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フローラの無双、その正体は伝説の従魔の力

こんばんは!

前回、ジークベルト公爵との婚約が法的に成立した優月ですが、休む間もなく次の課題が……!

なんと、ジークベルト公爵に「フローラ嬢の魔法を見せてくれ」と迫られ、優月は最大の秘密であるチート能力のお披露目に!

優月が「無言の証明」として、レヴィの伝説級の力を借りて窮地を脱する、究極の欺瞞が始まります!そして、優月さんのオタク的知識と無自覚な最強の力のギャップにご注目ください。

拝啓 お父さん、お母さん。

私が転生したときに得たチート能力がジークベルト様にバレる可能性が出てきてしまいました。

いざとなったら切腹します…。


『まぁ待て、主よ。我に考えがある』


え?!


『これは我の慈悲だ。成功した暁には我を褒めるが良いぞ』


…そう上手くいくかなぁ…


レヴィは私の側からジークベルト様の近くに飛んで行く。


「貴様、我の声が聞こえるか?」


「人の言葉が話せる、のか…?!」


「長く生きていれば話せるようにもなるわ。…その様子を見るに聞こえているな」


「あ、あぁ…聞こえている」


「若造、貴様は我の契約者である主以外に該当する。口を慎め」


「っ、これは失礼した。……ピクシードラゴン殿」


あ、ジークベルト様がレヴィに対してお辞儀した。……レヴィ、調子に乗ってない?気のせい?


『調子に乗っておらんわ。主、我の名前を考えろ』


は?なんで?レヴィはレヴィじゃん


『それだとシャドウ・リヴァイアサンだとこの若造に勘づかれるだろう?』


そっか…なら、アズール(青)を略してアズは?それだと勘づかれることはないんじゃない?


『……まぁそれで良いだろう。あとで文句を言わせてもらうがな』


「我の名はピクシードラゴンのアズだ。覚えておけ」


「では、アズ殿と呼ばせていただきます」


「それで良い。して若造よ、主と我の念話だが魔力がなくとも出来るのだ」


「いや、しかし…念話はお互いに魔力がないと……」


「この我であれば可能ということだ。分かったな?」


「承知しました…。ではアズ殿、フローラ嬢は魔力がないと?」


「そうだな」


「お言葉ですが、私の魔法を目にしても驚かなかったのは…」


「それは我の魔法を見ているから驚かなかったまで。特別に貴様にも我の魔法を見せてやろう」


「アズ殿は何属性なのですか?」


「貴様は魔物に二属性持ちがいることは知っているな?」


「存じております」


「我は水と闇属性の二属性を持ち合わせる魔物だ。水属性は貴様と同じだな」


「水と闇属性………?」


「魔物の中では数は少ないが珍しいことでもない。…岩を穿て!流水(アクア)氷牙(ファング)!」


レヴィが放った流水(アクア)氷牙(ファング)はジークベルト様の魔法で氷の塊になっていた岩を貫いた。


威力そこそこって感じの魔法か…水球(ウォーターボール)よりかは強いかな


『我を褒め称えるが良い、主よ!』


わー、すごいすごい。ぱちぱち。


『棒読みが過ぎるではないか!もっと気持ちを込めんか!!』


「……あの威力。そして詠唱の短さ。……謎は深まるばかりだな」


「どうだ、若造よ。我の魔法の威力は」


「恐れ入りました、流石はアズ殿。……私とも従魔契約をしてほしいくらいです」


「ふん、調子に乗るでない。我が生涯で唯一主と認めるのはあの者だけよ」


「…それは残念だ。アズ殿から見て私はフローラ嬢に好かれるでしょうか?」


「今のところは絶望的だ。…遠回しな言い方だと通用せんから気を付けることだな」


「……そうですか」


レヴィとジークベルト様、何を話してるんだろ?聞き取れないや。


「そろそろ帰った方が良いぞ。主の父君が心配する頃だ」


「それもそうですね…。……フローラ嬢、サージェント家に帰ろうか」


「分かりましたわ」


ジークベルト様が家まで送ってくれました。

なんと今日はジークベルト様も一緒に夜ごはんを食べるそうです。って!聞いてない!!


「フローラ、俺の隣においで」


「アシェルお兄様…」


「アシェル殿、フローラ嬢は私の婚約者になったのですから私の隣に座っていただきますよ?」


「……アーチャー公爵、いや、ジークベルト殿。ここはお互い砕けた言葉で喋りましょう。その方がこちらとしてもやりやすいのでね」


「…良いでしょう。……フローラ嬢、俺の隣に座ってくれるか?」


えっ?!私に振るの?!


「フローラ、君のお兄様である俺のところにおいで」


こ、これは…私のために争わないで!っていうあのシチュエーション!!少女マンガとかではベタな展開じゃないですか?!


『お主は争わないでと言うのか?』


いや~…言いたいけど、私のために争わないでの対義語ってなんて言うんだっけ?とかなんとか考えていると


「フローラ、アシェルとジークベルト殿は放っておいて俺の隣においでよ」


「レーヴィお兄様まで…?」


レーヴィお兄さんまで参戦してきましたわ…


「フローラ、ジークベルト殿と婚約したからと言って必ずしも隣に座る必要はない。私の隣に座りなさい」


「カイト伯爵…?」


あら~…カイトパパまで参戦しちゃいましたわ…どう収拾すれば良いかな…


『お主が私のために争わないでと言えば良いのではないか?』


えぇ…収まる?かな?


