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序章完結!究極の選択と、闇の王子VS光の公爵

こんばんは!

長きに渡った婚約騒動、ついに決着の時が来ました!

今回の第10話は、優月にとっての「平穏」がかかった究極の選択の回です。

馬鹿王子・セドリック殿下の情熱的なアピールと、隣国の知性派公爵・ジークベルト様の大人な誘い。優月はどちらを選び、自らの「平穏への道」を切り開こうとするのでしょうか?

そして、優月の選択が、王族と公爵の関係にどう火花を散らすのか……序章クライマックス、どうぞお楽しみください!

拝啓 お父さん、お母さん。

優月です。…二度と参加しないと思っていた馬と鹿の王子のお茶会にまた呼ばれました。しかも今回は隣国の公爵も一緒です。二人の間の空気が重い!この場から早く逃げ出したい!!


『そんなに嫌がる理由が分からんな』


レヴィは何も知らないからそんなこと言えるんだよ??馬と鹿の王子は婚約者になってくれって舞踏会の公の場で言ってしまう非常識っぷりのと、それに続けて自分とも婚約をしてくれって言ってきた公爵だよ?!嫌に決まってるじゃん!!


『この国の第一王子なるものが...うつけだな。公爵の若造も第一王子と変わらんではないか』


「フローラ嬢、久しぶりに会えて嬉しいよ」


グワッ…王子スマイル、やめて

この王子とは前のお茶会から会ってなかったもんね。1ヶ月ぶりかな


「そんな風に言っていただけるなんて…光栄ですわ、セドリック殿下」


臆せず淑女スマイルを返した私、褒めて


「ところで、君の横にいる魔物は伯爵から話に聞いていたピクシードラゴンかい?」


カイトパパ?!この馬と鹿の王子にレヴィのこと話したの?!嘘だと言って!!


『まぁ、そう焦るな主』


だって、レヴィのこと話したってことは国王陛下にも伝わってるかもしれないってことじゃん!


『遅かれ早かれ、伝わっているだろう。この馬鹿王子に我から契約したと言え』


「そ、そうなのですわ…父から聞いたと思いますが、このピクシードラゴンから契約してくれたのです…」


「そう聞いてるよ。フローラ嬢は魔物にも好かれる体質かもしれないと君の父君がおっしゃっていたんだ」


「サコヴィナ王国に限らず、ピクシードラゴンと従魔契約した者はこの世界でフローラ嬢が初めてらしいですよ」


えっ?!ジークベルト様、そうなの?!


『正すと、シャドウ・リヴァイアサンである我と従魔契約した者はお主が初めてだからな』


マジで?!うっそだぁ…レヴィよりも高い魔力を持つ人くらい居たんじゃ…


『1000年以上生きてきた我でも、見たことがない。我の鑑定は公爵の若造でも見れたと言うのにお主だけは見えなかったのだからな』


えぇ…レヴィが1000年以上生きてるって初耳すぎてどう反応したらいいのか、分からなくなってきた


「それで、だ。ようやく父上がフローラ嬢との婚約を認めてくれてね。あとは君が承諾してくれれば私たちは晴れて婚約者となれる」


嫌です!王族と婚約したくないです!!

第一王子と婚約→からの婚約破棄される流れになるって!!お約束じゃん!

私に断る選択肢をください。それか他の選択を…


「セドリック殿下お言葉ですが、貴方との婚約の話もそうですが私とフローラ嬢の婚約も国王陛下から認めていただいたのですよ?それを忘れないでもらいたい」


ふぁっ?!ジークベルト様、王子相手に何喧嘩吹っ掛けてるの?!度胸ありすぎない?ジークベルト様は鋼のメンタルの持ち主なの?!


『主よ、どうするのだ。どちらかを選ばなければサコヴィナ王国とラゼボ王国で争いが起こるかもしれんぞ』


きゅ、究極の選択やないかい!!私に平穏な未来がかかってるってか?!そんなの無理だよ!


「フローラ嬢、私を選べば王宮で今よりももっと贅沢な暮らしが出来るぞ?」


「王宮に限らずとも公爵夫人になれば贅沢な暮らしが出来るし、隣国ラゼボ王国はサコヴィナ王国には無い海がいつでも見れるという魅力があります。いかがでしょう、フローラ嬢」


正直、どっちとも選びたくない…。贅沢な暮らしには興味ないし、今ある暮らしが楽しいんだもん。イケメン双子である(シスコン)のアシェルお兄さんとレーヴィお兄さん、娘バカだけどシゴデキなカイトパパ、私の味方で居てくれる優しいアリアママ…フローラの家族と離れたくないよ…


『お主は今の家族が大好きなのだな...しかしどちらかを選べ。我のおすすめは公爵の若造だな。海はいいぞ』


レヴィはなんで海を推すの?


『海にはお主が好きそうな魔物がたくさんいるからな』


海の魔物?!例えば何がいるの?


雷帝(サンダー)(ホエール)だの、幽光(ゴースト)水母(ジェリー)と言った強い魔物がいるぞ』


雷帝(サンダー)(ホエール)?!ってことは、クジラ?大きいの?


『そうだな。例えるなら小さな島が海面を移動しているように見えるくらいの大きさだ』


ひぇ…確実に大きいじゃないですか…

会いたくないけど、会ってみたい!!


