第7話 闇バイトの侵入者
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綱士が相棒の種の木を育てて、少し成長した頃。戦塾の街では闇バイトが多発しており、第五基地の多くの団員は出動していた。そのため基地の警備は少し手薄になっていた。
それでも残っている団員達は基地を守っている。しかし、その守りを嘲笑うように基地に入った者がいた。
体を細くし手足を使わずに狭いダクトを蛇のようにはっている。体がひっかかりそうなダクトでは手足が動かずアゴを使って進み難なく曲がり、その姿は大蛇のようだった。
ダクトを通る侵入者対策はなく、だれも気づかず侵入者は見つかることなく進んでいる。厨房や更衣室を通り、迷いながら進み間違えたら戻って修正し自分がいきたい場所を探している。
そして基地のデータルームを見つけ、ダクトから若い女性が音を立てずに出て着地した。
乱れている黒髪のショートで額当てと後頭部に赤いプロテクターを髪飾りのようにつけていた。裸にナイフや小さい工具などがついている極薄の黒い防弾ベストを着ていて、ダクトを通れるほど厚みがない貧相な体つきだが色気がある。
蛇のような鱗がある黒い鞭をパンツの形に巻いており股間と尻を隠している。
毒蛇のような青黒い四白眼で周りを警戒して見ており五本指の黒い地下足袋を履いた足で音を立てずに歩いた。
「なんでもいいから基地のデータを」
機械に近づき、黒い手袋をしている両手で指紋をつけずにいじる。
「セキュリティーなど無駄」
セキュリティーでデータを盗ることができないので両目からレーザーポインターのような赤い光線を出し、セキュリティーがかかっている画面に当てた。セキュリティーは解除され、機密データを閲覧でき盗めるようになった。
「このデータにしよう」
見つかるといけないので中身を調べずに適当なデータを選び、防弾ベストから小さな記憶装置を出して機械に差しこみ、データを入れる。
「これでよし」
データを手に入れたので侵入者は笑みを浮かべ記憶装置を抜いて防弾ベストに入れた。
「ダクトを通れば見つからない」
見つからずに移動できるダクトへ向かおうとした時、友司が現れた。偶然データルームにやってきて侵入者と鉢合わせしてしまった。
二人は驚きで固まっており先に理解したのは侵入者だった。
「やばい!!」
戦闘をせずに走ってデータルームから出た。
「待てー!!」
侵入者と分かり友司は慌てて追いかける。廊下を走り彼女の方が速く、追いつくことができないが廊下の曲がり角を曲がろうとした時、十次郎が歩いていた。
「あっ!?」
「あぶなっ!?」
二人は驚き、侵入者は十次郎にぶつかり尻もちをついて止まった。
「いてて!」
痛くて立ちあがることができず、お尻をなでている。
「だれだ、お前は!?」
十次郎はあまり痛みがなく見たことがない女性を睨んだ。
「めしとったり!!」
追いついた友司は拘束ワイヤーを出して取り押さえる。
「友司!! なんだよ、こいつは!?」
「データルームにいた侵入者だ!!」
あまり抵抗していない彼女の身ぐるみをはぎながら答えた。
「イエーイ!!」
侵入者の両手を縛り、式神端末を出して自撮りした。犯罪者を捕えた記念と証拠を残した。
「アへエ」
身ぐるみをはがされ黒い網の下着姿の裸足にされて両手を縛られた彼女は脂汗をかき、アへ顔をし、ぺたん座りをしていた。ふざけていてノリがよかった。
式神端末をしまい、友司と十次郎は侵入者の体とはいだ装備品を見て調べた。安物の貧相な装備だが軽量で、よく揃っており戦闘にも向いている。
黒い網の下着は髪の毛や陰毛などを網のように編んでブラジャーやパンツの形にしたもので、とても器用だった。パンツは生えている毛も編んでいるので脱げない。
「お前は何者だ? データルームでなにをしていた? 答えろ」
彼女を捕えた友司が尋問し十次郎は逃がさないように睨んでいる。
「知らんぷり。黙秘権。忘れちゃった」
弱々しい余裕の笑みを浮かべて、そっぽを向いた。しゃべったら罪が重くなることをしたので話す気がない。
「ぶん殴れば話すかな?」
