表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第3章 クレソンとカルミアともう一人
88/150

2話 彼らが相見る

 一方、箱が沢山置かれた部屋からようやく出られた『ソレ』もまた長い空間、廊下であろう場所に出た。丁度出た所で突如揺れが起き、廊下が傾いた為に立てなくなり転倒してしまった。

 『ソレ』は未だに状況が掴めず辺りを見渡していた。すると廊下の奥、そこで何かが動くのが見えた。動いた何かが気になった『ソレ』は、目を凝らしつつ動いたものに近づいた。

 近づいて分かった、動いたそれは液体だ。そしてその液体らしきものは動き、盛り上がると球体に羽に様なものが付いた生き物とは呼べない、不思議な物体が形を成した。

 中央には目らしき大きな模様があり、それが『ソレ』を睨むように動いた。その動きにどう対応すれば分からず立ち往生していると足がもつれ、再び転倒してしまった。

 膝を付いた『ソレ』に向かって不定形の物体は動き出し、明らかに接近して何かをする気だ。しかし、相変わらずまともに動けずに『ソレ』は不定形の物体を見るだけだった。

 そんな一見すれば泥沼にも似た状況の中、更にこちらに近づいて来る気配が音と共にきた。見ればそれは二人のヒト型で、一方はもう一方よりも速くこちらに近づいて来る。そして一番速いヒト型がこちらに向かって跳び上がった。


「センテ、ヒッショー!ソコ動くなー!」


 跳んでそのまま不定形の物体に向かい、その大きな手に指先から伸びた爪で物体を引き裂いた。何が起こったのか頭に入るのに時間が掛かった『ソレ』は跳んできた獣人を見た。


「フゥ!思ったよりカンタンに倒せたなぁ…あっ、ヨッス!アタシ、カルミアだよ!」


 見られてい事に気付いた獣人は自己紹介をし、よろしくと言いながら膝を付いていた『ソレ』に近付く。『ソレ』は先程のの事もあり少し後退あとずさりをした。

 その直後に、獣人の声とは別の声が獣人の後ろから聞こえて来た。


「カルミアも動くなよ?」


 声の主が言うと、同時に大きな破裂音がした。破裂音がした先、『ソレ』の背後に先程バラバラにしたものと同じ形容した物体がおり、それに大きな穴が開いて崩れた。

 先程の破裂音は、もう一つの声の主である人物の手に持った『物』から発せられたのが分かる。その物は不可思議な形状をしており、硬い鉄の塊が直角に曲がり、先の方には穴が開いていてその穴から細い煙が立っていた。俗に言われるそれは『銃』というヒトの武器だと思われる。

 引き裂かれバラバラになった不定形の物体は暫くの間バラバラになった状態で残り、時間が立つと蒸発するの様にしてその場で消えた。


「うわぁ…まださっきのいたんだ。クレソン、よくやったゼ!」

「はっはっはっ!もっと褒めろ!…さて?」


 二人が盛り上がった後に、襲われる直前だったであろう『ソレ』に二人は目を向けた。

 『ソレ』はカルミアと呼ばれた獣人よりも小柄だ。手足も細くそんな華奢な身体を覆う服は涅色くりいろの布一枚とかなり質素だ。しかしそんな服装とは反対に髪の色は桜色で一番目を引き、目の色も青紫と金糸雀かなりあ色の混じった不思議な色をしていた。

 二人は前から後ろ、横と『ソレ』をよく見た後に『ソレ』の正面へと戻りしゃがみ込んだ。


「キミ、どっから来たのかな?ってかマイゴかな?」

「十中八九迷子だろうけど、大事な事が一つある。」


 先程よりも固くなった表情に鋭い目つき、低い声でクレソンはカルミアに話し掛けた。


「…なに?」

「あのな、カルミア。…ここは関係者以外の一般人は入れない。」


 カルミアの表情が頭か強い衝撃を喰らった様な険しい表情になり、クレソンへと詰め寄った。


「えっえっ!?つまり、この子ってアレ!?…ミッコク者って事!?」

「うん、正確には密航者な。でも、それにしたって装備が無いよなぁ。」


 カルミアも言われて改めて『ソレ』をもう一度見た。確かに忍び込む為にはあまり物を持たず、身軽であるのが最適だが、それにしても物を持たな過ぎる。


「でもどうする?この子。ってか、シノび込んだヒトって、見つかったらどうなるの?」

「そりゃあ、捕らえられて、元居た場所に強制的に帰されるか、もしくは、牢屋行き。」


 牢屋行きと聞いたヒトも言った本人も、何故か再び衝撃を受けた表情になったり非常に落ち込んだ様子を見せたり、落ち着きの無い態度でいたが、少しして二人一緒に『ソレ』へと向き直り、『ソレ』の手を二人一緒に握った。


