クラス召喚と潰えた俺TUEEE展開
初投稿になります…暖かい目で…
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はっとして気が付いた頃には、真っ白な床と雲一つない空の広がる謎でしかない場所に、望川高校の3-3である生徒が集まっていた。
生徒達は反応の差はあれど、この状況を理解していないのは共通していた。
そしてそれは、鋼月成瀬も同じだった。
いったいこれはどういう状況なのか、あれか?やっぱり定番のあれか?あれなのか?
そんな思考を遮るように一閃と共にいかにも女神のような人物が、やつれた姿をみせながらも長い金髪とトガをなびかせ、光輪と浮いていた。
疲労感のある表情でも女神らしい整った顔立ちが伺えた。
おぉ…なんというか、如何にもって感じだ。やつれてるけど。
「3年3組の皆さん」
元から注目を集めていた声の主へ全員の視線がしっかりと向く、そしてざわめきが無くなった。
流石に全員が喋らないのはおかしいと成瀬は感じた、このクラス始まって以来の静寂かも知れない。
そう思う程度には、普段との乖離があるのだ。
おかしくないか?この状況なら誰かしら声を上げそうなもんだと思うんだが。まあ自分は上げないけど。
やっぱり女神が何かしたのか?自分の感覚と周りの反応的には物理的に口が縫われているわけでもないし。たぶん意識に直接何かされてるやつだこれ。
上位存在に何をされているか考えても無駄だと思いやめた。
「あなた方は現在、異世界に召喚されようとしています。これからは異世界に召喚され、魔王という人類の敵の討伐に当たることになります。すごい概説になりますがこの話に関しては現地の人間から聞きますから安心してください。この状況じゃ、しろと言っても無理かもしれませんが…」
女神が雑な説明を素早く終了させたところで面倒くさそうに次の話へと移った。
「まず魔王討伐に必要な力についてです。地球の人類はまぁ…なんというか元からの強いので、現地では相当に力を出せます。それからもう一つ、神からあなた方の要望に合わせて、恩典というものを個人ずつ授与しますので」
大事なことを随分と曖昧に言われた気がする。
恩典?筋力、学力とか?異世界だから魔法関連もあるか?
魔法…魔法か…ロマンだな…
警戒心より好奇心が勝ってしまっている自分がいるが、魔法があるかもしれないんだから仕方ない。
魔王相手に命を懸けることになるのにこんなことを考えるのは、流石に脳みそがファンタジーに焼かれ過ぎな気が…?
「あと2つ解説したいと思います。まずは適性です。まあ、見てもらった方が早いのではないでしょうか。ステータスオープンと念じてみるとわかります。今は私の力があるのでステータスが確認できますが、召喚先では基本、技術がある者しか確認できないので注意してください」
王道、とシンプルながらに思った。
「あ、これだと2つじゃなくて3つになるかぁ…はぁ…」
ぼやきが女神から微かに聞こえた。
だが成瀬はそこまで気にしていなかった、というよりお馴染みの展開に夢中でほぼ聞こえていなかった。
そしてステータスオープンと唱える。状況が状況なのだが実際にでてこられるとなんだかんだ驚いた。
本当に出てきた…
そこには空想上では馴染み深かった例のパネル状のものが浮いていた、主には適性についての文字が主体で補足などをされながらいろいろと書いてあった、どうやらスキルもあるらしい。
あと流石に数値化は難しいのかそのあたりのものは見当たらなかった。
「開けたようですね、では解説していきます。ステータスは自分の図鑑だと思っていてください、現地人と同じです。次は適性についてですが、その前にスキルについての解説をしますね、自分が使える技だと理解してもらえれば問題ありません、いろいろと利用できる便利なものです」
そう言った女神は解説を続け、適性についての説明を行っていった。
◇ ◇ ◇
どうやら適性は才能と似たものらしい。適性に関連することが上手いこと出来るようになったり、スキルの習得、成長が早くなる。これは成長速度が早いことを除けば、現地人と一緒。
ただ例外として異世界から召喚された人物の中に、今回の場合は自分のクラスね、一部には適性がなく神聖職と言うものが代わりに付く人物がいるらしい。
それが魔王討伐の代名詞、勇者や聖女になるそう。
神聖職以外は、才能を可視化してちょっとおまけもらっただけの感じか、いやまあ充分なメリットなんだけど。
ただ神聖職がすごい癖がありそうなんだよな…
話を聞いてる感じ、完全にユニークで世界に一つ。
あと、自分の職に関係のない他のスキルは一切取得が不可能で、その職だけの強力な特権と、制約がある、といった感じ。これが魔王討伐の鍵になるとか女神は言ってた。
はやい話、ちょー特化型だ。他の分野ではクソ雑魚なんだ。それでもある程度は被召喚者として補正は効いてそう…か?
たぶん。
「少し手間取ってしまいましたが2つ目の説明に入りますね。少しだけ話したのですが神から要望に沿った能力を授与する、と言ったことについてですねこれに関しては個人ごとに聞く必要があるので隣にいる天使から説明を受け、相談を行ってください」
隣?
「短い間ですがよろしくお願いしますね!」
居るとは思ってなくてちょっとびっくりした。
そこには自分より少し小さい、翼を畳んだ少女がいた。白い翼は片翼あたり腕一本程度で、広げるとかなりの大きさになるだろう。頭上には女神のものと似た、少し小さい光輪があった。
外ハネになったミディアムヘアからは活発な雰囲気を感じさせるが、美しい銀髪であることからはチグハグな神秘さを感じた。
「あとは皆さんの前にいる天使に質問等を行って能力を決めてください。私は次の用事がありますのでこの場から退出させていただきます」
そう言った女神は既に視界におらず次の用事へ向かったようだった。
「ディア様も居なくなったことですし、話に入っていいですかね?」
「ディア様?」
「あれ?もしかして聞いてませんでした?ディア様とは!スーパーかわいい、この世で一番つよつよなお方です!今は連日の激務でしなしなになってますけどね……」
どやっとした顔面が少し萎れたが、立て直して語りかけてきた。
「補足しておくと、『ディア様』というのは愛称で、本当はディアセラ・ノクシリア様です!星々の系譜に連なる方?らしいんですけど、詳しいことはよく分かりません。私が無知な訳では無いですよ?たぶん、私と同い年の子たちも知らないと思いますから」
ひとしきり言い終え、元気そうな様子の天使は、話題が逸れていることに気付き、切り替えて真剣な目つきで話し始めた。
「っと、話がずれちゃいましたね。実は時間があまり無いんですよ…このままじゃ時間に間に合わずに変な能力貰っちゃう羽目になるので、ちゃちゃっと決めちゃいましょう!」
「あれ?どうかしました?さっきの説明で分からないところでもありましたか?」
遂に来てしまった、現実を見るときが…
俺は、錬金術師になったようだ。
これは、 生産職だよねぇ…
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一話目とはいえ解説ばかりの平坦な話で自分でもちょっと…と思っている。評価はまだいいので次話だけでも読んでね!