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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第1章 アサガオとシュロ
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18話 山道で奇襲される

 細かい描写を省いて、結果を先に言えば無事あの石小僧の群れを突破出来た。

 途中から他にもいた石小僧が乱入してきた時はどうしようかと思ったが、クーディが盾役となったおかげでオレらは傷が着く事無く済んだ。アサガオにも怪我らしい怪我がなくて安心した。

 場所は今目的地まで半分を過ぎた所か。あれからも歩いてる最中にも石小僧がちたほらと出てきた。ソレ自体はそこまで脅威では無いし、群れで来られなければ対処も難しくない。だが、この山は当然だが石小僧以外にも障害となるモノがいる。

 道幅が狭まり、そこまでの狭さではないが用心して縦一列で歩いている道中、どこからか羽ばたく音が聞こえてきた。その時点で察して収納魔法で今まで持っていた槌を片付け、腰に下げていた剣を鞘から抜いて戦闘に備えた。クーディはまた面倒だと言って、構えもせず槌を持った腕ももう片方の腕もだらりと下げて、オレと一緒に音のする方を見上げた。

 案の定いたのは大型の鳥、この山で見られる『赤銅雷鳥』がコチラを睨みつつ飛んでいた。全長は2メートルは越すだろう大きさで翼開長も相当な大きさだ。

 アサガオなんかあっという間にワシ掴みにされて連れてかれてしまうだろう。そうならない様にアサガオは山側の岩壁に寄せてオレが鳥との間に立ち、壁になった。

 コイツらもあの石小僧同様に普段はヒトを襲う事など無いのだが、今のその無害さとは縁が無い様子。やはり異変によって性質が変わっているのだろう。

 見えている範囲では3羽程だろうか、その内の一羽がコチラに向かって急下降し襲い掛かって来た。身構えていたオレらは攻撃を躱しつつオレは剣で、クーディは槌を振り下ろし反撃を与えた。オレの攻撃は掠った程度で終わり、クーディに至っては槌をもろに当てたハズが相手にダメージが入った様子が見られなかった。

 オレはあまりの防御力に思わず「堅っ」と叫んだ。コレは本格的にマズいと感じた。

 クーディの攻撃を喰らって損傷ダメージが少ないのは想定外だ。おまけに足場も悪く動きづらい、一旦体勢を立て直す意図でココはまた走る事にした。さすがにクーディも面食らった様子で今回は文句を言わず再びアサガオを連れて走るオレの後に続き、足を動かした。

 鳥共は当然後を着いて来る。今この状況でコレ以上戦う相手を増やしたくないと、最悪の状況が頭に浮かんだが、そういう時に限ってイヤな予感は的中するから本当にイヤになる。

 襲い掛かる鳥から逃れる為に逃走を試みたのに、走った先にも2羽の赤銅雷鳥が待ち構えていた。相手にしてられないと攻撃をなす様に剣を振るい、そのまま突っ切った。

 クーディも同様にもう面倒くさくて相手の横っ面に槌を適当に振るい当てたがどうかも確認せずにオレと同じく突っ切った。感触からして当たってはいたらしいと後で言っていた。

 普段はヒトを襲わず、大人しい鳥共を攻撃しているのは正直罪悪感が湧く。だがオレらにはヤツらを攻撃し強行突破してでもやらねばならぬ事がある。早く用事を済ませ、下山し休むという大事な事が。だから赤銅雷鳥にはその犠牲となってもらう。

 こうなったのも全て石小僧、そして鳥共並びに今まで出会った暴走生物共が凶暴化した原因が悪い。

 アサガオを見ても相変わらずだ。今頃なら昼寝でもしている時間だが、コイツのこの疲れにくさの原動力は一体何なのか。むしろオレがもう一回休みたいくらいだ。


 あれから襲い掛かって来る山の動物などは見かけなくなった。鳴き声らしきものが聞こえた時は思わず身構えたりもしたが、今の所こちらに来る気配は無い。

 クーディはオレの様に身構える様子も無く、最初の様にだらけて欠伸をしながら歩いている。たまにアサガオに話し掛けては、何が面白かったのか笑ったりしてアサガオをからかって見えた。

 麓を見ると遠くに学校の校舎が見えた。ただの登山であればのんびりと歩いていたい状況の中、体力を消費してくのを実感する。

 目的地に近づき環境音とオレらの足音が土を踏み、ジャリジャリという音が響く。嵐の前の静けさという不穏な言葉を思いついてしまい、この山に入ってからしている警戒心を一層高めた。何より道中での石小僧や赤銅雷鳥なんかがこの山で起きている異変を象徴している。

 まだ何かがいる。アイツらはあくまで影響された側だ。他者に影響を反映させる何かがこの山にいるハズだ。まだソレは姿を見せていないが、きっとオレらの前に出て来る。そう確信してしまっている。