「大丈夫だ!俺らが君を安全な場所に送り届ける!」

「ナニがあったかは聞かないよ!でも、あたしたちはキミの味方だからね!」


 一体あの間に何を想像したかは定かではないが、二人は『ソレ』を捕らえたりする気は無いらしい。

 そうして、二人は『ソレ』を連れた状態で廊下奥の倉庫へと向かう事にした様だ。


「そういやなんでソウコに行くんだっけ?」

「…そういや、なんでだっけ?」


 向かって到着した後に目的を思い出した二人は、特に意味も無く力一杯に扉を開けた。


「オラー出てこいやー!」

「出て来られるもんなら来いやぁ!」


 大声で騒ぎながら倉庫内を物色、箱が多いだの、部屋の中が薄暗いだのわめきつつ奥へと進んだ。そして奥の壁際に扉があるのを発見した。


「ハイっ見っけ!それではヒラけ―!」


 意味も無く声を上げながら扉を開けた先、そこには何も無かった。

 あるにはあるが、横向けに倒れた大きな空箱に、少しひしゃげた小さな細い格子の籠と、見えるのはどれもヒトがガラクタと呼ぶものばかりが転がっているだけの殺風景な部屋の光景が広がっていた。


「エっこの中から隊長の言ってた『ブツ』見つけろって!?」

「これ、難易度高いぞ隊長!」


 隊長の言っていた『見れば一発で判るブツ』と言っていた目的のものが見つけられずに荒れる二人。しかし、そんな二人に待ったを掛ける様に廊下から大きな音が鳴る。


「なんだ?…まさか、さっきの変な生き物でも出たか?」

「んーどうだろ。ちょっくら見てくるー。」


 言ってから先程から探索していた小部屋を出て、廊下へと出る扉を開けたカルミア。廊下を見ると、そこには先ほど見たのと同じ不定形の物体がいた。それも何体も。

 それを見たカルミアは、開ける前と同じ表情のままゆっくりと扉を閉めてからクレソンの方へと振り返る。


「クレソーン!ロウカにさっきの粘体生物スライムがいっぱいいたー。」


 カルミアの様子を離れて見ていたクレソンも、遠目だが廊下の外も、見えていた為カルミアに同意した。


「うん、俺にも少しだけ見えたなぁ。まさか言った事が現実化するとはなぁ、はっはっはっ。」


 言ってはいるが目が笑っていない。直後に外から扉を叩く音。しかもただ叩くのでなく明らかに攻撃している様な衝撃に咄嗟に二人は扉に駆け寄り両手で扉を押さえた。押さえてもなお廊下側から力が掛かり、両手で押さえても時間の問題だった。


「なっななナニ、アイツらー!なんであんなにたくさんいるのー!?」

「ぐっ!…やばいな、あんなに数いたらさばけるか判んないぞ!?」


 さすがにこの緊迫した状況では、さっきの様な奇妙なやり取りを行えず、この状況へと対抗策を考えざる負えない。


「ってか、隊長の言ってたのケッキョク見つかんなかったどうしよう!隊長にお前らはお使いできないダメな大人だって言われちゃうー!」

「もうあれだ!適当に物色して『お求めの物です』って言って渡すしかない!金目の者渡せば隊長も許すと思うぞ!」


 そんな事は無かった。何やら言い訳を考えている余裕はある様でそうではない、変な会話をしていた。特に意味を成さない会話を続けた後、二人は限界を迎えるであろう扉に目を配せ、その後にお互いに目配せをして頷いた。

 直後に扉を開けた。瞬間『ソレ』の脇から互いに腕を通して『ソレ』を持ち上げて走り出した。


「強行突破だー!」


 最早作戦も何も無い状態のまま、二人は走って不定形の物体が群れを成す中に向かって行く。当然不定形の物体は襲い掛かって来るが、カルミアが空いた手の爪を伸ばし攻撃。次々に引き裂いていく。

 反対のクレソンも先ほど使ったのと同じ銃という道具で反対側の不定形の物体を撃ち倒す。そうして互いが互いを補い、廊下に溢れる不定形の物体らを倒して廊下を進んだ。


「このまま隊長の所まで行くぞ!多分隊長、もう合流場所にいるだろう!」

「じゃあ行くしかないね!何て部屋だっけー!」

「忘れた!走ってれば思い出すだろ!」


 無計画で戦いながら目的の場所がどこにあるか分からないまま突き進む二人に不安を感じる。しかし何故か二人がここであの不定形の物体に倒される想像が出来ない。

 とても危うく、今も間違えば攻撃があたっていたところだった。だがそれをかわす前から既にその攻撃は中らないという確信があった。

 何故確信があったのかは分からない。それを知る権利がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