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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第1章 アサガオとシュロ
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31話 木の上で見つかる

 異様な木は姿を消したが、異質な雰囲気は変わらない。むしろ、奥からその気配が強く感じられた。もちろん奥へと進む事は当然だが、さっきから異様な気配と共に、ソレとは別の気配も感じる。それもオレがよく知るものだ。

 今まで気づかなかったが、さっきまでここへと進む道を妨げていた結界と同じものが妖精の目で奥から感じ取れたのだからな。


「セティー、奥にいる?」


 オレの発した台詞にカナイとクロッカスは目を見開き同時にこちらに素早く振り返った。見られたオレは思わず怖っと声を出してしまった。


「…結界の感じからして、いやな予感はしたが!」

「急いで行くぞ!」


 何かを察したカナイとクロッカスは、オレを置き去りにでもするかの様に奥へと走り出した。二人の様子の変わり様に意表を突かれたが、気づき直ぐ後に続いた。アサガオも負けじとオレの後ろを走った。

 一体カナイとクロッカスが何をそんなに焦っているのか、今のオレにはまったく理由が頭に浮かばないが、セヴァティアがこの奥にいるという状況に、何かしら土地守らにとっても深刻な事が起きているのだろう。

 しかし、結界を張ったであろう本人がまさか結界の内側にいるとは思わなかった。結界を張ってからどこへ行ったのか、わからないがどうせ無事だろうと思っていたが、一体結界の中で何をしているのか。それも本人に直接聞くしかない。


 そうして奥に進むと開けた場所に出た。なのに暗い。確かココは木の密集地と岩壁の間にある、日の当たる広場だったはずだ。その中央に瞑想の場である台座があるはず。

 暗さが気になり上を見上げると、何かが火の光を妨げていた。ソレは長く伸び、高い位置で横へと広がり網目状の天井にでもなっている様だ。よく目を凝らして見ると、さっき見た異様な木と同じ質感の木の枝だった。よく見ると枝は生きているかの様に微かにくねらせている。アレは触りたくない気がする。

 だが、それよりも気になるのはオレよりも早くここに着いたカナイとクロッカスの見ている先だ。何かデカいものが視線の先にある。だが、オレはソレが何かをさっき遭遇にした木を見てから予想出来ていた。それでもその姿に少しばかり驚愕した。

 さっき相手した動く木は、考えてみれば木と言うには土が付き、日に当たった青々しさが感じられなかった。元から日に当たらなかっただけかもしれないが、何よりもあの枝に見えたのも違和感があった。

 つまり、さっき見たものは木ではなく、今カナイとクロッカスが見ている本体の根だったのだ。

 その根の本体というのが今対たいしている巨大な黒い木だ。あの禍々しい天井の代わりと成っている木の枝よりも高く、太い幹は生き物の胴体を思わせた。

 そしてこの木を異様な物に魅せているのは枝や幹だけではない。空を隠している伸びた枝には葉一枚を生えていないのに、本体から伸びた枝からは葉が覆い茂っていた。だが、その葉っぱも他では見ないものだ。幹や枝の黒々とした色彩なのにも関わらず、その葉っぱは金色輝いていた。だからか、どこか美しい葉と禍々しい本体の雰囲気や見た目が相反していて、より一層異質に見えた。


「こいつ…やはり出てきていたか。」


 黒い木を見て、カナイは思わず口にしたのか、オレの存在に気付くと驚いた様子をして咄嗟に口を塞いく様に口を噛みしめた。あの木の事と言い、以前聞きそびれた件と言い、やはりカナイは何かを知っていて、敢て黙っていたという事だ。

 何があったのか、一体アレが何なのか、聞きたい事は多い。だが、そういう場合ではなくなった。先ほどから他の木と同様ただ突っ立っているだけだった黒い木が、突如今まで襲ってきた根の同じにくねらせ、動き出した。

 当然ながら標的は今この場にいるあの木以外の存在であるオレらだ。木であるハズが、何か獰猛な動物にでも睨まれた気分になった。

 すぐさま戦闘態勢をとるのだが、一緒にいたアサガオが何かを見つけたのか、オレの服の裾を引っ張り、何を一生懸命に指を刺している。アサガオが指した先には、あの巨大な黒い木。そして、その木の上に、木とは別の何かが乗っているのが見えた。

 カナイとクロッカスも、焦りがあってかアサガオが指して今気づいたらしく、黒い木に乗ったソレを凝視した。そして一体何が木の上にあるのかにオレや土地守達は気づき、唖然とするしかなかった。