「おっ目印が見えてきたな。ちゃんとのこってて良かったぜ。」


 クーディの言う目印とは、土地守の瞑想の場を指す大きな杭と言うか、看板となる木の柱だ。

 セヴァティアが自力で作り立てたというソレは、岩壁同士の間に出来た道が奥まで続き、その手前に打たれて立っているのが少し離れた今のこの位置から確かに見えた。

 ソレが見えて安堵するクーディの声が聞こえた。確かにこんな状況下じゃ何かの衝撃、それこそあの暴走する動物らの攻撃か何かに巻き込まれてこんなお手製の杭などポッキリと折られるか何かで紛失していても不思議じゃない。っと言ってもまだ油断は出来ない。目的地の手前まで来たと言うオレらに反応し喜ぶアサガオはともかくとして、クーディまでもう肩の荷が下りた体でいるのはダメだろ。未だ異変の原因を見てない。そんなオレの思いに呼応でもしたのか、羽音が聞こえてきた。

 今度のは音は道中聞いた音とは比べ物にならない程重く、ゆっくりと羽ばたきオレらの上から濃い影が落ちた。上を見上げればオレが予想したよりも大きな体躯をしており、見た目は正に猛禽類が栄養を摂りすぎて巨大化でもしたかの様だ。だが羽はこの他の鳥では見られない鮮やかな色をしていた。

 胴体は橙色で嘴は白くでデカい。取り分け尾羽の色がオレの言った鮮やかさを体現している。胴体の色とは違う濃い赤や黄色、青色もありその鳥の明確な名称が分からない。仮に大鳥と呼ぶとして、大鳥の足というよりもその鉤爪の鋭さがいかにソイツが狩りを主体に動くかを物語っていた。鉤爪だけでなくクチバシもデカい。あんなのにエサ感覚でついばまれたら間違いなく命を喰われる。


「下山していいか?」

「するな。」


 クーディは既に降参の状態だ。だがしてもらわれては困る。だがそんな事を相手さんも許さないらしい。

 大鳥はオレらを視界に入れた瞬間にオレらを睨みつけ、甲高くも重たい鳴き声を発しながら速攻でオレら目掛けて鉤爪を向けて襲い掛かって来た。

 発する鳴き声は耳がつんざく勢いで、正しく怪物の奇声で耳を塞ぎたくなる程だった。だが手で耳を塞ぐヒマは無く、そのその鳴き声の形をした音波の波に耐えて剣を構え鉤爪に掴まれそうになったのを防いだ。

 クーディも攻撃しようとしたが、速さと距離が足りず空振りに終わる。加えて巨体の鳥の羽ばたきによる風圧に押され近づくことすら出来ずにいる。さすがのクーディも悔しげに旋回する鳥を睨みつけた。

 一方アサガオは、大鳥が鳴き声を発した辺りからずっと今は耳を手で塞いでいたが、完全に塞ぎ切れなかったせいか目を回して体をフラつかせていた。ソレをオレが手を添えオレに寄り掛かるようにしてから、収容魔法で入れっぱなしだった弓矢を取り出した。使うのは久々だが相手が巨体であれ空を飛ぶ相手ならコレが基本だろうと矢を引き放ったが結局は中りはしなかった。

 だが悠長に狙いを定めている事をあの大鳥が許さず、オレが再び弓を構えようとするとあちらも再び鉤爪攻撃を繰り出してきた。

 跳んで躱し、鉤爪がオレを掠った所から目を狙って弓から矢を撃ち、狙いの目に矢を射る事が出来た。大鳥は目に矢を射られ、もがき滅茶苦茶に羽を大きく羽ばたかせた事で辺りの岩壁に当たり、ソレが更に大鳥への損傷を与え苦しそうにしている。

 やっと一撃が入れられたがあくまで一撃だ。まだ過程に過ぎない。

 一撃によって苦しむ状態がほんの少しの間続き、オレはその間に暴れて傷を負った事で正気に戻りやしないかと期待していた。しかし、そんな期待も空しく大鳥は再び冷静さを取り戻しこちらに敵意を向けたきた。

