ババ抜き決戦!勝者が勝ち取ったのは、愛なき婚約者の「独占権」
こんばんは!
席の争いが、まさかの「フローラの1日独占権」を賭けたババ抜きに発展してしまいました。
愛が重すぎる男たち(ジークベルト様、お父様、お兄様方)の、プライドをかけたガチの心理戦が幕を開けます。
勝者は誰になるのか?そして、その勝者と共にフローラが向かう先は—?
愛と欲望(と夜ご飯)をかけた熱きバトル、どうぞお楽しみください!
拝啓 お父さん、お母さん。
優月です。家族と公爵様で夕食を食べようとした時、誰の隣にフローラが座ってくれるかをめぐって突然ババ抜きが始まりました…意味が分かりません。
『お主が争いたければ争えと言ったからだろうな』
私のために争わないで!の方が良かった?
『それだといつまでたっても夕食を食べれんぞ』
お腹空いた…。早く夜ご飯食べたい…
「フローラ、ババ抜きが始まるみたいよ?」
「お母様は私の従魔と居てください。私はジークベルト様に付きっきりで早くババ抜きを終わらせてきます」
「分かったわ~」
アリアママは笑顔で手を振った
「ジークベルト様、早く終わらせて夜ご飯食べましょう」
「フローラ嬢が付いてくれるとは、これ以上に心強いことはないな」
「フローラ、俺たちには付いてくれないの?!」
「お兄様方はハンデがあっても勝ちますでしょう?」
「それはそうだけど…」
「アシェルお兄様とレーヴィお兄様、お父様のことも応援しますが、私はジークベルト様に勝ってもらいたいので付くだけです」
「「フローラ…?!」」
「…フローラ嬢」
ジークベルト様が勝ったら、ラゼボ王国の海に連れていってもらいたいから!!
『お主の言葉で驚いている家族と、傍らときめいている若造に別れたな』
ときめいている…?ジークベルト様が?
『表情からは分かりにくいが、我には分かる』
私にはそうは見えないけどなぁ…
「ババ抜きで一番に抜けられた者には、フローラを1日独占してもいい権利を与える」
「「…!!」」
カイトパパ、勝手に決めたよ…。
まぁジークベルト様に勝ってもらうからいいけどさ。
かくして、男4人によるフローラの1日独占権をかけた負けられないババ抜きが幕を開けた。
『なんだその口調は』
レヴィ!せっかく雰囲気出したのに、黙ってて!
4人にトランプが配られ、私はジークベルト様の横に付いて見ていた。
「ジークベルト様、これとこの2枚、同じ数字で手数を減らせれますわ」
「ありがとう、フローラ嬢」
1ターン目。カイトパパ→アシェルお兄さん→レーヴィお兄さん→ジークベルト様→カイトパパの順でカードを1枚引いていく。
さて、誰がジョーカーを持ってるか…。ジークベルト様は持っていないから3人のうちの誰かなんだよね…
「……この1枚を引かせてもらおうか」
「…いいですよ、父上」
カイトパパがアシェルお兄さんから1枚カードを引いた。……表情がかわらないからジョーカーは引いてない?のかな
「レーヴィ、この1枚を引かせてもらう」
「……(一瞬だけにやっと笑うレーヴィ)」
あ!アシェルお兄さんの眉がピクッてなった!ジョーカーを引いたんだ!カイトパパがジョーカーを引かない限り、ジークベルト様に勝機はある!
「…ではジークベルト殿からはこの1枚を引かせてもらう」
「どうぞ」
レーヴィお兄さんは数字が揃ったのか、カードが減った。今の時点で一番に抜けそうなのはレーヴィお兄さんだけど、ジークベルト様はその次に抜けられそう…
「カイト伯爵、この1枚を引かせてもらいます」
「構いませんよ」
ジークベルト様が引いたカードは手元にあるカードと同じ数字だった。
「ハートの6とダイヤの6!揃いましたね、ジークベルト様!」
「あぁ、順調だな」
「(…婚約者になったからと言ってフローラと仲睦まじくするなよ、公爵。レーヴィにコンタクトを取るか)」
「(…公爵を陥れたらフローラに嫌われるかもしれないぞ、アシェル)」
「(フローラが嫌うわけないだろ。レーヴィが俺のジョーカーを引いて公爵に引かせるように誘導しろ)」
………アシェルお兄さんとレーヴィお兄さん、目で会話してる?なんか良くないこと企んだな。
こういう時、勘が当たったりするんだよね。
私はジークベルト様に耳打ちした
「ジークベルト様、レーヴィお兄様にお気を付けてくださいませ。何か企んでるかもしれません」
「…フローラ嬢がそう言うなら、信じて気を付けよう」
2ターン目がやって来た。アシェルお兄さんがレーヴィお兄さんにカードを引かせる時、1枚だけカードを上に上げていた。
……ジョーカーを引かせる気満々だ。レーヴィお兄さんにこれがジョーカーだからこれを引け!って言ってるようなものじゃん。
それをレーヴィお兄さんが引いたー!!
