表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/29

契約成立!父の監視下で交わす『愛なき誓約書』と公爵のチート魔法

こんばんは!

前回、優月は究極の選択の末、ジークベルト公爵を選びました。今回はその選択を法的に確定させるため、愛が重すぎる父カイト伯爵の監視のもと、誓約書にサインします!

優月の「平穏」を守るために、カイトパパが用意したチート級の防御条項は通用するのか?そして、すべての条件を「容易いこと」と受け入れたジークベルト公爵の真の目的とは――?

そして、優月が婚約者から得る最初のご褒美は、公爵の規格外の二属性魔法の検証! 優月のオタク魂が爆発する瞬間をお見逃しなく!

拝啓 お父さん、お母さん。

優月に婚約者が出来ました。恋人居ない歴=年齢だった私に、婚約者が!!あ、でも婚約者といっても恋愛感情はありませんので。


『……公爵の若造が可哀想だな…』


レヴィはなんでそう思うの?馬と鹿の王子よりジークベルト様の方に軍配が上がっただけだからね?


『恋愛感情がないなら、婚約しなくとも良いだろう』


レヴィは分かってないなぁ…。恋愛感情が無い方が意外と長続きすることだってあるんだよ。それに不安になったり嫉妬することがないから、絶対楽だって!


「フローラ、アーチャー公爵がこれからここに来るが緊張とかはしていないか?」


「大丈夫ですわ、お父様」


「フローラの微笑み、可愛すぎる…」


「まさに天使の微笑み…」


アシェルお兄さんとレーヴィお兄さん、私みたいな推しにファンサしてもらった時のオタクの反応しちゃってるじゃないっすか。イケメンなのにシスコンってところが、もったいないよな~…


「旦那様、アーチャー公爵様がご到着されました」


「アリア、フローラ、アシェル、レーヴィ。公爵に挨拶をしに行くぞ」


カイトパパの一声で私たち家族はジークベルト様が居るホールへと向かった


「アーチャー公爵、お待ちしておりました。私はサージェント家当主、カイト=サージェントでございます。娘のフローラとの婚約、深謝いたします」


「カイト伯爵、ご挨拶が遅れましたことお詫び申し上げます。ジークベルト=アーチャーでございます。貴殿にお会いできたこと、心より光栄に存じます」


カイトパパとジークベルト様、お互いがお辞儀をしながら貴族らしいやり取りしてる…!

実感沸きづらいけど、ジークベルト様と私は婚約関係になるのか…


「アーチャー公爵。改めて。サージェント家長男、騎士団第一部隊隊長アシェル=サージェントでございます。妹フローラを王国の盾たる我々が代表し、お目通りいたします」


「優秀な騎士団隊長であることは存じております。ですが安心してください、フローラ嬢の平穏を私が責任をもってお守りいたします」


アシェルお兄さんの口が一瞬ピクッってなったけど、気のせいだったかな?

ジークベルト様、アシェルお兄さんを前にしても動揺してないの凄い…


「アーチャー公爵。次男、第三部隊隊長レーヴィ=サージェントでございます。本日は、この婚約交渉の場を、王国の秩序を守るわたくしが、最後まで監督させていただきます。」


「レーヴィ隊長。貴殿の秩序が乱れることのないよう、私も最善を尽くします。…フローラ嬢のために、ね。」


………ダメだ。双子の兄たちが公爵様を前にしてもフローラのシスコンっぷりを披露してるし敵意を向けてるよ…


『お主は気付かぬか?公爵の若造がお主に対して愛を最優先していることに』


愛?あい?アイ……?はて?


「では、アーチャー公爵。婚約の誓約書の条件と署名は執務室で行いましょう」


「そうですね」


執務室に移動し、カイトパパが誓約書を読む。


婚約誓約書

第1条【目的の明確化】

本婚約は、サージェント伯爵家とラゼボ王国の円滑な外交関係を構築することを主な目的とし、双方の自由な意思と利益を尊重する、政略的な側面を持つ契約とする。


第2条【婚約解消の権限】

婚約期間中、フローラ=サージェントは、一切の不利益を被ることなく、いつでも婚約を解消する権利を有する。


第3条【居住地】

婚約期間中、フローラの主たる居住地はサージェント伯爵家とする。ラゼボ王国への移動は、フローラの自由な意思と同意がある場合に限り許される。


第4条【学習と自由】

フローラの意思に反する、社交界への強制的な参加、または教育指導は一切行わない。婚約期間中、フローラの自由な活動を保証する。


第5条【物理的・精神的危害の禁止】

ジークベルト=アーチャーは、フローラに対し、いかなる物理的および精神的な危害を加えないことを誓う。


第6条【秘密保持義務】

ジークベルトは、フローラの個人的な能力、私的な行動、およびサージェント家内部で共有される機密情報を、第三者(王族を含む)に決して口外しない。


第7条【連絡義務】

ジークベルトは、フローラの安全に関わるいかなる事態が発生した場合でも、即座にサージェント家当主カイト伯爵に連絡しなければならない。


第8条【保護者の監視権】

伯爵は、婚約期間中、フローラの安全を確認するため、理由の如何を問わず、ラゼボ王国内への訪問、およびジークベルトとの面会をいつでも要求できる権利を有する。


第9条【違反時の罰則】

ジークベルトが第5条および第6条に違反した場合、婚約は即時解消され、アーチャー公爵家はサージェント家に巨額の違約金を支払うものとする。


こ、この誓約書…ジークベルト様にメリットなくない?!デメリットしかなくない?!


『公爵の若造にとって不利な条件だな…』


ですよね?!そうですよね?!どうするの、ジークベルト様!!


