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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第1章 アサガオとシュロ
24/150

24話 大きなまちで鉢合わせ

 オレは好きよりも嫌いの方が多いと思う。


 山の土地守であるセヴァティアの消息が不明。及び西の土地の周囲で数々の異変が発生。今の所は巨大生物やらが暴走を起こし暴れるというものだ。今のところは被害が広がる前になんとかオレらで対処しているが、その手段もどれだけ持つか。

 そして異変が他の土地、他の生き物や種族にも起こっていないか、現状では傾向が見られず、正直お手上げ状態だ。その調査のために、魔法を得意とする土地守の助力を得ようと、土地守のクロッカスの洞窟へ向かっている最中だった。今オレらはその目的としている洞窟を目指す道中にある川辺のまちに来ていた。


 このまちはこの西の土地の中でも北方よりの中央に位置に、更に東に進んだ先にある港や他のまちにも道が繋がっており、あらゆる地方の物資を運ぶ者たちの休憩する場所としても知られているため、物流の拠点ともされている。だから商人が多くこのまちに滞在しているため、宿屋も多く経営している。

 今はカナイがちょっとした所用で姿は見えず、カナイが戻って来るまでまちの宿屋で休憩している。他の宿屋と比べると見劣りするが、それでも宿屋は大きく、村の宿亭と比べると失礼だが馬小屋とちょっとした富豪の屋敷に思えた。

 最初オレは普段寝起きする場所との違いからか、この宿に入るのに躊躇ちゅうちょしたが、カナイの知り合いが話を通して融通をきかせておいてくれたという事で支払いは心配しなくて良いとカナイに推され入った。何時の間にそんな連絡を取ったのやら。

 カナイの知り合いってところでオレはイヤな予感が過ったが、今は洞窟に挑むために体を休ませる事が優先だ。だがこの流れはダメがする。あくまでオレの勘であり、おれにとってはだが。


 部屋の一室で使った武器の手入れをしつつ、カナイが戻って来るのを待っていると、姿を見せたカナイを見てアサガオがカナイが来たと言い、はしゃぐ様子を見せた。アサガオから見たら、まちに入ったら突如カナイがどこかへと姿を消した様に見えたのだろう。まさかちょっとした所用のためにオレらから離れたとは思っていない様だ。知らないって幸せだな。

 それはさておき、戻ってきたカナイに早速洞窟へ行く事を言うと待てと言われた。


「急を要するんじゃなかったのかよ。」

「それも兼ねて、領主殿に会いに行くんだ。」


 『領主』という単語が出て、やっぱりと思った。このまちは他の土地から輸入した物資が集まるまちであると同時に、西の大陸の領主が住むまちでもある。そして土地守と領主は協力関係であり、故に基本村やまちでの悩みや異変解決を主軸に動くが、領主からの依頼を優先する事もある。カナイからすると領主とは友人としての付き合いがあるとかで、今回もその領主殿から『大事な話』があるから来てほしいとの事。

 相手が相手だし、行かなきゃならないのもわかるが、どうしても行く気が萎えて足が重い。そんなオレの心情をカナイは察してか、オレの背中に回り込むと思いっきり体当たりを喰らわしてきた。


「ったく、知らぬ仲ではないだろうに、なんだその煮え切らない態度は!久方ぶりに両親に会う子どもか!?」

「オレ親いねぇからその例えわかんねぇよ。」


 思わず言い返しはするものの、体当たりされてまで背を押され、コレ以上言い返すようならまた手痛くされるのが目に見えていたから諦めた。何より行かなければ余計に会いに来るよう催促させそうだと思った。ソレはイヤだ。

 そう決めたなら早く行こうと、さっきと打って変わって自分から進んで宿から出た。アサガオはオレとは違い、楽しげにオレの後を着いて来る。カナイは変わらずオレの様子をみて呆れ顔をした。


「お前、そんなに領主殿、カダフス殿が苦手か?」

「ニガテっつうか…あぁ、あの積極的な所が着いていけねぇだけだ。」

「それを苦手と言うんだろうが。」


 カナイから的確な言葉を刺してもらいつつ、領主に住居へと進めた。その道中、見覚えのある馬車が見えた。馬車の荷台に掲げられた印は騎士団のものだ。

 騎士団は王立の武装組織で、王城周辺の警護の他に危険生物の討伐が主な任務だと聞く。稀に地方に派遣される時は相当危険が伴うものだとも聞いた。つまり騎士団がいるという事は、このまちの周辺で何か良くない事が起きたという事か。

 オレが遭遇して来た暴走動物の事を考えると、他の場所で被害があってもおかしくない。もしかしたら、領主との話もそういう事に関してだろう。


 領主の屋敷前、近づいて行くと人が立っているのが見えた。それか誰かわかり、オレは溜息を吐きつつ今すぐここかた立ち去りたいと苦い顔をした。

 ソイツはさっき見た騎士団の指定の鎧を身に着け、背は人間族にしては高い方だ。深紅色のマントを背にまとい今まさに屋敷に入ろうとしている所だ。紺桔梗の様な黒髪を後ろで三つ編みした頭が振り返り、オレらにその表情を見せた。


