絶望!最強チートを【空位の器】で隠蔽完了しました~シスコン兄のドレス選びと溺愛警護を添えて~
皆様、第1話をお読みいただきありがとうございます!!優月の平穏に生きたい気持ちとは裏腹に、物語が動き出してしまいましたね…。
第一王子からの招待状は、優月に言わせれば「ただの罠!」です。
今回は、その罠に備えるべく、優月が自身の最強すぎるチート能力を発見し、究極の隠蔽スキル【空位の器】を起動します。そして、シスコン兄たちの過剰な溺愛警護を受けながら、いよいよ舞踏会へ向かう準備が整います。
「平穏ライフを守れ!」優月の隠蔽工作にご期待ください!
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拝啓 お父さん、お母さん。
優月はこの国の第一王子から招待状をもらったみたいです。不安しかありません。
今は部屋に一人でゆっくりしています。
そういえば、転生してから自分のステータスとか見れないのかな?転生系ならステータスみれるのが当たり前みたいな節があるし…
「ステータス、オープン!」
おぉ!ステータスが出てきた!
えーと…
フローラ=サージェント(優月・転生者)
16歳
スキル 無詠唱・空位の器・鑑定・アイテムボックス・従魔契約・精霊契約
魔法 全属性(火・水・風・土・光・闇・無)
魔力∞
わ~…チート能力だぁ…これ、バレたらアカンやつ。隠蔽スキルで隠すのが良さそう…
隠蔽スキル、空位の器で私のこのチート能力であるスキルとか使える魔法の属性を周りに無い存在として誤認させとこ。そもそもこの隠蔽スキルもヤバいけど
私は心の中で唱える。発動!空位の器!
このチート能力を誰にも見抜かれないようにして!いや、してください!私の運命は空位の器、君に託されているんだ!
「フローラ、ちょっといいかな?」
「レーヴィお兄様、どうぞ」
そう言うとフローラの兄であるレーヴィお兄さんが部屋に入ってくる。
相変わらずレーヴィお兄さん、イケメンっすね
「フローラ、何してたの?」
「えっ、その……」
ステータス画面を見てました!なんて言っていいのか?
「俺には言えないこと?フローラが何か悩んでいるなら、どんなことでもこの俺に話してほしいんだけど」
レーヴィお兄さん!溺愛を発揮しないで!もうこの溺愛は一種のスキルだろ!
「違いますわ!そ、その……レーヴィお兄様は魔法は何属性が使えるのですか?」
「え?あぁ…フローラは覚えていないんだっけ。俺は風属性の魔法が使えるよ。フローラは魔法は使えないけどね」
え…フローラって魔法使えなかったの?あれか?私、優月がフローラに転生してるから全属性の魔法が使えるようになったのか?
「そういえばそうでしたわね…ところでレーヴィお兄様、鑑定スキルって珍しいですか?」
「鑑定スキルを持っているのは、王位継承者か国の王くらいだからね。またはどちらもない場合があるくらい珍しいスキルだよ。それに鑑定スキルは、他人の秘密を暴く危険な力だ。だからこそ、国の中枢を担う者しか所有が許されない。急に聞いてきてどうしたのかな?」
やっべぇ!鑑定スキルって本当にやばいやつじゃん!現実世界であったら便利だなって思ってたけどレーヴィお兄さんがここまで言うなんて…なんか、真剣な表情のレーヴィお兄さん怖いかも。普段シスコンなのに
「い、いえ!気になっただけですわ!」
「そっか…。ところでフローラのドレスが決まったよ」
「へ?」
「フローラは何を着ても可愛いけど、とびきり可愛いドレスをアシェルと選んだんだ」
「……あ、ありがとうございます」
勝手に選んだんかい!!本人の意見は?!
レーヴィお兄さんひどくない?!シスコンってここまでするの?マジ?
「てことで、早速着替えてもらおうかな」
「え…?」
レーヴィお兄さんがメイドを呼ぶとあれよあれよという間に着替えさせられた。
なんだろう…このドレスはフローラの見た目にバッチリ相性がいいくらい華やかで且つ繊細さを現すような綺麗な刺繍のある青色のドレスだ...双子の兄、侮れないかも。ただのシスコンじゃないな
「っ!!」
レーヴィお兄さん、ガッツポーズしたんだけど
「あの、レーヴィお兄様?」
「フローラ!すごく似合ってるよ!!俺の見立てに間違いなかった!明日、第一王子にこんな可愛いフローラを見られると思うと殺意が沸くけど、仕方ないか」
さらっとこの人殺意とかなんとか言わなかった?シスコン怖い…
「レーヴィお兄様、第一王子ってどんな方ですか?」
「……一言で言えばダメ王子。見た目は俺たち双子に劣らないけど王位継承者としては継いでほしくないくらいかな」
マジかぁ…よく見るテンプレってやつ?周りの大人たちに躍らされてるやつじゃん…
「何故、そのような方が私に招待状を?」
「………フローラ、俺たちサージェント家はサコヴィナ王国にとって重要な役割なんだ。それが分かるかい?」
「……えっと、確かこの国の騎士として仕えてきた由緒ある家系だから?」
「そうだね、半分正解と言おうか。王家はサージェント家を敵に回したくないんだよ。アシェルが騎士団の第一部隊隊長で俺が第三部隊隊長。いざとなれば王家を敵に回してでも俺たちはフローラを優先するからね」
いや、レーヴィお兄さん。笑顔でそう言われましても...怖いよ。私ってそんなに双子の兄たちにとって大切なん?
