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非正規団員の小事件集  作者: ライトニング
2章 子供の頃の宝編
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第2話 植物アイテムの宝庫

 ◇


 デザートを食べ終えて移動した五人は星井家の所有地に着いた。ここだけ小雨が降っていて森だけでなく五人も濡れていた。

 棍棒が向いている黄美は腰に太い棍棒をさげており今のところ力任せの戦闘しかできない。


「ここがジャングル」


 宝探しゲームの宝がある所有地は広い森林地帯だった。


「ここだけ小雨が降ってる深い森で視界が悪いから迷いやすく魔物が出るようになったので現当主が探すのは無理な場所だ。だから、おれ達みたいな団員の出番だ」


 依頼を受け、ここに詳しい綱士が説明した。団員の仕事は戦闘や防衛だけでなく探検などもあるので向いており魔物を倒しながら迷わずに宝を探すことができる。


「おれ達には探知能力がないから、どうやって迷わずに宝を探すんだ?」


 五人には探知能力がなく探知能力を持つ者を加えることができなかったので広い森の中を手分けして探すしかない。


「現当主から子供の頃の宝の地図をもらってるから、これを頼りにして進むしかない」


 綱士は現当主から、ここの地図をもらっていて友司に見せた。子供の頃の古くて簡単な地図で少し不安になったが、ないよりマシだった。


「暗くならないうちにいこう」

「ああ」


 ただでさえ視界が悪く暗くなると危険なので今のうちにいく。許可もあり地図を持っている綱士が先頭で進む。

 小雨と葉からしたたり落ちる水と凄まじい湿度で汗を流し五人の体は濡れた。


「進むのが嫌になるな」


 生温かい雨水と汗でべたつき、蒸し暑いので空子は不快になり手であおいだ。


「変な植物ばかりですね」


 黄美は周りを見た。この森は星井家が所有しているだけで手入れをしておらず日桜皇国の植物が独自の進化をしていた。昔と大きく変わっており地図が役に立たず宝の正確な場所が分からない。


「植物アイテムの宝庫だ」


 変な植物の中に植物アイテムがあり友司は喜んだ。どれも役に立つアイテムで手に入れたものは友司達の報酬になる。

 五人は宝を探すために動き、見つけたアイテムを持って集まった。


「おれは、こんなアイテムを見つけたぜ」


 十次郎が見つけたアイテムは黄色いマンゴーで仲間達に見せた。


回復かいふくマンゴーだ」


 友司達が知っているアイテムで食べると少しだけ回復するマンゴーだ。完熟のものは回復効果が高いが、これは少しだけで頼りない。それでも、ここにたくさんあり食べて疲労などを回復することができる。


「おれはこれだ」


 綱士が見つけたのは手の平サイズの赤いイチゴ。まだあり甘い香りがたまらないので彼はイチゴをかじった。


「うまいケーキイチゴだ」


 木になるイチゴで果肉がケーキのようで味がイチゴとクリームで綱士は平らげた。回復マンゴーのような効果がなくてもおいしくて、アイテムショップなどに売ることができる。


「私が見つけたアイテムはこれだ」


 空子が持っているのはアメシストのような輝きがあるマンゴスチンだった。


「マンゴスチャーム。いいアイテムだ」


 役に立つアイテムなので友司は笑った。宝石のような見た目だが食べることができ、食べた者を魅力的にし、商品を安くしてもらえるアイテムで高いアイテムやレアアイテムが入手しやすくなる。


「私はこれです」


 黄美が見つけたアイテムはひと房の銀色バナナで輝いている。


「これはすごい。シルバナナだ」

「すごいじゃん、黄美!」


 レアアイテムを見て友司は喜び、空子は親友を褒めた。銀でできたバナナなので食べられないが数が少ない換金アイテムだ。この森にも少ししかないだろう。


「おれは毒気草どくけそう。この中じゃしょぼいな」


 友司が見つけたアイテムはエメラルドのような輝きがある草で自嘲した。解毒効果があるアイテムで、たくさん生えており毒状態じゃないので価値が低い。


「腹が減らない森だ」


 食べられる植物アイテムが豊富な森で、このアイテムは綱士達のものになった。アイテムが手に入って喜んでいると雨ではないものが飛んできた。


「なんだ?」


 友司は飛んできて地面に落ちたものを見た。腐った回復マンゴーで、ひどい色をしており、つぶれていた。


「ウキャキャ!!」


 小型の猿のような魔物が三匹現れた。


「ジュクサルだ!! 腐った回復マンゴーを投げたのは、こいつだ!!」


 魔物が現れたので友司達は戦闘準備をする。ジュクサルは他のところにもいる魔物で、この森にも出るようになった。


「アキャキャ!!」


 ジュクサル達は五人がきたことに興奮しており威嚇し跳びまわる。素早く動き、フルーツをとって投げる。


「気をつけろ!! 当たったら毒状態になる!!」


 友司達はフルーツをかわしていく。どのフルーツも腐っており、ひどい色をしている。

 ジュクサルは持ったフルーツを腐らせて毒にする能力がある。腐ってやわらかくなっているので当たっても痛みはないが毒状態になって苦しむことになる。

 男達はかわし空子と黄美は剣と棍棒を振りまわしている。少女達の攻撃は当たらず腐ったフルーツが当たって飛び散った。


「くさくて、ベトベトです」


 髪や服につき、くさいので黄美は顔をしかめた。しかし彼女は肝をとっても死なない再生する体なので毒を分解しており、きいていない。


「くっ! 毒気草だ!」


 空子は毒がきいて苦しんでおり、生えている毒気草をむしって食べた。


「なんで私ばかり!!」


 男達には当たらず黄美には毒がきかないのでジュクサル達は空子を集中攻撃する。くらって毒状態になり毒気草を食べて解毒し、毒状態と解毒をくり返している。周りに毒気草があるので彼女が毒で死ぬことはない。

 ジュクサル達は面白がって投げており空子は毒気草を食べることしかできず囮のようになっていた。


「焼炎弾!!」


 スキだらけなので友司は手の平から炎の玉を放った。


「ピッ!?」


 炎の玉は爆発し小雨で炎が弱くなることはなく凄まじい勢いで三匹のジュクサルはふっとんだ。毛がすべて燃え、消滅せず丸焼きになった。


「気持ち悪いわ」


 解毒しても体は汚れていて空子は顔をしかめた。小雨では落ちないので全身を洗いたい気分だった。


 

 ジュクサルの名前はジュクジュクと腐ると猿です。

 評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。

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 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」も連載中です。

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