「その条件、このジークベルト=アーチャー。お受けいたします」


「……ではここに署名を」


上記の条項を証拠とする。

署名: フローラ=サージェント

署名: ジークベルト=アーチャー

立会人: カイト=サージェント


か、書いちゃった。書いちゃったよ!この不利な条件の誓約書にジークベルト様が名前を!!


心の中で驚いているのが顔に出ていたのか、そんな私を見かねたジークベルト様が微笑んで言う。


「…フローラ嬢が私の婚約者となるのです。この条件を飲むことくらい容易いこと」


この人に欠点は無いのか?!身長高くて顔面偏差値高くて頭脳明晰で二属性持ちで声も低くて色気もあるとか、スパダリの擬人化だ(?)


『主よ、すぱだりとは何だ…?』


スーパーダーリンの略語で容姿、知性、経済力といったハイスペックな能力を持ち、さらに家事や育児に協力的で、思いやりのある完璧な男性のことだよ!!


『なるほどな。確かに公爵の若造はすぱだりに当てはまるな』


でしょ?!ジークベルト様はスパダリの擬人化(?)だって!!


「カイト伯爵、フローラ嬢と共に湖に出掛けてきてもよろしいでしょうか?」


「……アーチャー公爵が一緒なら良いでしょう」


娘バカなカイトパパがお出かけを許してくれた!ありがとう、ジークベルト様!


そして湖に着くとジークベルト様が話しかけてきた


「フローラ嬢、これで私たちは正式に婚約者となれた。改めてよろしく頼むよ」


「…こちらこそよろしくお願いいたしますわ、ジークベルト様」


私はフローラの淑女教育の賜物である完璧なカーテシーをジークベルト様に披露した。


「婚約者になったフローラ嬢に俺の魔法を見せたいと思うのだが、良いだろうか?」


「えっ?!ジークベルト様の魔法が見れるんですか?!見たいです!!」


「フローラ嬢は可愛らしいな。その期待に応えて水と光属性の混合魔法を見せよう」


ジークベルト様、太っ腹!楽しみ!!


『楽しそうだな、主よ』


そりゃあそうでしょ?!ジークベルト様が魔法を見せてくれるんだよ?自分以外の魔法見るの楽しみに決まってるじゃん!


『我の魔法も見たではないか!感想はないのか?!』


えー…だってレヴィの魔法は完全に敵意のある魔法だったじゃん…水球(ウォーターボール)とかいきなり打ってきたし


『我の眠りを妨げたのだ。お主に攻撃するのは当然のことよ』


…レヴィの暗黒(カオス)波動(ストリーム)は大したことなかったn


『我のあの攻撃は並大抵の防御魔法では防ぎ切れないのだぞ?!何が大したことなかった、だ!お主がいかに規格外ということを身をもって知れ!』


「フローラ嬢、従魔と何をしているんだ?」


「え!?えっと…契約を交わした従魔と念話できるので念話をしておりました…」


「今回は誤魔化したりしないのだな」


「まぁ、ジークベルト様は私の婚約者ですから...(チート能力がバレない程度なら言っても良いかって思ったし)」


「そうか。そう言ってもらえて嬉しいな」


ヴァッ…ふにゃって微笑んだよ、この人。破壊力ありすぎ…


「ジークベルト様の魔法を見せていただいても?」


「もちろん。では、いくよ。…光よ、水よ、絶対零度の雷と化せ、絶対零度(コールド)雷光(サンダー)!」


ジークベルト様のその魔法は湖の近くにある大きな岩向かって放たれ、雷のあの大きい音が湖を震わせた。


水と光の魔力が融合した青白いプラズマが大きい岩に直撃。岩は爆音もなく一瞬で完全な氷の塊となり、その内部に光の雷が走っているという、美しくも恐ろしい現象だった


「っ!、びっくりした…」


「フローラ嬢、どうだったかな?」


「凄い魔法ですね!ジークベルト様の魔法は詠唱して発動させるのですね」


「あぁ…これでも短い詠唱だけどね。本来なら長く唱える必要があるんだ。…俺の魔法はってことは他にも魔法を見たことがあるのか?」


「私の従魔の魔法を見たことはありますわ!水球(ウォーターボール)とか」


「ふむ…なら、婚約者となった今ここでフローラ嬢の魔法を見せてくれないか?」


「え?!わ、私は無属性で魔力もスキルもない能力無しですよ?!」


「俺の魔法を見てあまり動じなかっただろ?それに従魔と念話するには魔力がなければ出来ないはずだ。……聡明なフローラ嬢なら俺の言いたいことが分かるよな?」


だ、大ピンチ再来かもしれない...!!


次回!フローラ、ジークベルト様に魔法を見せる?!


どうしよう?!どうしよう、レヴィ!!


『こんな機会だ。この若造に主のちーととやらの魔法を見せれば良いではないか』


他人事だと思って!!この人でなし!


『我は人ではなく、伝説の魔物だ』

第11話までお読みいただきありがとうございます!

無事に婚約の誓約が成立しましたね!カイトパパが用意した「フローラの意思に反したら即破棄」という最強の防御条項によって、優月は法的な平穏という最大の盾を手に入れました。

そして、ジークベルト公爵の【絶対零度(コールド)雷光(サンダー)】の美しい破壊力!詠唱が必要なのは残念ですが、あの魔力ロスゼロの精密さは、まさに「チートの教科書」でしたね!優月の鑑定データもさぞ潤ったことでしょう(笑)。

ですが、契約成立と引き換えに、優月は最大の危機に直面しています。

「次はフローラ嬢の魔法を見せてくれないか?」

無能と偽っている優月が、ジークベルト公爵の論理的な問い詰めにどう答えるのか?チートを披露するのか、それとも嘘がバレてしまうのか――。

次回、【第12話:無言の証明と、チート級魔法のお披露目(仮)】で、優月の運命が決まります!どうぞご期待ください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