「あぁ、誰が来たのかと思えば、懐かしの顔ぶれじゃないか。」


 飴色の目を細め、こちらを見ながら口角を上げた男の表情は、笑ってはいるがどこか妖しく、見ているオレらを小バカにしている様にオレは感じた。いや実際小バカにしているんだろう。ヤツはそういうヤツだ。


「おぉ、レンか。騎士団が来ているから、もしやと思っていたがやはりか。」

「あぁカナイさま、お久しぶりで御座います。元気そうで何よりです。後シュロもいたか。」


 カナイに対して品行方正な挨拶をしてすぐに一変し、相手を見下す態度でオレを見た。そんな表情で見られ、腹を立てるオレの後ろに隠れる様立っていたアサガオは顔を覗かせ、オレらがレンと話しているのに気付くとレンに向かって名前を言い、元気かと尋ねた。

 その呼び声に答えてレンもアサガオを見た。その一瞬だけ穏やかな顔つきになり、アサガオに元気だと返事をした。その言葉を聞いて、アサガオが笑顔になるのを確認すると、再びレンは小バカにした表情でオレを見返した。

 なんでオレの方見る度に腹の立つ表情を見せるのか、分からない故の更に腹が立つ。


「…なんでいるんだよお前。」

「そりゃあ仕事さ。今のオレが暇そうにして見えるか?もしそうなら目の病気を気にした方が良いな。」


 最後の台詞はいらないだろ。相変わらずコイツ、レンは口を開くと憎まれ口ばかり言う。本人曰く、立場が上のヒトにはちゃんと行儀良くするとの事。つまりオレは態度の通り下に見られているワケだ。

 これで元はオレやクーディと同じ守仕だったのだが、会った時から仲は今の様な雰囲気だった。つまり中身はちっとも変っていない。

 レンの事はさて置いて、今は領主に会いに行かなくてはいけない。しかしこの様子だとレンの方も同じ様に領主に会いに来たのだろう。イヤな瞬間に立ち会ってしまった。

 それから屋敷から出てきた従者と思わしき人物に屋敷へと招き入れられた。外から見ても大きい屋敷の中は広さもだが扉や天井の高さから見ても高く広いに大きい。だが派手さは無くどこか質素感を感じた。

 広々とした廊下を案内されながら歩き、待合の為の部屋へ案内され中に入った。入ってすぐに、中央に置かれた長机と同じ見た目の椅子がいくつかがん目に入る。長机を挟んだその向かいに、明らかにヒトが座るにはあまりに巨大な足の短い椅子が鎮座していた。

 カナイはいくつも並んだ見た目がお揃いの椅子の一番奥の方に座り、オレはその隣に座ろうとしたが一足先にレンが座られてしまった。本当はイヤだがその隣に座ろうとしたが、今度はいつの間にかアサガオが先に座っていた。仕方ないので入り口から一番近い残りの席に座ったが、何故か不本意な気分になったが何とか全員席に着き、巨大な椅子と向かい合う形で件の領主が車で待った。

 その間、レンはオレやカナイに話し掛け、こちらの事情を聞いてきた。


「へぇ…セヴァティアが行方不明ねぇ?」

「正確には違うが、まぁある意味そうか。姿を見せず連絡もよこさんのだからな。」


 愚痴っぽくカナイが説明を切り、レンの方の詳細を聞くと、騎士団の方は討伐任務で来たのだと言う。なんでもこのまちの周辺で、出没しないハズの洞窟小鬼が出たのだと言う。それもここ数日続けてなのだと言う。確か洞窟小鬼は、川の土地守であるクロッカスの瞑想の場が結界の役割を果たし、外には出れなくしているハズだ。つまりその結界の力が弱まっていると考えて間違いない。やはりクロッカスに何かしら異常が起きているせいだろうか。

 ちなみにレン自身からは土地守を心配する台詞が出たものの、表情はまったく心配している雰囲気ではない。むしろ呆れといった別の感情を感じた。あくまでオレ視点での話だが。

そんなレンの様子を見ていたからか、それにレンガ気付き、今度はレンがオレの事を見た。


「…なんだよ。」

「いや?俺の事を随分と見るから、むしろそっちが何か言いたい事あるんじゃないのか?」


 そりゃあ、同じ守仕だった者が騎士になると言って去り、本当に騎士になって姿を見せた事に色々と考える事はある。だがそれを上手く言葉に出来ず一人で懊悩おうのうとしていた。後レンがオレを見透かしている様に見て来るのがムカついて話しづらいのもある。どうもやりにくい。

 レンの事はともかくセヴァティアの事は後で詳しく話すとして、そろそろ領主殿が来るだろうと言って大きな両開きの扉を見た。改めて見てもこの屋敷は扉を含んで間取りは大きいものばかりだ。まぁソレも仕方ない事だ。何せそうしなければ、この屋敷の主は自由に動けないのだから。

 待合の部屋の扉が開き、領主が姿を見せた。

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