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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第1章 アサガオとシュロ
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27話 狭い場所で険悪

 瞑想の場の奥、洞窟の奥へと続くであろう穴があり、そこから何かがこちらに近づいて来るのが音と気配でわかった。そしてその近づいて来るものが何かもオレらは知っていた。


「おっやっとお出ましの様だぞ?シュロ。」

「言わんでもわかる。」


 言いながら腰に下げていた剣を抜き、コチラに来るソイツらに向けて構えた。構えて直ぐにソイツらの姿を視認出来た。なるほど、小鬼としての姿形や特徴は森にいるヤツらと一致するが、色は黒く、消炭色をした体は森にいるヤツらよりも鍛えられゴツい印象を受けた。手も大きく爪が鋭く伸びており、何よりも目つきがカナイの言う残虐さと狡猾さを表す様、鋭く見ていて寒気の様な恐怖を感じされされる。正しくヒトを襲う事に慣れた目だ。

 レンも構えようと動いたその時、オレらが来た道の方から洞窟小鬼が現れ、道を塞ぐよう立ちはだかった。どうやらこの小鬼共は、最初からオレらをこの空間で挟み撃ちする事を狙って、入り口に見張りを立てず洞窟の中に誘い込んだ様だ。道理で簡単に洞窟に入れたワケだ。むしろ入れられたと表現するべきか。


「オイ殿、後ろ取られてんじゃねぇよ。」


 殿を務め、後方を警戒していたハズのレンに、小鬼によって後ろをとられた怒りをぶつけるが、ちゃんとしたいたとあからさまな言い訳をされ、コレは何を言ってもまた言い返されると思いそれ以上はオレも言わなかった。むしろ、騎士であり戦い慣れたレンの目から逃れ、後ろをとった小鬼共に脅威を感じるべきだろうか。

 どちらにしろヤツらの挟み撃ちに誘い込む作戦にまんまと引っ掛かりピンチになった事に変わりない。アサガオを現時点で安全圏であろうカナイのいる瞑想の場へと押し込み、前と後ろそれぞれに向かって戦いに備えた。出て来ていきなり襲い掛かって来なかったが、小鬼共は息を荒くし口の端から泡が出ているのが離れた距離からでも見えた。


「おいおい。可笑しいのは洞窟小鬼のボスだろ?見た感じ下っ端の様子もヤバいんじゃないか?」

「知らん!そもそも元々の洞窟小鬼が普段からどういった様子なのか知らねぇからな。元からあんなじゃねぇのか?」


 それは言えると納得しているのかしていないのか、分からないがこちらの答えに返事をしてすぐにレンは詠唱をし出した。


こぼれ落ちる雫、速さによって磐をも砕くその力を顕現する。」


 レンの詠唱によって生じた水の塊がレンの翳した掌の上に集まり、球体に成った瞬間細長く変化し槍の形状に留まりソレをレンは掴み、両手で円を描く様に振り回し構えた。


「洞窟の中だから小さめの武器を用意して来たが、これだけ広い場所で戦うとなったら、むしろこっちの方が良いだろう?」


 魔法で武器を生成し、態々オレの方を見て武器の使用の確認をしてくる意味は無いと思うが、一応返事をしてやり、お互いに戦う準備は万全となったところで、危機を察した洞窟小鬼共は一斉に武器を持つオレらに襲い掛かった。

 動きは確かに速い。見た目というか外見からも森の小鬼とはまったく違うのはわかっていたが、襲い掛かる形相は本気で命を奪いに来るケモノそのものだ。森でナワバリを張って威張っているアイツらがカワイく見えて来る程だ。だが、倒せない相手ではない。

 本来なら生物を殺傷するのはご法度だが、洞窟小鬼といった一定の生物は討伐対象であり、見たら確実に仕留める様お上からも言われている。

 故に跳びかかってきた一匹をオレは遠慮無く斬った。っと言っても襲ってくる小鬼全てを斬り伏せる事はしない。何匹かは蹴ったり殴ったりして気絶させたり、身を守った。自分から『危険な状態』にはしたくないし、なりたくないからな。

