54/150
物語3
強い故に故郷を追われ、行く当ても無く彷徨うカナオニは、遠い深い森の地へと行き着いた。
他にヒトもいないその場所で、一人で佇んでいると、そこに一人のヒトがやってきた。
目に入るのは、結い上げられた赤毛の髪。そして、その髪を持つそのヒトの涙だった。
互いにヒトがいると思わなかった為に、驚き動く事も喋る事も出来ず、二人はただ黙って立つだけだった。
気まずい雰囲気ではあったが、やっとの思いで自分の名を名乗り、互いに自分の事を口にした二人。
そして二人は、ただそこから見える茜色に染まった空を眺めたのだった。