 まず見えたのは、木の上に乗った『ソレ』から伸びる脚。そこから『ソレ』が生き物なのはわかり、木の上からはみ出て下にだらりと垂れて、動く気配は全く無い。脚の伸びる『ソレ』の方も脚同様に動く気配が無く、寝ているのか気絶しているのか、ここからでは状態は分からない。

 そして更にその乗っているものを見ると、その頭から角が生えているのが微かに見えた。その生えた二本の黒い角を見て、木に乗った生き物が誰か分かってしまった。そして信じられない気持ちになった。


「うっそだろ!?お前何してんだ!?」

「いくらなんでもそこで横になるとか、何考えてんだ君ぃ!」


 オレの今の心境を、一足先にそのまま言葉にした土地守二人は、その木の上で横になっている人物に向かって怒鳴り声を上げた。

 状況が状況なだけにちょっと場違いな気がするが、今は仕方ない。相手が今までずっと探していた人物で、それも異変の元凶であろう存在に乗ってしまっている状況は、色々と叫びたくなる。

 土地守と守仕内で尋ね人とされているセヴァティア。それが、まさかこんな形で相見える事になると、誰か予想出来たか。どこかで会えるとは思っていたが、そもそもセヴァティアは今、何をどうしてあんな所にいるのか、全く予想つかない。

 とにかく、当人はどうやら意識が無いらしく、カナイらの叫び声に全く反応を見せない。まさか襲われてやられた、とはセヴァティア相手だと想像出来ない。なんとか近づいて様子を見ようとしたが、一歩足を進めて今まで反応しなかった別の存在が反応を見せた。

 他はくねらせ、見ていて気持ち悪い木の根共が、動いて音をたてたオレに返事でも返すかの様に一斉にこちらに向き、襲い掛かって来た。根の尖った方を槍の様にし、突き刺そうと勢いよく向かってきたソレをオレはギリギリで躱せた。

 アサガオはカナイが代わりに抱えて守ってくれたらしく、オレよりも余裕をもって躱し、後ろに下がったのが視界の端に見えた。


「仕方ない。何とか『あれ』の動きを止めて、セヴァティアの奴を叩き起こすぞ!助けたりして怒られるかもだが。」


 助けて怒られるって、可笑しいだろ。しかし、セヴァティア相手じゃそうなるかもしれないか。何せ戦う事が好きで、自分が狙った獲物を横取りされると怒るヒトだ。

 今回も、目を覚まして自分が戦う分をカナイらにとられたとなったら、どういう反応になるか、想像するだけで面倒くさい。

 だが、もうそんな配慮を気にしている心配も余裕も無い。相手は巨体な動物や小鬼を操る。レンの予想は当たっているなら、力を吸い取り、更に力を強いヤツを探させ、更に力を盗ったり操るを繰り返す危険な存在だ。

 今の所セヴァティアがその餌食になった様子は見られないが、それも時間の問題だ。そもそも本当に無事なのかも疑問だ。実際二人が呼びかけても全く反応が無いから、気絶しているか、もしくは最悪の場合という事もある。考えられないが。


「あちらから動く気配は無いな。しかし、さっきの事も考えられる。」

「だねぇ。明らかにさっきのは防波堤って事なんだろう。既にあの本体だって私達が近くまで来ている事に気付いているはずだし。今近づけば確実にあっちも何かしてくるね。」


 何をしようかとこっちでは云々と二人で唸っている最中、オレは一足先に根の本体である木に近づいた。それに気付いたカナイは怒鳴って止めたが、ソレを聞かずにオレはゆっくりと近づいた。相手がこっちの存在に気付いているのなら、先手を取る方が良い。だから止まらずに動いた。

 木の方はまだ動かない、ソレは好都合だと思い少しずつ熱く速度を速め、木の姿は視界の中でどんどんと大きくなる。あの感じていた異質な気配が木そのものから放たれているも改めて分かる。

 途端に地面から気配がした。コレは根の攻撃が来ると分かった。咄嗟に地面を蹴り横に跳んだ。瞬間オレが立っていた場所から巨大な木の根が物凄い勢いで上に向かって突き出た。あのまま跳ばずに進んでいたら、根が槍の様にオレを貫いていただろう。

 最初に根と合間見えた時は、場所が悪く周りが木ばかりで動きづらい場所だったが、今は開けた場所にいるから動きやすく、こうして躱す事が出来た。最初は素早いと思っていた根の動きだったが、こうして動いてみれば案外動けるものだ。

 とにかく、躱す事が出来るなら後は本体に近づいてからだ。何をやるかはその時その瞬間に決める。今はあの木をどうにかする他無い。

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