 レンの方も鮮やかな槍捌きで小鬼共をけ散らしていた。後ろから攻撃を仕掛けた相手には槍の柄を上げ、ソレを小鬼の腹に向けて突き出した。更に槍を再び円状に振り回し、その勢いでまとめて小鬼共を強打し、薙ぎ払い、斬り伏せた。

 粗方小鬼共を倒すと、残った小鬼が奥へと逃げようとしたが、レンは槍を小鬼に向かって投擲とうてきし、小鬼ごと貫き洞窟の岩壁に槍が突き刺さった。逃げられて仲間に告げ口をされては困るから、倒してくれて助かったが、少し血を流し過ぎたか。


「おい!もうこれ以上血でここを穢すなよ!?これ以上は私らでも浄化す切れないからな!」


カナイの怒鳴り声を聞いて、オレとレンは気の抜けた返事を同時にし、聞いたカナイは呆れつつも瞑想の場での作業を引き続き行った。


 カナイが怒鳴るのは当然と言えた。瞑想の場、特にこの洞窟の中を流れる川の水を血で穢してはいけない、というのは理由の一つで、もう一つ血を流してはいけない理由がある。

 生き物の血、特に小鬼といった攻撃性の高い種族の血は争いを呼ぶと古くから言われている。それは血を嗅ぎ付けた同族が血に引き寄せられて血を流した相手を攻撃するからだと言う。その攻撃は敵討ちと言ったものは決して無く、自分にも危害を加えるであろう敵を先んじて排除するためだと。当然血を多く流せば、その分多くの同族を呼ぶ事になる。

 そんな事を人里に近いこの洞窟で起これば、小鬼の血が他の土地にいるであろう他の小鬼共を引き寄せ、まちに危害が加えられるのは目に見えた。故に土地守として、ヒトを守る立場として小鬼を討伐する事は出来ない。本格的に討伐するとなったら、人里から遠く離れた山奥などにおびき寄せてから一気に行うとされる。騎士団や傭兵といった戦闘に特化した職業が討伐を行う。


「さて、結界の補強は出来たが、私はここを動く事が出来ない。私はここに残るから、奥に進むのはお前たちは任せた。」

「なんだ、結局オレらだけで行くのかよ。」

「仕方ないだろ。補強出来たと言っても、出来たのは穴を一時体に埋めただけ。その塞いだ穴も私が押えていないと簡単に取れてしまうものだ。だから押えておくためにここで力を維持しないと。」


 やはり他所の土地守の領地だからか、結界も張った本人でないと上手く維持し続けれないとの事だ。山に張られた結界をカナイが解けなかったのと一緒だ。だがそこは魔法の専門家であるクロッカスなら、どうにか出来るという。


「しかし、クロッカスの張った結界の力が弱まっているとは、やはり術者本人に何か魔法の弊害となる事でもされたか。あるいは…まぁそこはシュロ達が会えればわかる事か。」


 独り言を言って勝手に完結してこちらに向き直ったカナイは、改めてオレらにクロッカスに会い、事の詳細を聞く様に言い渡された。言われる前から聞こうと思ってはいたから、今更だと思いつつ返事をし、進む方向へと向いた。


「元々クロッカスに用があって来たんだから、態々言わなくても良いのによ。…レン?」


 レンに向けて言ったつもりだから、何の反応も返ってこない事に疑問を持ちレンの方を見ると、当人はさっき見た忌々しげな面持で奥を見つめていた。正確には睨みつけていたか?肩をゆすって話しかけたら、やっとキツかった表情を緩めてこっちを見て何だ?と聞いてきた。聞きたいのはこちらだが、今は見なかった事にした。


「サッサと行くぞ。そろそろ外に出て日に当たりたくなったからな。」

「なんだ、お前から話し掛けておいて…まぁ良い。それには同意だからな。」

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