『会いたくないのか会いたいのかどちらか分からんな』


私はレヴィとの念話で好奇心が高まり勢い良く椅子から立ち


「私、ジークベルト様との婚約をお受けいたしますわ!」


「フローラ嬢の気持ちは嬉しいが、どうして私側を選んだのか聞いてもよろしいですか?」


「それはもちろん、海を見たいからですわ!」


「………それだけ、ですか?」


「それだけです!!」


「…くくっ、フローラ嬢には敵いませんね」


「?(何が敵わないんだろ…?)」


「……フローラ嬢、ジークベルト殿を選ぶのか…?」


「セドリック殿下とジークベルト様、どちらかを選ばなければならないなら、私はジークベルト様を選びますわ」


だってその方が海に行けるかもしれないし!海の魔物と出来れば戦いたい!


「………そう、か…。フローラ嬢がそう決めたなら私はその意見を尊重しよう」


「ではフローラ嬢、婚約の誓約書など詳しいことは日を改めて決めることにしましょう。日程が決まったらサージェント家に手紙を送りますね」


『この若造は常識が備わっているようだな』


レヴィ、しっ!馬と鹿の王子と比べないの!


『主も賢明な判断をしたな』


いや、レヴィから海の魔物の話を聞いたからジークベルト様を選んだだけで…この人に対して一切恋愛感情はないよ?


『公爵の若造は少なくともお主に恋愛感情があるように見えるがな』


ないない!前に興味深い人だって言ってたし、そこに恋愛感情は無いでしょ


『………これは若造が苦労するな』


レヴィ、何を言ってるの??


「フローラ嬢、父上にもジークベルト殿を選んだと伝えておくよ。……君を手放すつもりなんてないがな」


「セドリック殿下、最後に何か言いました?」


「いや、何でもないよ。ジークベルト殿に送ってもらうと良い」


「え、でも…」


「フローラ嬢、家まで送りますよ。お手をどうぞ」


ひぇ…公爵がイケメンだから似合うよね。様になってる…!

私はジークベルト様の手に自分の手を重ねる


「ありがとうございます、ジークベルト様」


「正式に私が貴女の婚約者になった際には、平穏な日々をお約束しましょう」


かっ、かっこいい…!眩しいその微笑み!!

不意を突かれた…一瞬ドキッてしちゃった…


『先が思いやられるな…』


ジークベルト様にサージェント家まで送ってもらいましたわ。……平和に終われば良いんだけどね?また家族会議になった途端、カイトパパが私の肩に両手を置いて非常に焦りながら


「フローラ!!隣国、ラゼボ王国のアーチャー公爵と婚約するのは本当か?!」


「え、えぇ。ジークベルト様と婚約することに決めましたわ、お父様」


「嘘だと言ってくれ…!こんなに可愛い娘をどこの馬の骨かも分からん野郎に嫁に出すなんて考えたくもない!!」


「お父様、落ち着いてくださいませ」


「落ち着けるわけないだろう?!アシェルとレーヴィもあの通りだ!」


カイトパパにそう言われて目線を双子に向ける

あ~……お兄さん方はお兄さん方で落ち込んでるよ…。この世の終わりだみたいな落ち込み方だわ…


『お主の兄たちは相変わらずのしすこんだな』


レヴィも呆れてるじゃん...


『呆れもするわ。……どう切り抜けるのだ主よ』


「お父様、それにアシェルお兄様にレーヴィお兄様。私はジークベルト様のことをお慕いしておりませんわ。この国の第一王子と婚約を結ぶよりかはジークベルト様の方が良いと思っただけですから」


「………確かに、そう言われるとそうだな。フローラをあの馬鹿王子の嫁にやるよりかはいいか」


「「……それもそうか」」


3人とも納得したわ。ホントにジークベルト様に対しては恋愛感情ないからなぁ…


「後日、ジークベルト様から誓約書とか詳しいことが書いたお手紙が届きますので」


「……フローラ、誓約書を書く際には私の前で書いてもらうことをアーチャー公爵に伝えておくからね」


「分かりましたわ…」


カイトパパの笑顔が怖い!!


『娘を持つ父親とは、こうなるのだな…』


次回!誓約書を書いた後に、ジークベルト様の魔法を見せてもらう!


ジークベルト様の魔法ってどうなの、レヴィ


『お主に比べれば大したことはないが、人間離れしている』


あの防御魔法もすごかったもんな~


『我の攻撃は防ぎ切れなかったがな!』


ジークベルト様の魔法、楽しみ~!


『我の言葉を無視するでない!』


第10話までお読みいただきありがとうございます!

この10話で、優月は『無能の証明』と『婚約者の選択』という、平穏に過ごしたい優月が避けて通れなかった最初の試練を終えました。そのため、ここを『序章完結』とさせていただきます!

優月、お疲れ様でした!究極の選択の末、ジークベルト様という最も理性的で、最もリスクの低い隣国公爵を選んだ判断は、25歳の賢明さが光る戦略的大勝利でしたね!

しかし、平穏への道は遠く……。

選ばれなかったセドリック殿下の「君を手放すつもりなんてないがな」という闇の執着、そしてカイトパパの規格外の溺愛による「誓約書の面前署名」という新たな試練が待っています!

次回、第11話では、カイトパパによる誓約書の条件、優月が結ぶ「愛よりも契約」という特殊な婚約の形が描かれます。ジークベルト様との駆け引きもさらにヒートアップしますよ!

引き続き、優月の幸せを祈りながら、第11話の更新をどうぞ楽しみにお待ちください!

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