(この1枚だけ飛び出ているカードを引け!公爵!)とかなんとか思ってるんだろうなぁ、レーヴィお兄さんは。この双子の兄たちめ……
「……(フローラ嬢が気を付けろと言ったのはこの事か。飛び出ているカードは罠の可能性がある。なら他のカードを選ぶまでだな)」
おっ!ジークベルト様が引いたカードはクラブの8!また揃った!!
「やりましたね!ジークベルト様!」
「フローラ嬢のお陰だな」
グフッ…!イケメンの微笑みは破壊力強いんだよ、耐性ないなからやめてや。
そして、ババ抜きは順調に進んでいき(またしても双子の兄たちによる陥れる行為はあったけど)、一番に抜けたのはジークベルト様だった。
「「…負けた」」
「では、私にフローラ嬢を1日独占する権利が与えられるということですね」
「約束ですからね…。男に二言はありません」
「カイト伯爵、ありがとうございます」
「……ジークベルト様、おめでとうございます」
「ありがとう、フローラ嬢。君を1日独占できるなんて嬉しいよ」
グハッ…!満面の笑みが眩しいっ!ジークベルト様と1日一緒に居るなんて、耐えられる気がしない!!
『我も居ることを忘れるでないぞ、主』
分かってるよ!レヴィのこと忘れてないって!
『……本当か?』
ワスレルワケナイヨ。レヴィは私の従魔だもん
『前半、片言だったぞ』
気のせい気のせい。そんなことより!!
『我のことをそんなことの言葉で片付けるでない!!』
「ジークベルト様!その…ジークベルト様と一緒に行きたい所があるのですが...」
「フローラ嬢の望みとあれば何でも応えよう」
「ありがとうございます。……ラゼボ王国の海に行きたいのですが、連れていってくれますか?」
「……もちろん。フローラ嬢と海を見れるのならこれ以上に嬉しいことはないさ」
やった!海の魔物と戦える!!
『…若造が可哀想だな』
何が可哀想なの?
『…主は鈍感だな』
ん?レヴィくん、喧嘩売ってる?
『売っておらん。我はただ事実を述べたまでだ』
レヴィはさておき、私はジークベルト様に淑女スマイルを向ける
「楽しみにしておりますわね、ジークベルト様」
「楽しみにしててくれ。フローラ嬢を楽しませられるように善処しよう」
「ババ抜きは終わりましたよね!夕食にしましょう!お腹が空き過ぎました」
「そうだな。フローラの言う通り夕食にしよう」
ようやく夜ご飯が食べられる!
あ、もちろんジークベルト様が勝ったので私はジークベルト様の隣の席に座ってます。
「フローラ嬢、口の近くに付いてる」
とジークベルト様が自分の口に付いているであろうところに指を指した
「ここですか?」
そう聞くとジークベルト様は近づき私の口近くに付いてたのを彼の指で取った後に
「……取れたな」
といたずらに微笑んだ。
な、な、な...!なんだそのイケメンムーブは!!顔が赤くなってる自信しかないんですけど?!
『今のお主は確かに顔が赤くなっているな』
言わないで!顔が熱くなってるのが分かってるから!!
『少しでも若造のことを意識したか?』
意識するに決まってるじゃん!急に顔面偏差値の高いジークベルト様が私に近づいてくるんだよ?意識しない人なんて居ないでしょ?!
『これで主も若造に対して恋愛感情が…』
あ、それはないから
『即答だな…』
「フローラ嬢、海に行く前に私の両親に挨拶をしてほしいんだが、良いだろうか?」
「っ…、もちろんですわ!ジークベルト様のご両親にお会いできるなんて光栄です」
ま、待って待って?!突然のことだから動揺して、えっ?!とか言いそうになったのに言わずに耐えた私を誰か褒めてほしい!!
『良く耐えたな、主よ』
レヴィ、褒めてくれてありがとう!
次回!フローラ、ジークベルト様の両親に挨拶をして目的の海に行く!
うっ、緊張してきた…。
『お主が緊張するとは珍しいな』
別に珍しくないでしょうが…
『少なくとも我は緊張しているお主を見たことがないな。焦っている時はあったが』
そうだっけ…?緊張でお腹が痛くなってきた…
いつも読んでくださりありがとうございます!
男たちの熱い戦い、いかがでしたでしょうか。ジークベルト様が勝利し、ついにフローラの「1日独占権」を勝ち取りました!公爵様の無双っぷり(とイケメンムーブ)に、優月だけでなく、書いている私もドキドキしました(笑)。
さて、次話は公爵様のご両親へのご挨拶、そして念願のラゼボの海デートへ!優月はレヴィから聞いた海にいる魔物を見たいだけですが、公爵様にとってはフローラと初めてのデートです。優月の平穏は一体どこへ向かうのか、次話もご期待ください!
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