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非正規団員の小事件集  作者: ライトニング
1章 黄金のガチョウ娘編
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第4話 半熟の金の卵

 ◇


 緑鬼を根絶して黄美を救出した友司は彼女の母親がいる家に戻った。空子と十次郎はおらず黄美と二人だけだった。まともな服などなかったので、そのままの姿でつれてくるしかなかった。


「黄美!! 戻ってきてうれしいわ!!」


 母親は娘を見て泣きながら喜んでいた。


「あっ……」


 少女は緑鬼から解放されて母親と再会したのに喜んでおらず囚われていた時と同じ表情を浮かべている。


「本当にうれしいんですね」


 友司は微笑んでいるが少し怖い。


「それはもちろん!! 大切な娘ですから!!」


 母親は娘のことを大切に思っている顔をしていた。しかし黄美はうつむき、母親の顔を見て少年は真剣な表情になった。


「そうでしょうね。金の卵を産む大切な娘ですからね」

「なっ!?」


 喜びと涙が消えて母親は動揺した。


「これを黙っていたことと証人がいる」


 友司は懐から黄金の卵を出して母親に見せ、隠れていた空子が出てきて二人に近づいた。紫のパレオで下半身を隠していて腰に剣があり裸足に茶色のサンダルを履いていた。

 ちなみに十次郎は報告にいったのでいない。


「空子!? 生きていたのか!?」


 空子を見て母親は忌ま忌ましい表情を浮かべ、しゃべり方が怖くなった。


「私が死んでいなくて残念だったわね」


 少女はバカにして笑い、母親は醜い怒りの表情で睨んだ。


「あんたが母親じゃないことなど、すべて友司に話したわ。白鬼しろおに

「すべて聞いた。お前は黄美をさらって、そこの飼育小屋で緑鬼どものように彼女に黄金の卵を産ませていたようだな」


 飼育小屋には、ニワトリではなく黄美が入っていて緑鬼と同じ扱いをしていた。


「黄美を奪っただけでなく空子も殺していないなんて。緑鬼どもはどこまで私の邪魔をするんだ」


 空子がすべて話したので、これ以上だますのは無理と分かり母親は本性を出した。顔が般若の面のようになり、肥満体型は急激にやせて白い和服姿になった。


「ばれちゃあしょうがない。私は黄美の母親じゃない。白鬼しろおにだ」

「ひっ!」


 黄美は白鬼を見て恐怖で顔が青くなった。


「だいじょうぶよ、黄美。私達がいる」


 空子は親友を優しく抱きしめ敵を睨む。


「黄美をこっちに渡せ!! 私の金ヅルだ!! そいつには、もっと黄金の卵を産んでもらう!!」


 持っている鉈を向け、金の亡者は喚き散らす。

 白鬼は戦闘向きではないが知能が高く、妖術などが得意で人間をだまして利用する鬼だ。本物の黄金の卵を産む彼女をさらい、隷属の首輪で余計なことを言わないようにし表面上は親子にして飼育していた。


「隷属の首輪を外しおって!! またつけないと!!」


 隷属の首輪は彼女がつけたものなので緑鬼を根絶しても外れないのは当然で友司が黄美を傷つけないように外した。

 友達の空子が助けにきても黄美を人質にして倒し、仲がいい緑鬼達に渡したが金銭トラブルで金ヅルを奪われてしまった。戦闘が苦手なので取り戻すことができず偶然きた友司をだまして利用し、緑鬼達がいなくなってうまくいった。


「お前に渡すわけないだろ。黄美はおれ達が守る」


 友司はだまされて利用されたことより黄美を家畜扱いする白鬼の所業に怒り、蔑んだ目で睨んでいる。二人のおかげで黄美の恐怖はなくなっていく。


「お前達と戦って奪うわけないだろ!!」


 緑鬼達を倒した相手に勝てるわけがないので白鬼は妖術で姿を消し、素早く動いて黄美に近づく。そのまま彼女をさらって逃げようとしているが黄美は真剣な表情を浮かべており白鬼の顔面を殴った。


「ぐう!!」


 彼女の顔はつぶれ、鉈は飛んで仰向けに倒れた。


「黄美、すごい!」


 白鬼に反応できなかった空子と友司は黄美が殴ったことに驚いた。


「さらった時より力が強い!?」


 殴られた白鬼が一番驚いており、なんとか起きあがった。緑鬼の薬草や術で戦闘向きの力がつき、隷属の首輪がないので殴ることができる。


「家畜にやられるなんて!!」


 人間を見下していて家畜扱いしていた少女に殴られたのは屈辱で黄美を睨んだ。しかし友司と空子のおかげで恐怖はなくなり、冷たい表情を浮かべて白鬼を見下ろしていた。

 白鬼は恐怖を感じており腰が抜けて逃げることができない。


「人間は私に有効活用されていればいいのに!!」


 黄美を家畜扱いしていても心の底から悪いと思っていないので友司と空子は胸糞が悪くなった。


「さようなら、お偽母かあさん」


 白鬼の言葉などなんとも思っていない黄美は太い棒を拾って振りあげる。


「おのれええええええ!!」


 悔しくて叫び、めったうちにされた。友司と空子は止めず好きなようにやらせた。


 ◇


 かなりの時間、殴り白鬼が死んで消えたので黄美は棒を捨てて放心している。


「これからどうするんだ、黄美?」


 彼女は孤児で帰る場所がないので友司は心配し声をかけた。


「今回のことで私も友司さんや空子のような団員になることを決めました」


 黄美は真剣な顔になって答えた。おとなしそうな少女の決断を聞いて二人は少し驚いた。自分を助けてくれた友司と空子がきっかけになっており白鬼の恐怖を乗り越え、彼女を倒す強さがあるので向いているかもしれない。


「そうか。歓迎するよ」


 自分で決めたことなので友司は笑みを浮かべて新団員を歓迎した。


「一緒にがんばろうね、黄美!」


 一緒に仕事ができるので空子は喜び、親友に抱きついた。


「うん」


 恐怖と痛みから解放された少女は明るい笑顔を浮かべた。

 白鬼と緑鬼達がいなくなり黄美という新団員が生まれ、友司と空子が彼女にいろいろ教えていき、グループとなった。

 黄金のガチョウ娘編は終わりです。

 評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。

 ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。

 「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」も連載中です。

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