 大分暴れた後だから、辺りに大鳥が暴れたせいで抜け落ちた羽根が飛び散っており、大鳥自身も消耗して見える。

 そんな状態になっても大鳥はオレらに襲い掛かる気満々だ。どうするかと再び思考するが先に鳥は動いた。向かった先はアサガオだった。

 気づいてオレもすぐにアサガオに向かって走った。アサガオは鳥が向かって来るのを目にして。逃げようとするアサガオの前に出たのはクーディだった。

 クーディは槌で鳥の鉤爪を弾き返し攻撃を防いだ。弾かれて後退した大鳥目掛けてオレは矢を放つ。

 矢は目に命中し大鳥はバランスを崩した。その隙にオレは岩壁の方へと蹴り跳び、矢の中った目の方から大鳥の上へと跳び乗った。

 当然相手は自分の上に乗って来たオレが振り下ろそうと暴れ回った。オレは振り落されないよう大鳥の羽を思いっきり引っ掴んだ。足場が悪く武器を振るうなんて出来ない。

 オレと大鳥との攻防で上昇する事も下降する事無く地面から近い所を留まって飛んでいる状態になっている。

 地面から近いとはいえ、大の大人が爪先立ちしても届かない高さだ。現にクーディはもう槌を振るっても届かないと諦めて棒立ちでオレと大鳥の姿を眺めていた。

 そんなクーディを目にして真っ先に怒りたいところだが、今のオレもそれどころではない。大鳥から振り落されぬ様、大鳥はオレを落とそうとどちらも必死だ。拮抗してはいるが疲労が貯まってきたからヤバい。


「あーシュロの奴、やばいかね?しかし届かないんじゃどうしようも…。」


 クーディとしてもお手上げ状態でどうしようかと悩んでいた。その時、アサガオがクーディの裾を引っ張り、目尻を上げてクーディを見た。さすがのクーディもアサガオが何かを伝えたいのは察した様に、なんだ?と言いながらしゃがんでアサガオに話し掛けた。

 アサガオが何を伝えたいかは今の状況から察する事が出来たが、それ以上の事は頭に浮かばない何よりも物臭な性格も災いしているが。

 するとアサガオがクーディに向かい、両手を上に伸ばすと後ろから前へと腕を振り、その動作をを繰り返してクーディに見せた。何なのか最初はさっぱりと思いつかなかったクーディだったが、ジッと見ていて自分の中の記憶から引き出し、今のアサガオの動きに似たものと重ねて気づき、口にした。《


「あぁ。別に持ってる必要ねぇのか。」


 やっとの事でアサガオが伝えたい事を理解し、のんびりとクーディは大鳥の方に向き直し、持っている長槌を振りかぶった。


「シュロー、当たってもうらむなよー!」


 どこか緊張感が感じない気の抜ける言い方でクーディが言ってきて、言ってすぐに振り上げた長槌を持った腕を振りおろし、長槌を大鳥に向かって投げた。そこまで見てオレは咄嗟に大鳥の頭の羽を掴み手を思いっきり引き、大鳥を無理やり仰け反らせた。

 結果大鳥はクーディの方に向けて腹を見せる体勢になり、オレの姿は大鳥の背に隠れて跳んできた長槌は無事大鳥の腹に当たった。大きな損傷を与えたでろう、大鳥は気絶しそのまま落下し始めた。

 巻き込まれまいとオレは大鳥から飛び降り、そのまま一羽落ちていった大鳥は切り立った山道だから山の麓の方へと姿を消した。


 大鳥を倒し、オレも無事に地面へと降り立ちアサガオとクーディの所へ戻ると、真っ先にオレに駆け寄ったアサガオはオレに抱き着き何度も無事を確認してきた。大丈夫だと言っても本当か?と聞いて来て、しつこいと感じつつも1つ1つに返事してやった。それだけ心配させるくらいオレも無茶したんだなと実感した。反省するが後悔は無い。

 大鳥はかなりと高さから落ちはしたが、あれだけ図体のデカさならば麓で伸びてはいるものの生きてはいるだろう。目覚めた時には正気に戻ってくれていると助かる。


 そんな心配をしているオレとは裏腹に、今回の功績者でもあるクーディもオレの方へとゆっくり歩み寄ってきた。クーディの方からも何か声を掛けられるのかと思っていると、案の定クーディはオレの肩に手を置いて言った。


「後でオレのぶき、回収たのむわ。」


 あぁ、コイツはそう言うヤツだった。今の戦いで仕方なく武器を手放す結果になったワケだが、クーディは例え自分に過失であってもヒトの手を借りるどころかヒトにやらせるのがクーディという男だ。


「でもまっ。シュロがあのでっけぇとりに乗ったおかげで、重さで鳥がとばなくなって届いたのはあるな。」

「あぁ、お前が武器を投擲したおかげで勝てたしな。分かった、後で取りに行ってやるよ。後、アサにも感謝な。」


 アサガオがクーディに助言をしたおかげでクーディは動いてくれたワケだから、しっかりとアサガオに感謝をした。アサガオは満足気な表情をオレらに向けた。

 お互いに感謝の意を表しつつ、大鳥がしっかりと気絶し再び襲って来る気配が無いことを確認してからオレらは移動を再開した。


「んじゃあでっかい鳥たおせた事だし、かえるかぁ。」

「自分の仕事を忘れるな、運び人。」


 指摘するとクーディはオレから目を逸らしつつ舌打ちしたのが見えた。バレないと思ったのかコイツ。舌打ちはアサガオの見えない所でやれよ。

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