の鱗竜は巨大な翼と黄金に輝く鱗を持つドラゴンだ。一匹で山一つを支配する孤高の王とも言う。その鱗はあらゆる魔法を弾き、剣を通さない強靭な鱗だ。吐き出す火炎は地獄の業火と呼ばれ、一瞬で城門を溶かしてしまう」
「おぉ…!」
これだよこれ!いかにもRPGっぽい魔物キター!!
「お嬢の目がすごくキラキラしてますね…」
「今、主様はテンションが最高潮になってますから…」
「…(目を輝かせているフローラも可愛いな)」
「公爵が温かい目でお嬢を見てますけど…」
「おそらく若造は主のことを可愛いなどと思っているだけだ」
「アストラル、その暁の鱗竜はこのダンジョンにいるの?!」
「い、いや…ドラゴンの気配が分かるだけで、どの種類のドラゴンがいるかまでは…」
「じゃあ早速、このダンジョンに入ろうよ!!」
「待て姫君。ドラゴンの気配と言っても、絶望の黒鉄龍と聖域の覇王龍の気配かもしれんのだぞ?」
「絶望の黒鉄龍と聖域の覇王龍?!」
「アストラル!主の興味を引き出す話を持ち出すでない!!」
「しまった…」
「元はと言えば、貴様がこのダンジョンにはドラゴンの気配がすると言ったことが事の発端だ。それなのに、また主の被害者になりそうな魔物の話を出しおって…」
「すまん。つい口から出てしまったんだ…」
「アストラル!その二体のドラゴンについて詳しく教えて!!」
「………」
「説明するしかない。責任を取れ、アストラル」
「…絶望の黒鉄龍だが、暁の鱗竜の色違いで漆黒の鱗を持つ。名前の由来は鉄のように硬い鱗と死を運ぶ者から来ている。邪神の闇の力が濃い場所のみに現れる不吉な魔物だ。……もしかするとこのダンジョンは邪神の闇の力が濃い可能性がある」
「邪神が目覚めている兆しってこと?」
「そうだな。姫君の従魔になっている今であれば、邪神の闇の力に支配されることはないだろう。…逆に言えば、邪神の闇の力に支配される未来があったかもしれないということだ」
「そうなの?」
「レヴィがそうではないのか?」
「……我は邪神の闇の力に支配されとらんわ。偶然にも我が体を休めていた洞窟に、主が訪れて従魔契約をしてきたまでよ」
「なんで体を休めていたの?」
「言わん。絶対にだ」
「レヴィのけち!」
「聖域の覇王龍の話をするぞ、姫君」
「あ、どうぞ」
「聖域の覇王龍は真っ白な体に、まるで精緻な彫刻が施されたかのような美しい白銀の鱗を持つ。その瞳は知性に満ちた金色で、相対する者に王の威圧を与えるくらいに強いドラゴンだ」
「王の威圧?」
「言ってしまえば、その瞳と目を合わせてしまうと動けなくなってしまうということだ」
「……そんなに?」
「聖域の覇王龍のスキルも言っておこう。まず覇王の咆哮は精神を直接揺さぶり、魂を凍りつかせる。耐性のない者はその場で平伏し、動くことすらできなくなる。これが王の威圧だ」
「従魔のみんなとか、ジーク様は耐性あるの?」
「俺は無い。そもそも聖域の覇王龍は見たことがないんだ。文献で名前を見たことがある程度だな」
「我ら、古の番人はクロノス以外耐性が無い。レヴィも無いだろう?」
「そうだな。聖域の覇王龍は魔王と並ぶくらいの強さをしている。一度しか目にしたことがないが、あの迫力は我であっても逆らえん」
「ふーん…」
「…(反応が薄いな…)次のスキルは裁きの雷光、口から吐き出されるのは火炎ではなく、超高密度の白い雷。姫君の光魔法に近い性質を持つな」
「ドラゴンなのに火炎とか吐いて来ないんだ…」
「最後は金剛不壊の聖鱗。神聖な加護を受けた鱗。闇属性を完全に無効化し、物理攻撃を跳ね返すほどの硬度を誇る」
「闇属性を完全に無効化、ね……」
「……姫君、まさかとは思うが試す気ではないだろうな?」
「え?もちろん試すよ。アストラルやアティの時に魔法無効化を試したようにね」
「「…………」」
従魔たちが黙っちゃった
「とりあえず!このダンジョンに入るよ、みんな!レッツゴー!!」
「誰も主のことは止められんな…」
私たちはドラゴンの気配がするダンジョンに入っていった。
どうなるかな?!楽しみすぎる!!
次回!ドラゴンを倒して倒しまくります!
『…どうしてこうなったのだ』
『アストラルが主様にドラゴンの気配がするって言ったのが原因ですからね』
『ただ、ドラゴンの気配がすると言っただけなのだが…』
『戦闘狂のお嬢に言ったのが間違いでしたね。ドラゴンなんて言ったらこうなりますよ』
『主のことだ。ドラゴンまでも従魔にしてしまうやもしれんぞ』
『『………(想像できる)』』
『主に従うしかあるまい』




