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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第1章 アサガオとシュロ
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21話 橋で立ち往生

 オレらが今いるのは西の大陸の北方、そこから東には目的の洞窟の他に川辺に大きなまちがあり、更に東に進めば港がある。だがそれらへ行くには、まず関所を超えなければならない。

 こんな片田舎に何故関所?とは思われるだろうが、これは大事なものだ。以前説明した泥棒の件、これから守るために設けられたといっても過言でがない。

前にも言ったが、農家が育てた作物は大事な食糧だし、資源だ。ソレを盗もうとする輩がいるワケだから、農家の方も畑や作物を守るために試行錯誤し、領主に頼んで兵士を雇う事にした。

 だがしかし、それらの他にモグラとの対決でも見せた村の農家達のあの姿、あれを見ても泥棒共は盗みを止めない。最初は見張りの兵士と塀だけだったのが、いつしかデカい城門の様な門構えの壁になるまでに至ったのだから、ある意味その根性はスゴイとホメたいが、それよりも他の事にその根性を出せと言いたい。

 その話はさて置いて、いつも通りアサガオを連れて今、カナイとその関所前に来ていた。ここをこちらとあちらから、どっちから抜けるにしても身分の証明が必要だ。村の者達は当然農家であるという証明がある。領主さまとやらが発行し配布したとされる物だ。

 他にも職業に応じた身分証をそれぞれ用意しているが、我らの土地守は顔が利く。なのでほぼ素通りだ。オレら守仕も同様の扱いだ。身分証の確認だけでも、場合によっては大分時間をとられるからな。そこは土地守に感謝だ。

 関所自体は、丈夫に造られているとは言え、物は石レンガ製で本家の城と比べたら家と物置小屋位に違うだろうが、オレから見たら立派な建物だ。少なくともオレとアサガオの住み家よりはデカい。

 関所の大きな両開き扉は解放状態となっており、今日は少ないが列が出来ていた。カナイはその横を通り過ぎて中に入り、オレもその後ろへと続いた。アサガオも懸命に後に着いて行く。


「オイ、いくらアンタが土地守だからって、他の通行人無視するってのは非常識じゃねぇか?」

「大丈夫だ。そこは私の土地守としての人望だ。ほら?他のヒト達は許してくれてるし、兵士だって―」


何やら自信満々で関所を歩いて過ぎようとしたが、結局見張りの兵士の一人に呼び止められ、横入りはダメだとか通行証は持ってますか?って確認をとられた。


「お前らそこ…!融通を利かすとかないのか!」

「いくら土地守さまであっても、こちらも仕事なので。」


 これだから王立勤めってヤツらは!っとか文句を言ってるが、関係無いんじゃないか?あと仕事のジャマになるから大人しく並べよ、屁理屈ばっか並べる頑固な住民とか思われるのめっちゃ恥ずかしいんだけど。顔が知られてるだけマシが、念の為他人のフリをしておいた。

 並びつつもカナイはまだ納得して無い様子だったが、落ち着いてきたのか、アサガオを見て緩んだ表情をし頭を撫でまわしていた。今回の件でちょっと騒ぎを起こし遅れさせた事を何故かアサガオに謝りつつ、また兵士への文句みたいな言葉を言ってアサガオに慰めてもらおうとしてる。何してんだこのオトナ。

 オレも呆れつつも落ち着いて順番を待とうと、静かにしていたら異様な気配を感じ、どこからかくぐもった地響きの様な音がどこからか聞こえてきた。周りにいた他の何人かがオレと同様に音に気付き、どこから聞こえて何が音を立てているのかと辺りを見渡していた。カナイも先ほどのおふざけから一変、何かを察して誰よりも早く音がする方向を的確に気付き見た。

 途端、関所の向こう側から轟音が響いた。

 短い時間だが地面が激しく揺れ、倒れたりなんとか耐えたりするヒト達がいる中、アサガオをしゃがませた後すぐにオレとカナイは一目散に音と揺れの発生源があろう関所の向こう側に出た。


 関所を出るとすぐそこは大きく深い川になっており、流れも速く岸から水辺までも少し段差が出来ているためヒトが近寄る事はまず無い。そんな川に出来た丈夫で大きな橋が架かっているはずの光景は今無くなっていた。

 石造りの橋の真ん中、そこが抉り取られたかの様に崩れて壊れていた。ちょうど橋を渡ろうとしてであろうヒトが崩れた橋のちょうど手前で尻を付き、力なくしゃがみ込んでいた。顔は文字通り真っ青になっており、とても話せる状態ではない。そりゃあもう少し早く橋を渡っていたら、この壊れた橋の崩壊に巻き込まれたか、川に落ちて流されていたかのどちらかなワケだからな。

 外の方で見張りをして立っていた兵士にカナイが話し掛け、何があったかを聞いていた。さすがは兵士というか、この惨状の中真っ先に、橋の崩壊に巻き込まれて怪我をした者はいないかの確認を取るところだったらしく、冷や汗をかきつつもギリギリ冷静を保っていた。

 その兵士の話によりと、検問が少し遅れたために橋を渡っている者はちょうどいなかったため、崩壊に巻き込まれたヒトが現状ではいないとの事。ソレは良かったが、問題は一体何が起きてこんな大きな橋が壊れるなんて事が起きたかだ。

