第1話 サラマンダーの非正規団員
和の国 日桜皇国。天皇が治めている皇東の領地 朱鷺世の山奥。季節は春だが山奥は太陽があまり当たらないので涼しくて少し暗く、木漏れ日が不気味だった。
そんな山奥にひとりの少年団員が歩いていた。短い赤の髪で瞳はルビーのように赤く、オレンジの団員服姿で黒いブーツを履いていた。
周りを焼きつくす激しい炎ではなく静かに燃えている炎のようなクールでかっこいい少年だった。
彼の名前は灰屋 友司。旅をしている非正規団員だ。非正規団員はどこにも所属せず自由に移動して働く団員で友司は親がいない出身不明で強いが、身分が低い。
そんな彼は朱鷺世で働くためにきた。街に向かっている少年は一軒の古民家に気づいた。
「こんな山奥に家があるとは」
気になった少年は古民家に近づく。
「人が住んでるようには見えないな」
近くで見ると少し壊れており修理されていた。特に壊れた飼育小屋があって生き物がいないのが不気味だった。
「おや?」
古民家の近くに和服姿の肥満中年女性がいて友司に気づいた。
「あなたは?」
女性は期待に満ちており少年の服装などを見ている。
「おれは非正規団員の灰屋 友司です。こんなところに家があったので気になって近づきました」
怪しい者ではないことを証明した。
「これは天の助け!! お願いします!! 助けてください!!」
女性は涙を流して喜び、友司に助けを求めた。山奥で生活しているので困ることはたくさんあるだろう。
「どうしたのですか?」
友司は助けることにし仕事をするために話を聞く。女性は喜んで話す。
「ここには私と娘が住んでいました。ある日、緑鬼達が現れて家を壊して娘をさらい食べ物を持っていきました」
娘がさらわれたことを思いだし泣いた。
「緑鬼。そんなのが」
緑鬼は外国のゴブリンのような鬼で女性をさらうことが多い。
「お願いします! 娘を助けてください!」
女性は泣きながら頼む。
「分かりました。任せてください」
さらわれた娘を助ける仕事と分かり、味方がいない余所者なので、ひとりでいくしかないが緑鬼にやられることはない。
「ありがとうございます! 本当は私が娘を助けにいこうとしたのですが、いくことができなくて」
「正しい判断です。それで、どんな娘さんですか?」
まったく知らない相手なので特徴を聞く。顔の画像などがあればありがたい。
「あなたと同じくらいの年齢で、ベージュのショート、少し肉付きがいい少女です。名前は亜倉 黄美」
服装ではなく髪や体の特徴と名前をいった。
「緑鬼達はこっちの方にいて村のようなものがありますので気をつけてください」
女性は緑鬼がいる方向を指さした。ここに詳しくないので、この情報はうれしく、これで迷わず進むことができる。
「ありがとうございます」
友司はお礼をいって、壊れた飼育小屋を見た。
「なにか飼っていたのですか?」
「ええ。ニワトリを飼っていましたけど緑鬼達に殺されて持っていかれました」
飼育小屋の中には巣があり、ニワトリを飼育する環境だった。
「そうですか。緑鬼がいるところで生活するのは大変ですね」
「緑鬼がいることを知らずに生活していたので」
お互い知らずに生活していて緑鬼が偶然ここを見つけたことで平和は壊れた。
「平和に暮らせるようにもしますので安心してください」
娘を助けるだけでは解決にならないので平和を乱す緑鬼を根絶しないといけない。
「それでは」
「よろしくお願いします」
友司は進み、女性は頭をさげた。これが朱鷺世での初仕事になった。
友司の名前はファイヤーと灯火でモチーフはサラマンダーです。非正規団員はフリーターのようなものです。
評価とブックマーク、感想をよろしくお願いします。
ポイントは小説を書き続けるための大きなモチベーションになりますので、ご協力お願いします。
「美女能力者のお腹にある別空間で特訓をして強くなった中途半端な能力者」と「名門貴族の男の娘の残酷オスガキ無双」も連載中です。