番外編・ジークベルトの初恋
こんばんは!
今回はジークベルト様の番外編です!
どうしてフローラに惚れたのか、なぜ溺愛するのかが少し明らかになります!
公爵の初恋をどうぞ、温かい目(?)で見守ってください。
それでは番外編どうぞ!
俺の名前はジークベルト=アーチャー、ラゼボ王国のアーチャー公爵家の一人息子。
幼い頃からエステル王女殿下から、想いを寄せられていた。だが、俺は興味が無かった。
他の人からすれば、魅力的なのかもしれない。
しかし、俺はどうも彼女のことが苦手だ。
純粋に好意を寄せられてるのが、不快だった。
はっきりとは言えないが、なんとなく、心の底から嫌だった。彼女じゃないと叫んでるように
両親もエステル姫との婚約を承諾せず、拒否し続けてくれた。ある日、彼女から離れる機会が訪れる。隣国のサコヴィナ王国から舞踏会の招待状が送られて来たのだ。これを機に俺はサコヴィナ王国へと旅立った。
…サコヴィナ王国は何度が訪れていて舞踏会も何度か来たことがある。他の令嬢に話しかけられるが、適当に話を流していた。
つまらない。そう思っていた時、会場がどよめく。ある令嬢が一人で入場してきたのだ。
「……っ」
その令嬢は透明感があり、サファイアなような色の瞳は美しく、誰もが見惚れる容姿をしていた。……どんな令嬢か知りたい。初めてそう思った。俺はあの令嬢に一目惚れをしたのだ。
国王陛下の挨拶も見事なものだった。
「フローラ=サージェントでございます。陛下の御前を許していただき、光栄に存じます」
完璧なカーテシーだ。淑女としてお手本になるくらいに。
…これがフローラとの出会いだった。
俺は国王陛下に彼女との婚約を持ちかけ、時間をかけてフローラの婚約者になった。
フローラは不思議な令嬢だ。16歳だというのに達観している時がある。俺のスキルでも素性が分からなかった。…もしかして、誰かがフローラの中に居るのか…?そうだとしたらますます興味深いな。
婚約者となってもフローラは俺に恋愛感情は抱いてくれなかった。どれだけアピールしても、本人は気にしていない。独占欲が強くなる一方だと言うのに…、俺を好きになってくれ、フローラ。そうしたら改めてプロポーズできるのに。
…そう思ってる中、エレメンタル・コアを討伐するためにフローラとその従魔であるアズ殿と俺の3人で生命の木まで行くことになった。サージェント家の領地に向かうためには避けて通れないから、父上たちなりの配慮だろう。
フローラは容易くエレメンタル・コアを倒した。……何も詠唱していないのに、魔物が倒れるはずがない。………無詠唱か。計り知れないな。
問題はエレメンタル・コアを倒したことで目覚めてしまった世界の破片、封魔の樹縛獣。
俺とアズ殿が二人がかりでも歯が立たなかった。封魔の樹縛獣の根に捕まってしまい、魔力を完全に奪われてしまうと石化してしまうらしい。情けないにもほどがある。フローラが勝てる保証はない。
俺は迷わずフローラに告げる
「………フローラ、逃げろ!」
「我らのことは気にせず逃げろ、主よ!」
「……そんな、ことできるわけ…」
フローラは顔を伏せる。それでも封魔の樹縛獣はフローラに容赦なく向かっていく。
彼女は顔を上げ叫んだ。
「私は…この人を、ジーク様を、私のことを愛してくれる大切な人を失いたくない!!」
「……フローラっ、(彼女の雰囲気が変わった…?)」
「…封魔の樹縛獣、私の大切な人と従魔を傷つけたその代償、身をもって償ってもらう」
いつものフローラからは想像できないくらいの低い声でそう言い放った。
…その後の事は覚えていない。どうやら眠ってしまっていたみたいだ。
起きる直前に何か柔らかいものが自身の口に当たった気がするが…
フローラを抱きしめると彼女が俺のことを慰めてくれた。
「………それに、今回もジーク様はかっこ良かったですよ」
「そう、か…ありがとう、フローラ」
あぁ…愛おしい。俺は思わず彼女の頬にキスをする。
「っ?!」
キスをしただけで驚いて顔を赤く染めるなんて、俺を誘ってるみたいだな。
「可愛いな…。もっと君に近付いたら駄目か?」
「ジ、ジーク様っ…?」
もっと君の事を教えて、フローラ。
どうか、俺に溺れてくれ...
お読みいただき、ありがとうございました!
甘いですね…。これから二人はどうなるのやら...
フローラとジークベルト様の二人の甘い雰囲気を書くのは楽しいです(笑)もっと書きたい…
本編である2章の再開まで、番外編を出すのもあと2回となりました。誰の番外編が出るのか、予想してみてください!
それではまた次の番外編でお会いしましょう!




