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永久にトモに_とある異世界譚(改)  作者: humiya。
第3章 クレソンとカルミアともう一人
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23話 味方が囲まれる

 負傷したクレソンを置いて音と声のする方へと走って向かったカルミアが辿り着いたのは研究所の入り口だった。着いた先でカルミアが見たのは、カルミアにとって覚えのあり、クレソンにも覚えがあるであろう姿のヒト達だった。


「こちら、騎士団です!負傷した方は他にいますか?」


 カルミアの姿を見て駆け寄ってきたのは駆け付けた騎士団の団員で、カルミアに負傷者の確認をしてきた。聞いてきた団員の後ろの方へ見れば、既に何人ものヒトが騎士団に救出され、運び出されている光景が見えた。

 その様子から、既に戦う相手はいない事も承知の様だった。騎士団の印である紅色の外衣と剣と盾の絵が掘られた記章バッヂのヒト達が慌ただしく駆け回っている。

 カルミアは自分に確認をしてきた団員に向かって、胸の拳を当てて敬礼をして見せた。


「カルミア団員です!一人フショーした仲間がおります!あと、一人ブジなケンキュー員がいます!」


 聞いた団員は、他の団員を何人か引きつれて、カルミアの案内の元奥へと急ぎ向かった。そして負傷し座り込むクレソンを発見し、団員達はクレソンを抱え運び出した。

 クレソンもカルミアもやっと一息つけたところ、後から来た団員達がカルミア達を通り過ぎてスズランの方へと向かい、そしてスズランに向かって一人の団員が口を開く。


「そちらの方、今回の異変の関係者として貴方の身柄を拘束させてもらいます。」


 それを聞いてカルミアは振り返り、クレソンも大人しく連れて行かれていたが、聞こえた瞬間無理矢理動こうとしたが肩の痛みでうずくまってしまった。


「ちょっと!?その子はあたし達のナカマです!ツカまえるなんてなんで!」

「俺の指示だよ。」


 カルミアの声を遮り、喋るながら出て来たのはまた二人が良く知るすず色の髪のヒトだった。そのヒトは二人といた時とは打って変わって厳かな雰囲気の衣装を着て、他の団員がその人物に対して礼をして道を開けた。


「隊長!どういう事なの!?あの子をツカまえるって、だって隊長が」

「事情が変わってな、こちらの預かりになった。お前らの任務は中断、共に拠点に戻って休んでろ。クレソンには俺が伝えておく。」


 言われ肩を軽く叩かれ、団員を引き連れて行ってしまった。スズランも両側から騎士団の団員に抑えられ、大人しく連れて行かれた。

 クレソンの傷に触るな!もっと優しくして!などと言う文句の声を背景に、カルミアは茫然としてそれらを見送った。


 隊長と呼ばれたそのヒトは、側から団員の一人が近づいて来て話し掛けられ振り返った。


「団長、場所の用意が出来ております。いつでも出立出来ます。」

「おう、分かった。」


 団長と呼ばれている割には軽い調子で話すそのヒトに、団員は呆れを見せつつも話を続けた。


「しかし、私も気になります。あの人間は普通のヒトに見えますが、一体どのように異変と関係しているのでしょうか。」


 一介の騎士団団員にも、スズランという一人の存在が今回の異変との関連性があるのか疑っていた。しかし、そんな団員の疑問に隊長は変わらぬ様子で団員と向き合った。


「今回の件は特殊な事だ。今はこいつらをまとめて本部に連れて行き、事の状況を他の隊長らに口頭で話さなきゃらならんからな。

 好い加減説明しねぇと、隊長の何人か文句と一緒に物騒なのが飛んで来そうだしな。」


 やはりどこか軽い調子の団長なる人物の口調と態度に、団員は不安を抱きつつも今は団長の指示に従い、他の団員と一緒に研究所を後にした。

 クレソンもカルミアも、どちらも隊長もとい団長の決定に何も言う事無く他の団員に連れられ、共にスズランの顔を見れぬままに離れていった。


 団長は団員が負傷者などを連れて出て行き、最後となる団員が他にヒトが居ない事を伝え聞くと全団員の進行を告げた。ッ負傷者は全て最寄りの医療所へと運ばれる予定で、クレソンも重傷である為一緒に医療所へと運ばれる予定だったところを急遽変更し、騎士団の拠点である騎士団(つめ)しょの休養室へ運ばれることになった。

 詰所へと向かう集団の中、不貞腐れた表情で団員と一緒に歩くカルミアの姿も見えた。他の団員がカルミアに話し掛け、不機嫌ではあるが返事を返し場の雰囲気が和らいでいた。むしろ不機嫌なカルミアを皆でからかっている状態の様だ。

 そんな声を耳にしながら、負傷者を運ぶ馬車の中で横になるクレソンは少しの間眠ってから覚めたばかりだった。


「…今、どの辺り?」


 近くにいるであろう治療部隊の団員に話し掛け、自分らがどこまで進んだかを確認した。


「今山を越えたところです。後少しで拠点があるまちに着きます。」


 詰所のあるまちは、王城のある城下まちからそれ程離れていない距離にあり、その城下まちを背景にまちの外壁が遠くに見えた。とは言え、怪我をして動けず、場所から自力で降りられないクレソンには確認のしようの無い事だった。

 しかし話を聞いてその内容を信用し、クレソンは息を吐いて再び目を閉じた。


「はぁ…このタイミングに召集か。遠目だったが、隊長の方も何か切羽詰ってる感じだったな。状況がどう変わって俺らを止めたんだ?」


 クレソンは隊長の言動に思う所があり、独り言を呟いていた。そんなクレソンを、治療を担当していた団員から安静を強要する手刀が飛んで来るきたのはその数秒後の事だった。


 クレソンが手刀を喰らい、うめき声と共に気絶する馬車の外、団員の隊列の中に団長がいた。本来であれば、隊長格であれば乗馬での移動が定石だが、団長はそうしなかった。その理由は本人が言うには


「馬に乗ると、ケツ痛くなるから。後この前あいつ俺の髪、干し草みてぇに噛みつきてきたから。」


 との事だった。その発言に何人もの団員の目が団長を突き刺すが、本人は素知らぬ素振りをした。

 団長は詰所への移動の最中、近くを歩く団員を呼び掛けた。その団員は盾を持つ防衛部隊の団員だ。その団員に何かを話し、また別の団員を呼んでは何かを話した。


 そうして進み続け、遂に拠点である騎士団詰所のあるまちに着いた。

 まちは騎士団の詰所がある為か、物々しさを含むがまちの風景は平和と言えた。やはり妖精種の姿は見えず、魔法が使えない事で作業が滞っている仕事風景も見られた。重いものを運んだりするのに魔法はやはり重宝されるらしい。

 いつもと変わらない、でも確かに変わっているまちの光景を流し見して、騎士団は詰所へと到着した。


 確実に異変をきたしたヒトの風景。『ソレ』はただ見つめるしか出来ず、流されるままに歩いて行った。

 でも…分からない―

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