『しすこんの双子の兄らと娘バカである父君には効くだろうな』


ジークベルト様は?


『……お主は若造の隣に座れば良い。婚約者として顔を立たせるべきだ』


……ここは私のために争わないで!って言わないでおこう!


『…は?』


「争いたければ争え。勝ったやつだけ愛してやる、ですわ」


「「……………」」


私の言葉が4人に効いたのか、効いてないのか黙ってしまった。

私のために争わないでの対義語言っただけじゃん…


『……ほう?中々思い切るではないか。それでこそ我の主にふさわしいというものよ』


「フローラ、その言葉は本当か?」


「え?えぇ…本当ですわ、お父様」


「なら(あらそ)うじゃないか。…このババ抜きでな」


「ババ抜き?!」


「フローラも小さい頃に俺たち双子と遊んでたじゃないか。何を驚いているんだ?」


「い、いえ…失礼しました」


この異世界にババ抜きって存在するの?!聞いた時思わず声に出しちゃったよ!!フローラも小さい頃に遊んだことあるんだ…知らなかった。

いや待って?サージェント家にババ抜きの遊びがあること自体、謎すぎるんだが??


『主、ババ抜きとはなんだ?』


えっと…カードを1枚ずつ隣の人から引いて、反対側の隣にいる人に引かせて、最後にジョーカーを手元に残した人を負けとするゲームのことなんだけど…


「フローラ嬢は、ババ抜きを遊んだ経験があるのか?」


「えぇ、ありますわ」


「もし良ければ、俺に付いて教えてくれないだろうか…?」


「えっ」


「ババ抜きというカード遊びは知らない上に、そもそもカイト伯爵が手に持っているカードも初めて見たんだ」


「私で良ければお教えますわ!」


「ジークベルト殿、ずるいぞ!!」


「お兄様方はルールを存じているじゃありませんか!ジークベルト様はずるくありません!」


「うぐっ…」


「ぐうの音も出ない...」


私の寵愛?を賭けて男4人によるババ抜きが繰り広げられるのであった…


いや、なんでやねん!!というツッコミは心の中に留めておくことにした。


「フローラが争えって言ったからね~…」


「お母様」


いつの間にか私の隣にアリアママが来ていた


「ジークベルト様にトランプのこと教えてあげるんでしょ?待ってくれてるわよ」


「教えてきます!」


「いってらっしゃ~い」


アリアママは笑顔でジークベルト様にルールを教えに行く私に手を振った


「フローラ嬢、まずはこのカードについて教えてほしい」


「えっと、このカードはトランプと言って、スペード・ハート・ダイヤ・クラブの4種類の模様があって各13枚の計52枚に+ジョーカー1枚でババ抜きをします」


「この4種類の模様には意味はあるのか?」


「えっ?!えっと…確か社会階級を表していたはずです」


「社会階級?」


「スペードが剣で騎士、ハートが聖杯で聖職者、ダイヤが貨幣で商人、クラブが棍棒で農民を表してますわ」


多分だからね!間違ってたらごめんなさい!!

そんなこと聞かれると思ってなかったから、優月ちゃんの記憶のタンスの引き出しが開きっぱなしだよ。勘弁して...不意打ちは弱いんだよ…


「やはりフローラ嬢は聡明だな、ありがとう」


「い、いえ…」


イケメンの微笑みもらいました!ごちそうさまです!!


「それでババ抜きのルールを聞いても良いかな」


「ババ抜きはカードを1枚ずつ隣の人から引いて、同じ数のカードがあったらその2枚を抜いて、反対側の隣にいる人に引かせて、最後にジョーカーを手元に残した人を負けとするゲームですわ」


レヴィに言ったことの重複になっちゃったけど、仕方ないよね。ジークベルト様、ババ抜きのルール知らないって言ってたし!


「なるほど...心理戦もあるということか」


ジークベルト様、鋭い!!

ババ抜きはいかにジョーカーを引かないようにするか、引かせるようにするかの心理戦だよ!


『我は静観しているとしよう』


その方がいいね。分からなかったら聞いて


『あいわかった』


次回!ババ抜きの勝者にはフローラを1日独占する権利が与えられますわ?!


私のために争わないでって言った方が良かったかな…


『我は争えと言って良かったと思うぞ。この光景は中々に滑稽だからな』


なんでこうなったんだろうね…お腹空いた……

第12話までお読みいただきありがとうございます!

優月の「争いたければ争え、勝ったやつだけ愛してやる、ですわ」という、予想外の形で幕が開けましたね!

そして始まったのは、イケメン4人による「ババ抜き争奪戦」。この選択は、優月にとって吉と出るか、凶と出るか!?

ジークベルト公爵にトランプのルールを教える優月さんの姿は、微笑ましいながらも、この後の「独占権」を賭けた戦いの行方が気になります!

次回、【第13話:ババ抜き決戦!勝者が勝ち取ったのは、愛なき婚約者の「独占権」】で、ついに争奪戦の勝者が決まります!どうぞご期待ください!

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