彼女の態度に腹を立て十次郎は拳を見せた。
「よせ」
彼が殴ったら話せなくなるかもしれないので止めた。
「これを見ろ」
友司は一枚の板を出して人差し指を当てた。連打するようにこするとこげて煙が出て穴があいた。最小限の炎のエネルギーで火をつけるサバイバル方法だ。
「この指で大事なところをこすって火をつけてやろうか?」
板を捨て、人差し指を見せて脅すと侵入者の顔は青くなった。火責めなので火傷ですみ十次郎に殴られるよりはマシだろう。
「思いだした! 話す、話す!」
プライドやこだわりがないので、ひきつった笑みを浮かべて、すべて話す。
「私は闇バイトをしている小悪党の闇忍蛇。なんでもいいから、ここのデータを盗む仕事できてデータルームで適当なデータを盗んだ」
闇バイトで生活している小悪党で泥棒の能力に優れており、ここのデータを盗むためにきた。防衛団のデータがあれば悪党は有利に動けるので彼女のような者達に仕事を与えていた。
「盗んだデータはこれか」
友司は防弾ベストから記憶装置を出した。これが悪党の手に渡っていたら第五基地に損害があったかもしれなかった。
「星井家の仕事ができなくて生活がきついから、この仕事をがんばったのに、ついてない」
二人は闇忍蛇の言葉に反応した。
「星井家にいったのか!?」
友司が怖いので星井家の闇バイトも話した。
「適当なコレクションを盗む仕事だったけど変なやつが攻撃していて侵入できなかった」
星井家がなくなった日、彼女はすべてを見ていた。
「変なやつ? どんなやつだ?」
気になったので十次郎は聞く。
「しゃべる恐竜だよ。最初は一頭だったけど途中から、もう一頭現れて星井家を攻撃して皆殺しにした。その恐竜どもに見つからないように私は隠れていた」
その時の恐怖を思いだし闇忍蛇は震え、尿をもらしそうになった。
「しゃべる恐竜か。恐竜に変身できる能力者がやったのか」
恐竜に変身できる能力者はいる。彼女と同じ闇バイトで星井家を攻撃したのかもしれないが最初が一頭で途中から、もう一頭現れたのがひっかかっていた。
これ以上、考えても分からないので友司は闇忍蛇を見て刑務所に送ることを考えた。しかし彼女は両手をやわらかくして拘束ワイヤーを外した。能力を封じる拘束ワイヤーでも彼女の身体能力と技術は封じることができなかった。
「土遁!!」
能力が使えるようになったので闇忍蛇は床に穴をあけ蛇のようにはって逃げた。
「逃がすか!!」
十次郎は穴に手をつっこんだが奥に進んでおり、つかむことができなかった。
「逃げられた!!」
「データは取り返したから、あんな実行役の小物はどうでもいい」
記憶装置は友司が持っており、データを守ることはできた。穴が狭くて追うことができないので闇忍蛇を捕えるのはあきらめた。
◇
その後。なんとか逃げた闇忍蛇は高そうなマンションの部屋にいた。貧乏な小悪党が住めるわけがなく留守の部屋に勝手に入った。彼女は留守の部屋や空き部屋に侵入して転々と生活していた。
身ぐるみをはがされた彼女は黒い網の下着姿の裸足であり、データを奪われてしまったが笑っている。
「予備があってよかった」
お尻に手を伸ばし、奪われたのと同じ記憶装置を出した。ふたつの記憶装置にデータを入れておき万が一のためにお尻に隠していた。
「これがあればだいじょうぶ。ん」
うまくいったのがうれしく記憶装置にキスをした。
「うえ!! お尻に隠しておいたやつだった!!」
思いだして気持ち悪くなり顔をしかめた。
「とにかく、なんのデータかゆっくり見てみよう」
ここの住人のノートパソコンがテーブルにあり床に座って動かす。両目から赤い光線を出して当て、セキュリティーを解除し自由に使えるようにした。
そして記憶装置を差しこんで盗んだデータを調べる。
「だあー!! このデータはエロ画像集だ!!」
データを見て闇忍蛇は叫んだ。盗んだデータには卑猥な画像しかなく重要なデータではなかった。
「これじゃあダメだな……」
このデータでは金にならないので彼女の苦しい生活は続く。盗まれても問題ないデータと分かり基地にいる友司と十次郎は安心していた。
闇忍蛇の名前は忍者と蛇で黒い蛇のような女性です。