「お兄様たちは、私にそこまで溺愛してくれるのですか?」
「俺たちにとっては代わりなんていない、フローラは唯一無二の存在だからね。大切だしこんなに可愛いんだから溺愛して当たり前のことだよ!」
おっふ…さらっと言いましたよこの人。
ここまで愛されるフローラって生前どういう人だったんだろ…この世界も乙女ゲームなのかも分からないし、現実世界でないことは確かなんだけどね…
「レーヴィお兄様、私が今までの私じゃないとしても溺愛してくれるのですか?」
「ふふっ…。フローラはおかしなことを言うね。もちろん今までのフローラとは変わったのかもしれないけど、些細なことだよ。アシェルも同じことを言うと思うけど、俺たちにとってフローラはフローラだから。敢えていうなら、前より表情が分かりやすくなったことくらいかな?」
「前の私は分かりにくかったですか?」
「そうだね。俺たちが笑ってと言っても中々笑ってくれなかったな…。俺の憶測に過ぎないけど、魔法が使えない自分を心のどこかで自分を責めて表情にでないようにした結果じゃないかな」
……そう、なのかな。フローラは双子の兄たちは魔法が使えるのになんで自分は使えないのかって嫌になってたのかな…
「……」
「魔法が使えないことを誰も責めていないよ、フローラ。むしろ使えなくていい。その方が俺たちがちゃんと守ってあげられるからね」
ウィンクしたよ、レーヴィお兄さん。キランって星が見えたよ。さすがシスコン…
落ち込んでたのが馬鹿馬鹿しく思えるや
「…ありがとうございます、レーヴィお兄様」
「っ!フローラが俺に微笑んでくれた!!」
微笑んだらまた胸を押さえたよ、この人。イケメンなのにシスコンなのが勿体無いな
「レーヴィ、何をしてる。フローラのドレスは決まったの、か…」
あ、アシェルお兄さんが部屋に入ってきた。なんか固まってる?
「アシェルお兄様?」
「っ!!フローラが可愛い!やっぱりこのドレスにして正解だった!!」
あ~…アシェルお兄さんが天を仰いだ…
この双子、ホントに似てるなぁ…シスコンぶりが。
「アシェル、フローラが世界一可愛いよな」
「そうだな、レーヴィ。いやフローラの可愛さは宇宙一だ」
は?いやまって?世界一ならまだ分かるけどこの世界線に宇宙一とかの言葉は存在するの?現実世界ならまだしも異世界で??
「あ、あのアシェルお兄様に聞きたいことが...」
「フローラが聞きたいことなら俺はなんでも答えるよ!」
わぁ…良い笑顔
「その…アシェルお兄様は何属性の魔法が使えるのですか?」
「あぁ…俺は火属性の魔法が使えるよ。レーヴィの風属性の魔法で補えることができるんだ」
「補う…?」
「風属性は火属性を補うことができるんだよ。また、水属性は風属性を補う。四属性と言われる火・水・風・土属性はそれぞれ補えるんだ」
「なるほど...」
「対立するの火→水。風→土って感じかな」
この世界ではそうなるんだ…。勉強になるな。有名なゲームのタイプ相性と似てるところは似てるんだな
「レーヴィ、何か考えてるフローラ可愛いな」
「そうだな、アシェル。…本当に今のフローラは前より可愛さが増したな」
え、双子の兄が何か話してる。何の話してるんだろ…フローラのことかな…
このシスコン兄たちから、溺愛は逃れられないよね…
イケメンに耐性のないオタクはどうすればいいですか?!神様ぁぁぁぁ!!
最後までお読みいただきありがとうございました!
優月、ついに全属性・全スキル持ちという最強チートが判明しましたね(笑)。しかし、そのチートを隠すための【空位の器】もまたチートという、最強vs最強の構図が出来上がりました。これで、国王陛下の極秘鑑定にも対抗できるかもしれません……!
そして、アシェル兄とレーヴィ兄のシスコンぶりが宇宙規模すぎて、優月の平穏とは程遠いことが確定しました。イケメンに「可愛い」と連呼される優月のパニックが、私自身書いていて楽しかったです。
さて、次回はついに舞踏会当日です。
第一王子との対面、そして公的な能力鑑定という最大の試練が優月を待ち受けます。さらに、物語の最大のフックである隣国の公爵様も登場します!
「次回、デュエル、スタート!」の通り、物語が一気に動きますので、ぜひお楽しみください。
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