 兵士の方も突然の事で何が起きたのかまだ理解が追いついていない状態だったが、徐々に言葉が出て来てオレらに説明をし始めた。

 聞くと川の中から何か大きな『もの』が出てきて、それが橋を壊したとの事。ソレが生き物なのかは、飛沫がジャマで見られずわからなかったとか。まぁ川から出て来るなら生き物の可能性は高いが、何者かの意図的な攻撃という線もあるか。

 それはそれとして、橋が大破していては当然向こう岸に行けない。他の通行人は壊れた橋を見て茫然とする者、途方に暮れる者、早く切り替え引き返す者などが見られた。

 少しして、向こう岸にいるという見張りの兵士と交信魔法か何かで連絡を取り合い、向こう岸側でも怪我人は今の所いないという事が判明。互いに連絡がとれ、現状を把握しつつ作業をする兵士に挨拶を済まし、関所を離れた。

 土地守であっても、今この場で出来る事は無い。川から出来たものに関しての調査は今は兵士に任せる他無い。ただ怪我人がいないという事だけでも把握出来て良かったとカナイは零す様に言った。こういう時の表情はどこか遠くを見ているみたいな、物憂いな雰囲気がして少し話し掛けづらい。

 川の流れは当然だが速いままで、まさか突如川の流れが止まるなんて事が起きるワケが無いから、船を出す事も出来ない。

 向こう岸に行くには別の道から行くか諦めるか、もしくは橋が直るのを待つかの三択しかない。後者二つは選ばないとしても、生憎とオレには向こう岸を進む手段をこの橋以外に知らない。他に道なんてあったか?と無意識に口にして考え込んでいると、カナイが不思議そうにオレの顔を覗き込み言った。


「んっ?あぁそっか、シュロは知らなかったか?」


 オレの声を聞いたカナイからそんな台詞が出たのを聞いて、オレは勢いよくカナイの方に首を向けた。そんなオレを見て小さく変な悲鳴を上げたカナイは思わず体を強張らせた。


「オレは知らないって、一体何の話だ。」

「あぁ、お前がここに来る前は別のの橋が使われていたという事だ。」


 オレが来たのが20年前で、来た時から以前に橋に関しての話は影も形も無かったから、使われなくなって相当経った橋なんだろう。


「そうそう。ほらこの川、ここは流れが速いが下流は流れが緩やかでな。だから以前はそこに橋を架けてそこから向こう岸を行き来していたんだ。」


 確かにこの川は上流が見た通り激しく、下流がゆるやかになっているのは知っている。下流の方であれば橋も架かりやすいだろうが、港がある場所まで遠回りになってしまう。現状壊されているが、今の上流の橋が建設されて、近道になった事から下流の橋は使われなくなったのだろう。


「でもオレが知らないって事は、その橋も使われなくなって結構時間が経ったんじゃねぇか?」


 オレがこの西の大陸に来る前は東の大陸にいた。物心ついた時から東の大陸のあちこちを旅する様に移り住んでいた。そしてカナイらと出会い、西に大陸に渡ったのが今から二十年前。十年以上経てば、丈夫な橋だって、手入れされなくなったら劣化が進んでそもそも渡る事が出来ないのではないだろうか?


「そこは大丈夫だろ。劣化防止の魔法もまだ効いているはずだし、山小人の職人が造ったものだからちょっとやそっとじゃ壊れる何てことも無いハズだ。」


 山小人、大きな建造物から小さな装飾品作りまでこだわって手掛ける根っからの職人気質な種族か。あまり会う機会が無いが確か土地守のラサも山小人なんだっけか?

 それに元は今の橋同様に街道として使われていた橋だから、そりゃあ劣化防止魔法も掛けられていたか。橋として使われなくなったから新しく魔法を掛けられる事も無くなり、効果も薄れてきているだろうが、山小人が手掛けた物なら信用出来るか。

 橋自体には問題は無いだろうが、後気になるのは橋の周りの環境か。人通りが無くなり、大分植物の浸食なり進んで端までの道も消えかかっているだろう。何より周辺に棲んでいるであろう動物。そして小鬼の様な亜種族が潜んでいる可能性がある。

 森を守る土地守のカナイがいるのに、そこまで浸食されるのかと疑問に思われるが、実は古い橋が架かっている下流の地域がカナイの守護の管轄外だとか。


「いくら土地守だからって一人で土地全てを守護、なんて無理なのはわかるが、あそこそこまで森から離れてないだろう。近づけない理由があるのか?」


 聞くと、何故かカナイは気まずそうな表情をし、質問をしたオレから目を逸らした。何があったと強めの再度聞くと、観念した様に小声で潜める様に口を開いたので、耳を近づけて聞いた。


「ちょっと…その近くに住む『頭領』さんとな?少しばかり折り合いが悪くてな。」


 言い淀んでいるがつまりその『頭領』ってヤツと何かいざこざがあり、ソイツの領地としている森に近づけず、結果中途半端に守護の範囲から外れた土地が出来た。という事らしい。


「アンタ、毎回何やってんだよ。」

「毎回じゃないぞ!いや、なぁ私にも責任はあるが、向こうの方で色々あってだな!?」


 言い訳を言い出すカナイを呆れの目で見つつ、一応事情は分かったという事でサッサと目的地に向かう為に橋のある外れの森へと向かう。先を進みカナイを一足置いて行く形になり、後ろからカナイが大声で怒鳴るようにオレに向かって何かを言っている。

 更にそんな一人と一頭の後をアサガオが走って追いかけるのだから光景は、周りから見たら奇妙な連れ合い同士の図となっているだろう。恥ずかしい。

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